60代のリアル|第16話:引き継ぎは不十分のまま…どうか無事でいて──母を思いながら病院へ
4月24日(金)12時過ぎ。
そろそろ帰らなければならない時間が迫っていました。
けれど、引き継ぎ作業は思うように進まず、 5月11日までの作業をすべて引き継ぐなんて、とても無理な状況でした。
取りあえず、4月30日までの分だけは「こうしてください」と伝えることができましたが、 それは“引き継ぎ”と呼べるような内容ではありませんでした。
一番心配だったのは、メーリングリストの更新作業です。 でも、その日までに依頼されていた分はすべて終わらせていたので、 一週間くらい更新できなくても、何とかなるだろうと思いました。
そう自分に言い聞かせて、 「お先に失礼します」と頭を下げ、急いで会社を後にしました。
会社を出てすぐ、コンビニでおにぎりを買いました。 急いで帰宅しながら、おにぎりを頬張りつつ、 昨日準備しておいた入院に必要なものをもう一度確認しました。
そのとき、 「ミノン(全身シャンプー)」がない ことに気がつきました。
慌てて荷物を置き、薬局へ向かいました。
ミノン自体はそれほど大きくありません。 でも液体なので重さがあり、 他の荷物と合わせると、かなりの量になっていました。
地下鉄の中でも、 「邪魔になっているなぁ…」 と思うほど、ずっしりと腕に負担がかかりました。
地下鉄を降りて、病院へ向かう道を歩きながら、 頭の中はずっと同じことばかり考えていました。
母は大丈夫だろうか?どうか無事でいて・・・
その心配が胸の奥に張りついたまま、 もう他のことは何も考えられませんでした。
つづく
第17回はこちらです。↓
最初から読みたい方はこちらからどうぞ
