60代のリアル|第18話:介護中の母が突然緊急事態に・・・入院中『死ぬの?』と聞く母に、私は何と答えればよかったのか?──敗血症で亡くなった父を思うと「大丈夫、死なないよ!」とは言えなかった。
4月24日、病室へ。
ナースステーションの前で待っていると、 看護師の方が呼びにきて、先生のところに行きました。
説明を受けた内容を、私ははっきりとは覚えていません。 ただ、 「容態は抗生剤で安定しています」 「今後は退院に向けて、退院調整看護師と相談してください」 そんな言葉を聞いたような気がしています。
「1階の相談室に16時20分に来てください」 そう言われ、私は母の病室へ向かいました。
病室に入ると、母はとても元気がありませんでした。
いつものように 「ありがとう!」 と明るく言うこともなく、ただ静かに横になっていました。
体のあちこちに管がつながれていて、 バルンカテーテルも挿入されていました。
あれほど嫌がっていたのに── でも、今は仕方がないと思いました。
その姿を見た瞬間、 私は父のことを思い出しました。
父もバルンカテーテルを挿入し、 尿をきれいにするために抗生剤を使っていました。
しかし、 カテーテルを挿入した部分から菌が入り、 敗血症になり、 抗生剤が効かず、 血液をすべて入れ替えることになりました。
その血液が届く直前、 容体が急変して亡くなりました。
敗血症になってから、わずか2日でした。
母の姿を見て、 その記憶が一気によみがえりました。
胸の奥がぎゅっと痛くなりました。
そんなとき、母が私に聞きました。
「死ぬの?」
私は、笑おうとしながら言いました。 「死にたい人は死んでもいいし、生きたい人は生きればいいよ」
でも、きっと笑えていなかったと思います。
母は少し間を置いて、 「死なないよ!」 そう言って、やっと笑顔を見せてくれました。
その笑顔を見た瞬間、 胸の奥の緊張が少しだけほどけました。
つづく
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