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【part-3】ブリテン島育ちのイングリッシュラベンダーの精油分析論文が見つからない?だったら世界各地の英国品種を調べればいいだろ!!作戦。

写真はロイヤルパープル(L. angustifolia 'Royal Purple')です。
品種名からしていかにもイングリッシュな品種だと自身では思っています。
フランス血統・日本品種4号おかむらさきに株サイズが似るのが特徴です。 しかし早咲きグループ。

さて、エフゲニーマエダが知っている限りのLavandula angustifoliaの英国品種を列挙してみます。

Lavandula angustifolia var. Alba(1580)
Munstead(1916)ゲートルト・ジーキルにより作出,品種固定
Hidcote(※1920)フランスから持ち込み説
Beechwoodblue(1920)
Twickel purple(※1922)オランダから持ち込み
Nana alba(1928)
Folgate(1933)
Rosea(1937)
Royal purple(1944)
Loddon blue(1959)
Imperial gem(1960)
Ashdown Forest(1980)
・Miss Katherine(1992)
Little Lady(1996)
Peter Pan(※2001)
Elizabeth(2007)
・Jean davice
・Vera

さすがは大衆園芸が勃興した園芸大国、ラベンダー1種にとてつもない品種の数がありますね。作出年代の情報根拠が書かれているページもリンクしておきました。

さて、この品種図表の黒太字の品種は、研究論文にて精油成分の分析がなされている品種です。
ひとつの品種につき分析データが複数ある場合は、その平均値を算出して本記事に記載します。


さて、平成林業。の英国品種探索記事part-3で求める数値は、このシリーズで算出したリナロールと酢酸リナリルの合計値(Li/LA ratio)を、海外の英国品種をもとにした精油組成分析のデータを使って同様に導き出してみます。
この数値が、part-1,part-2で触れたブルガリア栽培品種群の中での英国血統品種らに数値が近ければ、英国品種の生み出す精油組成の固有な特性が掴めるハズです!


'Hidcote'および'Munstead'の精油成分が調査されているルーマニアの論文(2011)

https://www.researchgate.net/publication/51598833_Studies_regarding_chemical_composition_of_lavender_volatile_oils

ラベンダーの揮発性オイルの化学組成に関する研究(2011)

・'Munstead'44.28%
(備考:トランスβ-オシメン7.14%, 酢酸ラバンジュリル8.42%, 酢酸ネリル3.64%とひときわ高い点)
'Hidcote blue'41.18%
(備考:酢酸ラバンジュリル9.46%,ボルネオール4.32%とひときわ高い点)

'Hidcote'の精油成分が調査されている日本の論文(2018)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/138/12/138_18-00159/_pdf

Analyses of Volatile Components of Lavender (Lavandula angustifolia HIDCOTE and Lavandula x intermedia GROSSO) as In‰uenced by Cultivar Type, Part, and Growth Season(2018)

星薬科大学のコモンラベンダーおよびラバンジンの時期と各部ごとの精油成分分析論文になります。

(収穫調査は2017年7月)
'Hidcote'39.3%
備考:LI/LA ratioがかなり低く、βカリオフィレン24.3%, 他の成分27.7%と他の芳香成分への代謝分散が起こっているように見受けられる。
しかし、ラベンダー試料作物の定植から収穫調査までわずか1年しかスパンが開いていないことから、欧州の分析研究基準に合致していないことによる誤差が考えられる。

'Hidcote'および'Munstead'の精油成分が調査されているハンガリーの論文(2020,2021)

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S030519781930585X

品種と生育年がラベンダー ( Lavandula angustifolia Mill.) とラバンジン ( Lavandula x intermedia Emeric ex Loisel.)の精油特性に与える影響(2020)

2020年の論文データ(収穫調査は2017,2018年)
・'Hidcote'68.5%
・'Munstead'51.35%
(備考:酢酸ラバンジュリル10.4%, テルピネン4-ol17.6%とひときわ高い点)
・'Maillette'(🇫🇷)→ 80.35%
・'Aromatico Silver'(白花)→ 61.15%
(備考:シスβ-オシメン9.3%, テルピネン4-ol8.9%とひときわ高い点)

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0926669021000984

個体発生と収穫時期は高品質のラベンダーにとって非常に重要 – エッセンシャルオイルの特性における花の発達の役割(2021)

2021年の論文データ(収穫調査は2018,2019年)
・'Hidcote'52.95%
(備考:シスβ-オシメン7.9%, 酢酸ラバンジュリル18.7%,とひときわ高い点)
・'Munstead'54.65%
(備考:)
・'Maillette'(🇫🇷)→ 75.55%
(備考:)

'Nana Alba'および'Rosea'の精油成分が調査されているウクライナの論文(2021)

https://www.researchgate.net/publication/354760368_Chemical_Composition_of_the_Essential_Oil_of_the_New_Cultivars_of_Lavandula_angustifolia_Mill_Bred_in_Ukraine

ウクライナで育成されたLavandula angustifolia Mill.の新品種の精油の化学組成(2021)

・'Nana Alba'70.02%
備考:矮性の白花品種であるアルバの精油組成の特徴は、7~11%と高いテルピネン-4-ol値、他は比較的平均的数値です。
リナロールは比較的低い数値となっており、酢酸リナリルは28~35%と低め。
・'Rosea'50.05%
備考:世界的に普及しているポピュラーなピンク花品種であるロゼアの精油組成の特徴は、最大7.8%に達するラバンジュロール最大18.6%になるテルピネン-4-olの高さです。
特徴的なのが、致命的に低い7.4%台の酢酸リナリル
リナロールの数値は唯一平均的な数値を保っています。
酢酸ラバンジュリルも5~7.5%レンジと一際高い数値となっており、Lavandula lanataとの交雑種を疑うような精油組成となっています。

しかし、キク科セイヨウノコギリソウの精油分析において花の色が白or赤と表現型が異なるだけで精油組成も大幅に異なってくる研究結果から、ラベンダーにおいても花の色が異なると二次代謝産物の組成も大きく変わる事が示唆されます。

'Folgate','Twickle Purple', 'Royal Purple'の精油成分が調査されているアメリカ・西コロラド大学の論文(2021)

https://coloradolavender.org/wp-content/uploads/2019/10/specialty_crop_grant_final_report_april_2014final.pdf

Lavender Association of Western Colorado Specialty Crop Grant FY 2012 Research Results and Findings of Lavender Essential Oils Produced by Western Colorado Growers(2013)

(収穫調査は2013年)
・'Folgate'
58.79%
(備考:テルピネン4-ol値が9.14%とかなり高い)
・'Twickle Purple'
75.82%
(備考:酢酸リナリルの値が51.71%とかなり高め)
・'Royal Purple'
66.14%
(備考:シネオール値が3.36%, テルピネン4-ol値が4.3%とやや高め)
・’Maillette’(🇫🇷)→ 78.35%

ブルガリア論文の遺伝系統に英国品種の数値をあてはめてみる!

さまざまなラベンダー精油についての論文から品種ごとのデータを算出した

リナロールおよび酢酸リナリルの合計値(紫色)を書き足しました。
過去記事で算出した数値は青色表記です。

ワーオ・・・全ての英国品種は50%台にしかならないようでした。
まじか。まじなのか。

少なくとも、これらは全地球的な各国地域でのデータの総平均値なので、「日本で育てた英国品種」の品種特性のソレを表すワケではありません。
あくまで予測値という点に注意が必要です。


まぁ…あとは英国品種を日本で栽培して精油とって、それを連年にわたって分析したらどうなるか?でわかりますね。
まぁおそらく、フランスのMailletteが証明しているように、これらデータに準じることになるのでしょうが…。

と!!
ひさびさに理系大学生っぽい分析やってみたシリーズでした!

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エフゲニーマエダ(平成林業。) 若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。