『サードドア 精神的資産のふやし方』 読書共有【第55弾】
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はじめに
今回はアレックス・バナヤン『サードドア 精神的資産のふやし方』(大田黒奉之訳、東洋経済新報社、2019年)からの共有です。
本書は、著者自身の体験を通じて「成功への抜け道(サードドア)」を描いたノンフィクションの自己啓発書です。18歳の大学生アレックス(著者)が、紆余曲折を経てスピルバーグ、ビル・ゲイツ、レディー・ガガなどの著名人にインタビューして回りながら「成功への抜け道」を探求していく物語で、非常に興味深く読める内容になっています。
誰もが不可能だと思う夢や目標に対して、失敗や拒絶に遭いながらも、それを乗り越えて行動し続ける勇気や情熱をもって「成功への抜け道」を切り拓くことの大切さを本書は説いています。
著者自身がクイズ番組で優勝した賞品(ヨット)を売って資金調達するなど型破りな行動で「成功への抜け道」をこじ開けており、これを常人がそのまま実践するわけにはいきませんが、読者は自分なりの「成功への抜け道」について考え、行動に移すヒントを本書から得られることでしょう。
実際に行動していくことで、経験、人脈、思考、勇気、忍耐、知恵といった「精神的資産」が蓄積されていくというのも、本書が提示している重要なポイントだと言えます。過去の読書共有で、人生100年時代を生き抜くためには「無形資産」が大切であると述べましたが、本書の「精神的資産」も「無形資産」に該当する貴重な要素であると考えられます(下記リンク参照)。
本書は、人生の転機を迎えている人、独自の道を切り拓いて成功を収めたい人、精神的資産を増やして人生を豊かにしたい人に、特にオススメの一冊となっています。
「成功への抜け道」としてのサードドア
まず本書のキーワードである「サードドア(成功への抜け道)」についてですが、これは次のようなアメリカらしい例え話で表現されています。
「人生、ビジネス、成功。どれもナイトクラブみたいなものだ。常に3つの入り口が用意されている」
「ファーストドア:正面入り口だ。長い行列が弧を描いて続き、入れるかどうか気をもみながら、99%の人がそこに並ぶ」
「セカンドドア:VIP専用入り口だ。億万長者、セレブ、名家に生まれた人だけが利用できる」
「それから、いつだってそこにあるのに、誰も教えてくれないドアがある。サードドアだ。行列から飛び出し、裏道を駆け抜け、何百回もノックして窓を乗り越え、キッチンをこっそり通り抜けたその先にー必ずある」
上記のように、3つの入り口のうちサードドアが「成功への抜け道」であり、「ビル・ゲイツが初めてソフトウェアを販売できたのも、スティーブ・スピルバーグがハリウッドで史上最年少の監督になれたのも、みんなサードドアをこじ開けたから」だとされています。
本書では、スピルバーグ、ビル・ゲイツ、レディー・ガガなどの著名人にインタビューして回りながらも、著者自身がそうした過程を経ながら自らの「サードドア」を発見し、成功への扉を全力でこじ開けていくさまが描かれています。
ここに、成功者に学ぶことの重要性が示唆されていると考えることができます。自分独自の道を突き進んで成功をつかみ取るといっても、やはり成功者の存在を度外視することはできないでしょう。たとえ自分にとっては再現性のない成功例であったとしても、成功者のサードドアの見つけ方、こじ開け方などは教訓の宝庫だと考えられるからです。
本書を読み進めていくと実に様々な成功の秘訣が登場しますが、その中でも、以下では特に『サードドア』らしいと思われる記述に注目し共有してまいります。
一足飛びの人生を選ぶ
18歳大学生の主人公アレックスに、いわばメンターとも言えるエリオットが次のように言う場面があります。
「俺が今から言うことは」 「世間の99パーセントの人にはわかってもらえないだろうな」。「いいか、大半の人たちは直線の人生を生きる」。「直線の上を順番にゆっくりと、敷かれたレールの上を生きていくんだ。でも成功する人間はそんな枠に収まらない。彼らは一足飛びの人生を選ぶ。直線上を一歩ずつじゃなくて、階段を飛ばして進むんだ」
「天才だったら、ほっといても一足飛びのチャンスが舞い込んでくる。でもたいていの場合、俺らみたいな人間は、自分でつかむしかない。本気で有名になりたいんなら、自分の人生を成功、冒険、インスピレーションにあふれたものにしたいなら、一足飛びの人生をこの手でつかんで、全力で守るしかないんだ」
ここでエリオットの念頭にあるのは、成功へと続いている例の「サードドア」でしょう。ただ、「世間の99パーセントの人」は「直線の人生」を生き、その「直線の上を順番にゆっくりと、敷かれたレールの上を生きていく」とエリオットは指摘します。彼の言葉は、この「直線の人生」に一石を投じ、読者が自分自身の人生を再考する機会を与えてくれます。
一方で、成功者は「一足飛びの人生」を選び、「直線上を一歩ずつじゃなくて、階段を飛ばして進む」ような生き方をするといいます。ただ天才でもない限り、「一足飛びのチャンス」は「自分でつかむしかない」のであり、ここに常識を超える自発的な思考と行動の大切さが説かれていると考えられます。
無論、エリオットは日々の一歩一歩の努力を否定しているわけではないでしょう。ただその歩みが「直線の人生」に向けてのものなのか、それとも「サードドア(成功への抜け道)」に向けてのものなのか、ここが決定的に重要です。
自らの「サードドア」を発見しこじ開けるためには、アレックス(著者)のように素晴らしいメンター(エリオット)の支援を受け、数々の成功者と話し、フィードバックをもらい、熟考し、実際に行動していくことが肝要になってくるでしょう。
こうして、「一足飛びのチャンス」は結局「自分でつかむしかない」ことになります。ただ先述のように、実際に行動していくことで経験、人脈、思考、勇気、忍耐、知恵といった「精神的資産」が蓄積されていくことを考慮に入れるならば、「サードドア」への歩みは決して孤独な道ではなく、自分自身が本当に歩みたい充実した人生を切り拓く道となり得ると思われます。
自分を深く知り、個性を磨く
「サードドア(成功への抜け道)」を見出していく上で、メンターの存在がいかに重要であるかが本書からも読み取れます。特にメンターによる忌憚のないフィードバックは、自分を深く知り、個性を磨く上で貴重な経験となると言えます。
例えば、エリオットは成功者の戦略を模倣しては失敗するアレックスに、「お前はウォルマートだ」 と厳しく現実を突きつけます。これは、かつてアマゾンを模倣して失敗したウォルマートを念頭においた発言です。アマゾンの模倣をしてもアマゾンには勝てないということです。ここでアレックスは次のように内省します。
「他人の戦略をコピペしたら自分の問題が全部解けたなんて、虫のいい話はないだろう。彼らの戦略が有効だったのは、それが彼ら自身のものだったからだ。彼らの力と状況に応じた戦略だったんだ」
「他人のやり方を研究する時間も大事だけど、自分の個性を磨く時間も必要なんだ」
「そうするためには、自分という人間について、深く知る必要があったんだ」
上記のように、アレックスはメンターであるエリオットからのフィードバックを元に、日々試行錯誤を繰り返していく中で自分という人間を知り、個性を磨く必要性に気づいていきます。その個性がどのように光り輝いていくかは本書そのものに譲ることにしますが、ここで重要なのは、アレックス自身もまた自らの手でサードドアをこじ開け成功を掴んだという点でしょう。
本書を読むことで、成功者たちの証言を手がかりに自らのサードドアが何か、またどこにあるかのヒントを掴むことができるかも知れません。私自身も日々、自らのサードドアを探求している途上にあります。
その中でも特に重要であると私が感じるのは、圧倒的な思考量と行動量、そして精神的資産の存在です。この読書共有が少しでも皆様の思考力や行動力、精神的資産の蓄積に寄与できるならば望外の喜びです。
おわりに
今回も最後までお読みいただきまして誠にありがとうございます。
日々少しずつ閲覧数やリアクション数、フォロワー数も増えてきて嬉しい限りです。今後も最低週1回の更新を目指して頑張ってまいります。
あえて本の要約といったことはメインとせず、私なりの観点から面白いと思った箇所の共有という限定的な内容にしております。それが少しでも皆様の記憶に残り、日々の読書体験の深まりや具体的な行動・実践に繋がるのであれば幸いでございます。
それでは今後とも宜しくお願い申し上げます。
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