60代のリアル|第15話:誰も知らない630件の作業と、無理な引き継ぎ
メーリングリストの更新作業は、期が変わるたびに担当者の変更が大量に発生します。 今年は 630件 ほどありました。
私は以前から、 「この作業は量が多すぎるので、2名体制にしてほしい」 とお願いしていました。
でも課長から返ってきたのは、 「遅れてもいいので、一人でやってください」 という言葉だけでした。
その結果── 誰もこの作業方法を知らないまま、膨大な更新作業だけが積み上がっていきました。
そんな中、課長から突然、 「このメーリングリストの作業を、中途採用で入ってきたばかりの人に引き継いでください」 と言われました。
右も左も分からない状態の新人さんに、 この作業を引き継ぐのは、どう考えても無理があります。
操作方法は以前から作成していました。 でも、説明は難航しました。
私は普段、ショートカットで作業しているため、マウス操作が得意ではありません。 新人さんは逆に、ショートカットに慣れていません。
その違いが大きくて、 「ここをこうして…」と説明しても、なかなか伝わりませんでした。
さらに、 この作業では マクロ(VBA)をメーラーと連携させて使用 しています。 メーラーが立ち上がっていないと動作しません。
もし私が休んでいる間に動かなくなったら── そう考えると、不安が一気に押し寄せてきました。
私は、動作がおかしい箇所を特定するとき、 ブレイクポイントを置いたり、変数の値を確認しながら処理 できます。
でも新人さんは、 「マクロ(VBA)は初めてです」と言っていました。 そこまで教える時間もありません。
さらに厄介なのは、 メーリングリストの作成者の中には、
メールアドレスの末尾に半角スペースを入れる
1つのセルに2つのメールアドレスを入れる
といった入力をする人が多く、 そのせいで更新作業ができないことがよくあります。
その“おかしいところ”を突き止めて修正するのに、 いつも時間がかかるのです。
でも課長は、 「担当者に修正してもらいなさい」 と言うだけ。
どこがどうおかしいのかを調べる大変さを、 まったく分かっていません。
そんな作業を、 中途採用で入ってきたばかりの新人さんに任せるなんて── 本当に大丈夫なのだろうか?
結局、私も新人さんも疲れただけでした。
それでも新人さんは、 「操作方法の資料があるので、読み返してみます」 と言ってくれました。
その言葉だけが、 少しだけ救いになりました。
つづく
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