60代のリアル|第3話:怖くて見られない指の傷。キャー!
指を怪我してしまい、近くの外科をネットで検索しました。 ところが、意外にも自宅の近くには外科がなく、 隣の駅にあるクリニックが最寄りとして表示されました。
そのままネット予約のページに進むと、 当日の朝ということもあり、空き時間はほとんどありません。 確か候補は二つだけだったと思います。 そのうちの一つを選んで予約を完了しました。
病院に着くと、まず問診票を書くことになりました。 怪我をした部位、薬のアレルギーの有無── 必要な項目を淡々と埋めていきます。
問診票を受付に提出して、 おそらく5分も経たないうちに名前を呼ばれました。 あまりの早さに、心の準備が追いつきません。
診察室に入ると、先生が 「では、見せてくださいね」 と優しく声をかけてくれました。
……が。
自分で絆創膏を外すのが、どうしても怖いのです。 あの“ベリッ”といく瞬間を想像しただけで、 背中がゾワッとします。
「すみません、自分ではちょっと…」 と正直に言うと、先生は 「大丈夫ですよ。ゆっくり剥がしますからね」 と落ち着いた声で言ってくれました。
先生が丁寧に絆創膏を剥がしていく間、 私は目をそらしていました。
絆創膏が外れた瞬間、 先生が傷口を見て、静かに言いました。
「血が固まっていますね。これは痛いですよね」
その声があまりにも落ち着いていて、 こちらの緊張が少しだけ和らぎました。
看護師の方が、消毒液を含ませた小さな丸い綿を そっと先生に手渡します。 先生はそれをピンセットでつまみ、 固まった血のまわりを丁寧に拭き取っていきました。
私は相変わらず傷を見る勇気がなく、 視線をそらしたまま、 「キャー…」と心の中で小さく叫んでいました。
「どうされたのですか?」
──先生のその質問に、 私はどこから説明すればいいのか、一瞬迷ってしまいました。
つづく
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