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秋田へ行こう①(2023年1月 山形編・『雪国』英訳考察)

そうだ 秋田、行こう。山田五郎さんのYou Tubeで藤田嗣治さんの特集を見てふとまた「秋田の行事」が見たくなった。

前回行ったのはもう7年前。

秋田は昔からほんとに県ごと陸の孤島で行きにくいったらありゃしない。

秋田だけ行って返ってくるのも芸がない。どこか混ぜよう。まっすぐ行くと山形が通り道か。山形行ったことないしな。といっても近隣の県から移動しても秋田まではとても時間が掛かる。いったん盛岡まで出てこまちに乗ったほうが早いほどだ。

うーん、盛岡はまた近く行くつもりだし。いっそ青森を絡める? その足で八戸へ出て十和田市現代美術館? …どれもムリがありそうだ。

さんざんシミュレーションした後、けっきょく素直に山形経由にした。更に調べると山形には温泉地も豊富にあるようだ。ふむふむ…。

ということで出発。

去年行った日光のお山だ。東海道新幹線だとわりと富士山とかよく撮れるんだが、東北新幹線はジャマが入り過ぎる。この写真は隙間を縫ってよく撮れた。途中なぜか気球も飛んでいたような。


東北新幹線の椅子、リクライニング倒れねーなと思っていたら別のボタン押してた。普段乗ってる東海道新幹線の車両とは違うのね。黒のボタンは座席がズルっと前後にズレるみたい。

遠いイメージのある山形だが新幹線に乗ればあっという間。ふと気付けば一面の雪。

まさに「国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国だった」

…と覚えていたけど、正確にはそうじゃなくて

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。

「そこは」がない。「そこは」で覚えている人も多い気がする。なんで「そこは」が付いて覚えちゃうんだろう。テレビか何かで間違った引用が広まったのかも。

そしてトンネルに入るとネットに繋がらなくなる。ネットから遮断されるとあれこれ想念が浮かんでくる。以下はそんな英語談義。

国境の長いトンネルを抜けると雪国であったの書き出しは、英語に訳しにくい日本語の文章としてその界隈では有名だったりする。

まず主語は汽車なのか主人公なのか。どちらでもいいというか、汽車と(汽車に乗っている)自分と一体となってトンネルを抜けて雪国という異世界へ突入するぼんやりしたイメージを日本人なら持つのではないか。

その辺が英語母語話者だとなかなか共感できないみたいな論考だったと思う違うかも。

❝I❞を主語にすると車窓から見える景色がトンネルの中で真っ暗なのからトンネルを抜けて急に一面の銀世界に変わるいわば主人公目線の心象風景の描写になる。

❝The train❞ を主語にすると、映画の引きのショットで待ち構えたカメラでトンネルから汽車が出てくるのを写す映像のイメージだろうか。

試しに川端康成先生の含蓄ある名文を敢えてローコンテクストに「日本語意訳」してみると

私が雪国に行くために乗った汽車が最後に長いトンネルを抜けた瞬間、車窓から一面の雪景色が見え、(あの娘の待つ)雪国にようやく着いたのだと私は感じた(ドキドキ)。

少佐訳

風情もクソもないかこんな感じかな。でも西洋の小説っぽくない? 小説のこの後を読まないとわからないことだが、主人公はこっそりおねえちゃんに会いに行ってるんだから多少の背徳感やワクワク感も実はあるんだろう。

定番とされる英訳は以下らしい

The train came out of the long tunnel into the snow country.

極めてシンプル。The trainを主語にして完全第三者ロングショット視点である。主人公の心情は見えない。国境はなんとカットされている。(なお、日本に普通「国境(こっきょう)」はないので、あれは「くにざかい」と読むのが正しいのだろうなんて議論もあるらしい)

ちなみに同文をGoogle翻訳させると
After passing through the long tunnel at the border, it was a snowy country.

うむ、なんと主語はitだねw。このitはIt rains.=雨降ってる みたいな「特に何を指すわけでもないそれ」のはず。うまいこと日本語の曖昧さを表現できてるんじゃないかな。文芸翻訳としてどうかは別として意外といいんじゃないかな。AIやはり恐るべし。

さらにちなみに「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった 英訳」
でググるとこんな記事が出てきた。


更に翻訳家の方の深い論考(とてもすぐには通読できん)。

そして私は雪国へ…☃


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