『イン・ザ・メガチャーチ』 朝井リョウ
続編はないとは思いますが、もし続編があれば、よりダイナミックな心理模様の展開が期待できるのに……、というのが、読了直後の贅沢な感想でした。
バグだらけがデフォルトの人間が、少しでもマシな経済・社会システムを求めてきた結果である高度資本主義社会。
その日常生活の裂け目から、じわりじわりと溢れ出すコンフリクトが、白日の下に曝け出される。
そんな私の独断と偏見による〝朝井リョウ・ワールド〟。
この『イン・ザ・メガチャーチ』も変わることはありません。
読み終わってみたら、ほぼ30枚のポストイットが貼られていました。
〝イン・ザ・メガチャーチ〟というタイトルを、こういう風に物語、それも会話の中に組み込むのか! という技術など、自分の中にはなかったことなので、勉強になります。
数か月前、仕事で「推し活」をテーマとした定量アンケート調査の企画からレポーティングまで担当しました。調査目的の関係で、ごくごく表層的な調査でした。
それに対して『イン・ザ・メガチャーチ』は、マーケティング目的などではない、文化人類学・民俗学の字義通りの〝エスノグラフィー〟の超リアルな報告書のようでもあります。
〝ナラティブ〟がお好きなマーケティング界隈のみなさん! パワーポイントの報告書に、情報⇒感情⇒物語、というフロー図を描きましょう! というのは冗談です(笑)。
余談ですが、今からほぼ20年前、音楽シンクタンクの社員だった筆者は、ファンのクラスター分析など、一般消費財業界では当たり前に行われてきたいた統計的なマーケティング・リサーチ手法を導入したかったのですが、力及びませんでした。
エイベックスさん以外の音楽業界では、只々、アレルギー反応のみ。
それが、この朝井リョウの作品の中で〝実践〟されているのを読んで、何とも言えない複雑な気持ちになりました。
最後に。本書を読んで、私が最もインスパイアされたこと。それは、ここでは書かず、今後の創作活動の中で活かさせて頂きたく存じます。
了
小説も書いてます。ご興味のある方は、覗いてみてください。
