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第13話 あたらしい町と春の調べ(メイド✶アリサ―Wishmoreな学園日記)

前回のお話📕

登場人物紹介など📝

(軽いふりかえり)
 ルミナスは『女性嫌い』の腹黒王子だった!
 彼がアリサを専属メイドにスカウトした理由は、幼い少女だと思い込んでいたからだったと発覚。「僕を騙したな!」と言いがかりを付けられたアリサだったが、スピカが庇ってくれたことにより、クビの危機を回避。
 その代わりに、ルミナスも『宝探し』に協力すると言い出して……?
 

(登場用語解説)
最優秀生徒賞:
全校生徒の中から、一年を通して審査員(教師陣や専門家)を最も楽しませた生徒がひとり選ばれる。発表は十二月の終業式。
受賞者には、豪華景品が贈られるらしい。

ルミナスは、宝石がふんだんに使われた王冠のデザイン画を目撃しており、納品日のメモなどから、景品に違いないと断言。
そしてこれこそが、スピカが探している『いちばんの宝物』だろうと推理している。

ローズグループ:
国一番の建築会社。社長を務めているのは、建築家でありフローラ芸術学園名誉学長である、シルビオ・ローズ(ルミナスの父)。

˚⊹⁺‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧⁺ ⊹˚.

 『ルミナス様』の本性を知ってから、早一週間。
 あたしは今、学園とは別の場所に来ている。

 その名もスノウシエル。
 学園のある山岳地帯の一角につくられた、できたてほやほやの小さな町だ。
 これからここで、記念式典が開かれる。その中で音楽科数人が演奏を披露することになっていて、ルミナスはその一人。付き添いで、専属メイドのあたしもここに来たってわけ。今は、控室に向かっている最中だ。

 もちろん、ヴァイオリンのケースはルミナスが自分で運んでいる。あたしの荷物は、学園メイド用の肩掛け鞄だけ。

 時刻は午前十時。日の光を浴びながら、あたしと距離を空けて歩くルミナスの背中……ではなく、周りに広がる景色を眺めてみる。

 立ち並んでいるのは、雪がよく似合いそうな、白い壁と黒っぽい屋根の建物たち。それぞれが店舗で、モノトーンに映える色とりどりの吊り看板には、雑貨店やアトリエ、レストランっぽいイラストと文字が確認できる。

 なんとこの町、建築科の生徒たちがデザインしたんだって!

 三年前から始まった一大プロジェクトで、先輩から後輩へと一部の製作が引き継がれつつ、今こうして完成の日を迎えたんだとか。
 建築は、名誉学長……つまりルミナスのお父様が代表を務めるローズグループが担ったらしいけど、設計は全て生徒たちが手がけたって聞いてる。

 しかもここ、建築科だけの晴れ舞台じゃないみたい。式典やコンテスト、視察みたいな『見せ場』にだけ町が動き出して、音楽科の演奏や、美術科の展示もここに乗せられる――ええと、ショーケースっていうらしい! こういうの!

 ふと、バルコニーの黒い手すりに巻き付いた蔓薔薇が目に留まった。
 鮮やかなオレンジ色で、すごく綺麗。
 
 お嬢様にも見せてあげたいな……。

 この間、ばったり校舎内でお会いすることができた。だけど、専属でもないメイドと生徒がお喋りに花を咲かすわけにもいかないから、挨拶を交わすだけで終わっちゃったんだ。

 はあ……お嬢様の笑顔、相変わらず素敵だったなぁ。
 はあ……専属のロッタ先輩が羨ましい……できることなら、交換してほしいよ。お嬢様とスピカと一緒に過ごせたら、絶対に楽しくて平和なのに。

「……はぁはぁと、実に耳障りなのだが?」

 ルミナスがこっちを向かずに話しかけてきた。
 
「せっかくの休日だろう? 帰ってもらって構わない。というか、帰れ。それが互いのためになる」
 
 出た。ルミナスの『女性嫌い』。
 というか、そもそもあたしが嫌い? まぁそんなことはどうだっていい。

「ため息については謝罪いたします。ですが、ルミナス様?」

 あたしはにっこり笑った。

「校外活動への付き添いも、わたくしたちの務めです。休日だろうと関係はないので、お気遣いなく。それに、最優秀生徒賞受賞のため、ルミナス様に尽くそうと決めましたので。手は抜けませんよ」

 スピカの探している『いちばんの宝物』は、最優秀生徒に贈られる王冠。それがルミナスの推理で、たしかに一理ある……どころか、そうとしか思えなくなってきた。

 王冠を手にできれば、スピカは『すごい魔法使い』に出された試練に合格。魔法使いになることができる。そして、協力者であるあたしも、報酬として『すごい魔法使い』に願い事を一つ叶えてもらえる。
 そのときには、お嬢様が望むことを代わりに伝えるつもりだ。

 つまり、お嬢様を幸せにするためには、ルミナスに最優秀生徒賞をとってもらわなくちゃいけない。そのために、あたしにできることはなにか。それを、この一週間考えてきた。

 生徒じゃないあたしにできることなんて限られてるかもしれない。
 だけど、任せっきりなんて絶対に嫌だし、そんな無責任なことはしたくない。

 具体的な答えはまだ見つかってないけど……とにかくルミナスが授業とか練習とかに集中できるように、メイドとしての仕事はちゃんと……ううん、完璧以上に完璧にこなそうって決めたんだ!


「僕に尽くす……? 気色悪い言い方はやめてくれないか。吐き気がする」

 ルミナスは振り返りもせずにそう言い捨てると、ぐんと歩調を上げた。
 脚がやたら長いもんだから、速いのなんのって……。

 鼻につく背中を足早に追いかけながら、私は内心むしゃくしゃしていた。

 ああーっ、腹立つ!

 本当はひとこと言い返してやりたいけど、今は演奏前。集中力を妨げるなんてあっちゃいけないし、黙っておくしかない。
 
 ルミナスって、本番前に念入りな調整をするタイプっぽいんだよね。控え室で演奏可能かどうかとか、何時から使えるのかとか、箇条書きにしたメモを「会話はお断りだ」っていう目で渡されて、あたしは確認したことを同じように紙に書いて渡してあげた。
 向こうのルールに合わせてあげてるあたし、めちゃくちゃ大人じゃない?

 で、ルミナスは今日、控え室が使える時間に合わせて学園を出てきている。本番までまだ余裕があるっていうのもあって、他に楽器を持った生徒たちの姿は見えない。

 代わりにあちこちに立っているのは、建築科と思われる男子生徒たちと、薔薇の小さなロゴが胸元に入った作業服を着た男性たちだ。たぶん、ローズグループの社員だよね。
  彼らはルミナスが通ると軽く会釈をしたり、挨拶をしてきたりしてるけど、過剰に気にされてる感じでもない。

    
 そうして進んでいくうちに、町の奥にある公会堂に着いた。
 他と同じモノクロの建物で、中には、今日の会場であるホールと小さな部屋がいくつか。そのうちの『音楽隊控室』と書かれた部屋の前で、斜め前を歩いていたルミナスが足を止めた。

「空気が汚れる。くれぐれも、入ってこないように」

「あ、待って」

 あたしは肩掛け鞄から手提げを取り出すと、持ち手を控え室のドアノブにひょいと掛けた。中には、魔法瓶と小さなランチボックスが入ってる。

「ハーブティーと、サンドウィッチ。一口サイズに切ってあるから食べやすいと思うし、小腹が空いたらどうぞ。手拭き用のナプキンも入れておいたから」

「……」

「あ、ちゃんとプロにつくってもらったから心配せず食べて。あたしは一切触ってないよ」  

 これは真っ赤な嘘。本当は早起きして、従業員食堂の厨房(の端っこ)を借りて手作りした。
 もちろん料理人に頼むこともできたんだけど、ルミナスが本番に臨むんだからあたしだって頑張りたい。そう思ったから、自分で作らせてもらうことにしたんだ。

 食事の給仕をしていて気づいたんだけど、ルミナスって、たぶん甘めの味付けのものが好きなんだよね。ヨーグルトにもトーストにも、いつも蜂蜜かジャムをつけてるから。

 そこで作ってみたのが、かぼちゃのサンドウィッチ。
 まず、かぼちゃを蒸して軽く潰します。そこに砕いたナッツを合わせて、塩をほんのひとつまみ。さらに、炒めた玉ねぎとウインナーを混ぜ込んで、サニーレタスと一緒にサンドすれば出来上がり! 隠し味に使った蜂蜜がいい味出してると思う。

 本当はカボチャとナッツだけにするつもりだったけど、朝食はいらないって昨日聞いたから、お腹すくかなと思ってウインナーと玉ねぎも入れてみたんだ。

 生徒にメイドが手作りしたものを食べさせるってことに関しては、メイド長にも(味見付きで)許可はもらったからバッチリ!

 そしてハーブティーは、本番前に飲んでほっとしてもらえたらいいな〜っていう私の希望。カモミールを主体に、ラベンダーは香りづけ程度にした。 
 ルミナスが緊張してるのなんて想像できないけど、少しでも役に立ったら嬉しい。


「……僕は、このようなものは頼んでいないが?」

「まあいいから。――それでは、わたくしは一度失礼致します」

  あたしはメイドらしく一礼して、その場を後にした。
 さて、と……これからどうしようかなあ。

 公会堂の裏手に回って、腰元のポケットを優しくとんとんする。

「スピカ、お疲れ様。出てきていいよ」

 あれ……? 返事がない。

 指先でポケットの口を開いて、中を覗き込んでみると……スピカはまるで毛玉みたいに丸くなっていた。
 珍しいな。もしかして、眠ってるとか……?

 あたしはポケットに右手を入れて、スピカをそ~っと外に出してみた。左の手のひらにのせて包むようにしたところで、はっとする。

 スピカは、泣いているみたいだった。
 前足で目元をごしごしこすって、小さく震えてる。

「……スピカ、どうしたの……?」

 尋ねると、スピカがゆっくり顔を上げた。紫色の瞳が、涙に滲んでうるうるしてる。

「……あのね、なんだか……悲しくて。涙が出るの」

「スピカ……」

 もしかして、ホームシックかな……。

 手のひらの上で涙をぽろぽろこぼしてるスピカを見ているうちに、あたしまでなんだか苦しくなってきた。

「ボク、おかしくなっちゃったのかなあ……」  

「ううん……あれだよ、きっと疲れてるんだって! 難しいことは考えないで、ポケットの中で眠っておきな?」

「でも、ルンルンの演奏聞きたいのに……」

「大丈夫。始まる前に、ちゃんと起こしてあげるから」

 頭を撫でてあげると、スピカが弱々しく頷く。あたしはその小さな身体を手のひらで包むと、ポケットにそっと戻した。

 学園に帰ったら、スピカにも何か作ろうかな。好きな食べ物って何だろう? やっぱりチーズ系? うーん……。

 ネズミが好きそうなメニューを考えながらおもてに出ようとすると、見知った顔が目に飛び込んできた。ノエルノ先輩だ。初めて見る男子生徒の後ろについて、公会堂に入ろうとしてる。

 もしかして、あの人がカリム様? 

 歩みに合わせてサラサラ揺れる灰色の短髪に、涼しげな青い瞳。すっと通った鼻筋が印象的な、クールな雰囲気のイケメンだ。足がやたら長くて高身長なのは一緒だけど、髪色も違うし、ぱっちり二重で一見(ここ重要)おだやかな印象のルミナスとは全然似てない。

 ああ……ノエルノ先輩が怖がる理由、なんとなくわかるかも。
 誰も俺に話しかけるな! って感じのピリピリしたオーラ放ってるし、あのピシッとした制服の着こなしとか、いかにもって感じだもんなあ。歩いてるだけなんだけど、隙がないっていうか。

 じいっと見つめているうちに、二人は公会堂へと入っていった。そういえば、カリム様は建築科なんだもんね。式典に参加するってことか。
  ふと、疑問が顔を出した。

 ルミナスは、どうして建築の道に進まなかったんだろう?
  
    *  *
      
 もうすぐ記念式典が始まる。
 あたしは入学式の時と同じように、他のメイドたちと並んで、ホールの一番後ろに立っている。隣にはノエルノ先輩。
 
 客席には、建築科の上級生と作業着姿のローズグループ社員、店舗の従業員。そして来賓席には、三人の後ろ姿がある。

 メイド長が恭しく会場までご案内した、見るからにお上品な初老のご夫婦。なんでも王族の方らしい。
 そして、ストライプのお洒落なスーツに身を包んだ灰色髪の男性。
 さっきちょうどあたしの横にある通路を通ったんだけど、カリム様にどことなく似てた。冷たい雰囲気のおじさまだ。だけどハンサム。

「(ノエルノ先輩。あちらの男性って、もしかしてカリム様のご親族ですか?)」

 小声で尋ねてみると、ノエルノ先輩は困り眉で「え……ええ」と頷いた。

「(あの方はゲイル・ローズ様。カ、カリム様のお父様です。ローズグループの副社長を務めていらっしゃって、今日は弟のシルビオ様……名誉学長の代理でいらっしゃったとか……)」

「(へえ……)」 

 ってことは、ルミナスの伯父様ってことだよね? 専属メイドとして、あとで挨拶しに行こうかな。

「(……ゲイル様はとっても……ええ、とーっても怖い方なんです……っ )」

 出た、ノエルノ先輩のビビり症! 
 大げさなほど真っ青になった顔を見て、あたしは思わず吹き出しそうになった。

「(えーっと、何かされたんですか?)」

「(私は何も……。だ、だけど……カリム様に対して、冷たすぎるというか……嫌ってらっしゃるんじゃないかって思っちゃうくらいで……)」

「(え、どうして?)」

「(アリサさん、ルミナス様に……お姉様がいらっしゃることは……?)」

「(あ、はい。知ってます。とっても優秀で、いずれは社長になるだろうって期待されてらっしゃるんですよね?)」

「(ええ。……それが、ゲイル様はお気に召さないんです……たぶん。息子であるカリム様に会社を継がせたいと考えていらっしゃるから……。そ、そもそも、建築家として弟に劣っているという負い目もあるご様子で……まあ、噂……ですけど)」

 なるほど……。
 採用試験に合格した後、『ルミナス様』のことを知っておこうと思って調べたんだけど……ローズグループは親族経営。現社長のシルビオ・ローズは二代目なんだよね。で、一代目はそのお父様。
 先代が長男じゃなく次男を跡継ぎに選んだから、確執が生まれちゃったってことか……。

「(あ、噂をすれば……)」

「(?)」

 ノエルノ先輩の視線をたどって軽く振り返ろうとすると、ふわっと香水の匂いが鼻をくすぐった。
 すぐそばで揺れた、腰元まである銀の巻き髪。クリーム色の上品なジャケットに膝丈のタイトスカート。すぐ横の通路を、ハイヒールの踵を鳴らしながら一人の女性が下っていった。そのまま、王家のご夫婦に深く一礼して、ゲイル・ローズ氏の隣の席に座る。

  髪で隠れてたから顔は見えなかったけど、後ろ姿からして美人なことは間違いない……!

「(今の、どなたですか……!?)」  

「(ルミナス様のお姉様です。名前は……ええと、ライラ様……だった気が……)」

 お姉様……! へえ、ルミナスと髪色が違うんだな。
 まあ、ヒューバーラントは色々な国から移住してきた人たちが創りあげた国だから、その名残で髪色も瞳の色も何種類も存在してるから、両親によっては兄弟の容姿がまるで違うなんてことはよくあるんだけどね。

 だけど、その中でもルミナスみたいな薄桃色の髪は、あたしの黒髪よりも珍しいと思う。……にしても、だ。  

「(ローズグループって、やっぱり美形揃いなんですね)」

「(……そこがまた怖いです……。私みたいな庶民は、視界に入れるだけでも不快だと思われているに違いありません……)」

 ノエルノ先輩がぶつぶつ呟き始めたタイミングで、記念式典が始まった。
 司会者は上品な雰囲気の女性で、危なげなく式次第が進行されていく。

 彼女の説明によると、なんでもここは元々王家の所有地で、草木が生えず花も咲かないことから『死の土地』って呼ばれていたんだとか。
 そこを建築家の卵たちを育てる場所にしたいと進言したのが、フローラ芸術学園の建築学科教師たちだったらしい。

「そうして、物寂しい土地が、未来ある場所に生まれ変わりました」

 女性の晴れやかな声に、拍手が鳴りはじめる。

 続いて、ここに至るまでの取り組みの紹介や、今後の展開についての説明。ローズグループ代表としての、ゲイル氏の挨拶。
 そして、建築科を代表して挨拶したのはカリム様だった。

 三年生を差し置いて二年生が? って思ったけど、それほど優秀ってことなんだろうな。凛とした立ち姿と無駄のない話し方から、そう感じた。 

  そして、いよいよやってきた音楽科アンサンブルによるステージ。   
  舞台上にヴァイオリンを手にしたルミナスが現れた瞬間、ついさっき指でつついて起こしたスピカが「わあ!」と歓声を上げた。びくっとしたけど、ちょうど会場がざわついてる時だったから誰にも聞こえなかったみたい。
 ふう、一安心……。

 アンサンブルは女子一人、男子三人の四重奏で、それぞれヴィオラ、チェロ、コントラバスを手にしている。楽器の名前とか音楽用語には詳しくなかったけど、ルミナスの専属に決まってから少し勉強したかいもあって今はある程度ならわかるようになった。

 半円状に並べられた椅子にルミナスたちが着席すると、会場がしん、と静まり返った。

「始まりの日に相応しい、春の息吹を感じる曲となっております。どうぞ、お楽しみください」

 司会者による曲紹介が終わる。
 左端に座ったルミナスが他三人へと視線を向け、一礼するようにして呼吸を合わせた。水面にひとひらの花びらが落ちたように、ホール内に四つの澄んだ音色が広がっていく。

 スピカが息を呑んだ気配がした。あたしも同じだ。
 弦を弾く軽やかな音を聞いた瞬間にぞくぞくっと鳥肌が立って、目に見える景色が鮮やかさを増す。
 照明に照らされた弦楽器の艶やかさ、生徒たちの滑らかな手の動き。初めて見るルミナスの真剣な表情。全てがきらきら輝いて見える。

 ゆったりとした重低音が心地よくて、ルミナスのヴァイオリンが高音で奏でる旋律は、鳥のさえずりみたいに爽やかだ。
 目を閉じてみる。

 本当に春の風が吹いているみたい……。

 どれくらい経った頃だろう。拍手が沸き起こり、あたしはぱちっと瞳を開いた。 アンサンブルが一礼し、舞台袖へと退場していく。

「(ルンルン、かっこよかったね……!)」

 スピカがポケットから小さく顔を覗かせた。紫色の瞳が、興奮気味にきらきらしてる。  

「(うん。そうだね)」

 今だけは、素直にそう思える。
 あたしも遅れて大きな拍手をしながら、ルミナスの背中を見送った。


˚⊹⁺‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧⁺ ⊹˚.

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