60代のリアル|第5話:今考えるとあの出来事の予兆だったのかも?
4月8日(水)朝4時50分。 まだ外は薄暗く、家の中も静まり返っています。 私はいつものように起きて、洗面を済ませ、お湯を沸かし、 母の朝食の支度を始めました。
といっても、特別な料理をするわけではありません。 前日の残りをレンジで温め、 たまごスープを用意し、 冷ご飯もレンチンするだけの、 いつもの“朝のルーティン”です。
その間に母を起こし、トイレへ── のはずでした。
ところが、その日は違いました。
声をかけても、母はなかなか起きてくれません。 布団の中で小さく丸まり、 「うーん…」と不機嫌そうな声を出すだけです。
ようやく体を起こしてくれたものの、 今度はベッドから立ち上がれません。 手すりにつかまっても、 足に力が入らないようでした。
いつもなら洗面を済ませ、 母がトイレから戻ってくる時間── 5時30分になっても、 母はまだベッドの上にいました。
私は時計を見ながら、 「今日はちょっと大変な朝になりそうだな…」 と静かに覚悟を決めました。
このあと、 “あの出来事”が起きるとも知らずに。
つづく
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