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60代のリアル|第4話:見なければよかった…指の傷と私の悲鳴

先生が傷口を見ながら 「血が固まっていますね。これは痛いですよね」 と静かに言いました。

そのあと、改めて 「どうされましたか?」 と尋ねられました。

私は視線をそらしたまま、 正直に答えました。

「4月8日の朝6時頃、朝食のあと、母に薬を飲ませるときに噛まれました」

先生は一瞬だけ表情を変えましたが、 すぐに落ち着いた声で 「なるほど…そうでしたか」 とだけ言いました。

そのまま破傷風の話になり、 「人間の噛み傷でも、場合によってはリスクがありますからね」 と説明を受けました。 私は聞きながら、 “そんなに危ないものなの…?”と内心で驚いていました。

看護師の方が、消毒液を含ませた小さな丸い綿を そっと先生に手渡します。 先生はそれをピンセットでつまみ、 固まった血のまわりを丁寧に拭き取っていきました。

……そのときです。

ちらっと傷口が目に入ってしまいました。

「キャー!」

声には出していないつもりでしたが、 心の中では全力で叫んでいました。

見た瞬間、それまでよりも痛みが一気に倍増した気がしました。 見なければまだ耐えられたのに、 視界に入った途端、 なぜこんなにも痛く感じるのでしょう。

私は慌てて視線をそらしながら、 「見なきゃよかった…」と心の中でつぶやいていました。

つづく

第5回はこちらです。↓


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