見出し画像

共通テストと英検|準1・2級は役立つか(随時追記)

英検準1級まで到達すると、模試でも得点の再現性が高まります。語彙力が増え、多読経験が積み上がることで、長文を読むスピードが上がるからです。本稿では、英検と共通テストの関係を、5年間のデータと実体験をもとに整理しました。英検を受験戦略として考えている方の参考になれば幸いです。

はじめに

1. 英検と共通テストの親和性(模試データ)

— 2級で平均点、準1級で安定科目へ

共通テストと英検は、ともに長文の比重が高く、限られた時間の中で多くの英文を処理する力が求められます。つまり、英語の情報を速く正確に捌く力です。とくに準1級ではその傾向が強く、共通テストとの親和性も高くなります。

中学生のころ、東進の特待で模試を無料で受けられたこともあり、早い時期から高校生に混じって共通テスト模試を受けてきました。未習の文法も多く、試験の構成もまだよく分かっていない状態でした。

それでも、英検2級に合格するころになると、中学スタートの英語力でも、高校生の平均点程度は取れるようになっていました。粗削りながら、共通テストを解く土台は英検で築けたのだと思います。

英検2級取得後、共通テスト模試の偏差値は50台からのスタートでした。準1級に届く頃には、9割得点(偏差値70以上)が安定するようになりました。

中2〜高3 共通テスト型模試 偏差値
英検2級:中2前期 準1級:中3前期 1級:高1前期取得

英検の学習では、帰国子女でない限り、まずリーディングが先に伸びます。その後、知識が安定し、多聴の機会が増えるにつれて、リスニングも引き上げられていきました。

何より興味深いのは、いったん偏差値70のラインに到達すると、それ以降は高3まで大きく崩れていない点です。英語という科目の性質をよく表していると思います。

そして、英検1級になると、共通テストは偏差値75前後で安定するものの、準1級との差はほとんどありません。ただ、満点を取る回数は増えました。共通テスト(マーク)では、いわばカンストした状態です。

一方で、駿台全国模試(記述)になると、準1級で偏差値80、1級で85でした。実際に、英検1級の英語力が本領を発揮するのは、東大の二次試験でした。

2. 英検2級は共通テストの入口

— 英検の弱点:文法が疎かになる点

英検2級は、多くの人にとって教科書以外の語彙や英文に触れるきっかけになります。語彙の幅は広がり、初見の長文を読む機会も増えていくでしょう。

英検の長文やリスニングは興味深いものが多く、良問だと思います。多読多聴の量に比例して、英語の情報を捉えるスピードは上がっていきました。

一方で、英検の学習では文法語法を体系的に整理する機会は多くありません。とくに2級までは文法知識が不十分でも合格できてしまうこともあり、弱点に気づきにくくなります。

英検2級はゴールではなく、共通テスト英語への入り口と考えておく方がよいと思います。2級に合格したあとで、文法や語法教材を解いて知識を盤石にしておくと安心です。

3. 準1級で英語が得点源になる

— 語彙力が読む速度を変える

準1級の水準に届くと、共通テストのリーディング・リスニングともに偏差値70以上(9割得点)が安定しました。

共通テストは文章量が多い試験と言われますが、準1級レベルの英文を読み慣れていると、それほど大変だという感覚はなくなります。長文への抵抗も薄れ、語彙やコロケーションの蓄積によって読む速度も上がります。もっとも、正確性を高めるには練習が必要ですが、この土台があると英語は伸びやすくなります。

振り返ってみると、勉強以外にも、遊びの延長にある英語の多聴が役立っていました。中学のころから英語音声のアニメや洋画に数多く触れてきた経験が、あとから効いてくるのだと感じました。

4. 2級から準1級で直面する壁

— 足止めされる人が多い

2級から準1級に進む段階は決して簡単ではありません。「入試で差がつく」と言われるように、やはりハードルは高く、ここで学習が止まってしまう人も少なくないように感じます。

準1級になると語彙は一気にアカデミックな方向へ広がり、社会問題や環境、政治、心理、科学といった抽象度の高い話題が増えてきます。それまで触れてきた英語とは、明らかに違う世界になります。

語学学習はよく「コップ」に例えられます。準1級のコップはかなり大きく、どんなに効率よく勉強しても一定量のインプットが必要になります。その分、到達するまでには時間もかかります。

ただ、そのコップが満たされれば合格は見えてきます。そこで身についた英語力は、大学入試にもつながっていきます。

5. 英検と共通テストに再現性がある理由

— 語彙力と多読のおかげ

その背景には、まず語彙力があります。
英検に合格できる水準に届く頃には、読める長文は確実に増えています。相応の語彙力と多読量がすでに積み上がっているためです。リスニングレベルも同様です。

共通テスト模試で得点が伸びるのも、不思議なことではありません。少なくとも近い数値までは、再現性が期待できると思います。

ただし、英検合格前後がピークになりやすいため、その後も語彙力を落とさないように、多読多聴は続けておくと安心です。

6. 文法や英文解釈ではスピードは上がらない

— 親世代の勉強法では限界がある

皮肉なことに、文法や構文の知識をどれだけ完璧に仕上げても、それだけで読むスピードが大きく上がるわけではありません。英文解釈の講座をいくつ受けても、読む速さそのものはあまり変わらないでしょう。

近年の入試で求められている英語力は、結局のところ、初見の英文をどれだけ読んできたか、どれだけ聴いてきたかという経験に左右されます。

実際、多読量が増えると、文構造を意識しなくても内容をつかめるようになってきます。親世代には心配に映るかもしれませんが、従来の勉強法だけでは、かえって英文を読むスピードにブレーキをかけてしまう場合があります。

大学受験レベルの文法や語法、構文、英文解釈は、一通りしっかりと勉強したら、その後は忘れない程度に復習を続ければ十分だと思います。これらはほどほどにして、学習の後半は、できるだけ多読多聴に時間を使い、語彙力を維持しながら、実際の英文の中で知識を使って慣れていくほうが効果的です。

若い世代の飛躍的な英語力の伸びは、多読多聴の環境によるところが大きいと思います。さらにAIの登場によって、語学学習はこれまで以上に個人に最適化できるようになりました。

7. 補足:英語は「多読」か「文法」か

— 両者の「いいとこどり」で

結論から言えば、どちらも必要です。ただし入り口は、年齢や本人の性格に合わせた方が進めやすいと思います。

文の仕組みが気になり、きちんと理解してから進みたい性格であれば、文法から入る方が合っています。一方、多少分からない部分があっても読み進められるタイプであれば、多読から入る方が自然でしょう。

ただ、中学生から英語を始める場合、多読だけで体得しようとすると時間がかかります。受験教材を使って文法をある程度固めながら進めた方が、結果として効率よく英語力を伸ばしていけると思います。

とくに高校入試や全統中のような模試では、文法知識がしっかりと問われます。知らないと解けない語法問題も出題されるため、早めに固めておくと安心です。

どちらか一方に偏るのではなく、両者のよいところを取り入れながら学習を進めていくのがお勧めです。

8. 長文が読めない原因は語彙不足

— 触れる回数を増やす(Ankiなど)

模試の結果が伸びてこないと、予備校の講座や問題集をさらに追加しようとすることが多いように感じます。

しかし実際には、原因は語彙不足であることが少なくありません。単語の意味が分かるだけで、英文は驚くほど読みやすくなります。

英検を活用する理由の一つは、試験日という「締切」があることです。締切までに、とりあえず付け焼き刃でも語彙暗記を入れるきっかけが生まれます。

語彙は、一度で完璧に覚えようとするよりも、うろ覚えでもよいので、まとまった量に何度も触れる方が定着しやすいものです。

大切なのは、「触れる回数」を増やすことです。

たとえば、毎日10個ずつ覚えるよりも、100個単位で目を通す方が、英文を読むときの解像度は変わってきます。Ankiなどのアプリで、例文の音声を聞きながら繰り返し触れるのも効果的です。コロケーションや前後の文脈から意味を推測できる場面も増えていきます。

英検の学習は、四技能を通して英語に触れる機会が多く、語彙を増やすという点でも効率のよい学習になっていました。

補足になりますが、ライティングやスピーキングも、英検がなければなかなか鍛えにくい分野です。また別の機会に書こうと思いますが、スピーキングを重視していたことも、結果的には大きな相乗効果を生んでいたように感じています。

9. 英語が早めに仕上がると受験は安定する

— 準1級は分岐点(高2の終わりまでに)

入試科目として、英語は得点のブレが小さい科目です。早めに仕上がれば得点源となり、他科目に時間を回すことができます。

その意味でも、準1級は一つの分岐点です。

ここまで共通テストを中心に書いてきましたが、大学の二次試験においても信頼できる土台になります。語彙力と読むスピードという武器があることで、合格水準の得点に届きやすくなるからです。

あとは二次試験の傾向に合わせて足りない知識を重点的に補い、自分の英語力を発揮しやすい形にカスタマイズすることになります。

遅くとも高2の終わりまでに準1級に届いていれば、大学受験では有利に使えるでしょう。ただ、東大志望者の場合、準1級は平均的な水準という印象があります。強みとまでは言えないものの、合格点を取れるレベルにはなるため、ある意味安心材料の一つだと思います。
※東大英語については、こちらの記事に詳しく書いています。

10. 英検合否の先にある学び

— 小さな失敗と成功の体験を積み重ねて

当時は、英検がここまで役立つとは思っていませんでした。特別な戦略があったわけでもなく、代替となる学習法も見当たらなかったため、とりあえず続けていたというのが実情です。

もちろん、すべての人に英検が合うわけではありません。中には英検が好きになれない子もいるでしょう。本人の気持ちが乗らない場合には、他の方法を探りながら、いったん距離を置いてみるのも一つの選択肢です。

英検も模試も、最初から準備万端で受けられるものではありません。あまり勉強せずに受けに行くこともあるでしょう。まだ知識が足りない分、試験会場では自分なりに必死に頭を使い、問題と向き合うことになります。これもよい経験です。

どのような受け方をしても、資格試験では明確に合否が出ます。親が何も言わなくても、自分で気づいたことから学ぶこともあります。

失敗もあるからこそ、合格できたときの嬉しさは、誰にとっても大きな自信になります。小さな成功体験を積み重ねていってください。

いいなと思ったら応援しよう!