チューブラータイヤのパンクを修理した話
先日、チューブラータイヤがパンクして、久々に裁縫修理をしました。
この修理法は経験者が少なくなってきており、ネット上にもあまり情報が無いようです。今回はその修理方法についてまとめてみました。
「チューブラータイヤ 修理」でググったら、ワイズロードによる下記のブログがヒットした。
タイヤの中にチューブを入れて縫い付けられているので基本的にパンク修理は不可です。中にはわざわざ縫い目をほどいて修理する猛者もいるそうですが一般ライダーには無縁の話。
「 無縁の話 」カァ〜
(`Д´ )y-~~
チューブラータイヤに対する
ロードレーサー世代 と ロードバイク世代 の違い
ロードレーサー世代は…
・ トップレーサーからビギナーまで全員チューブラー
・ タイヤ幅は21mm (23cは存在しなかった)
・ タイヤはリムセメントで貼る(テープは出先の応急用で、常用するものではないとの認識)
・ パンクしない乗り方を各自で研究する(事前に注入しておくタイプのシーラントはまだ無かった)
・ パンクしたらほどいて裁縫修理
・ 安い練習用タイヤでも最後の最後まで使い切る
ロードバイク世代は…
・ チューブラーに乗るのは一部のレーサーとオタクだけ
・ タイヤ幅は23mm
・ タイヤはテープで貼る
・ シーラント注入でパンク対策
・ パンクしたら使い捨て
こんな感じですかね?
ロードバイク世代からすると、
ロードレーサー世代は
「修理する猛者」
に見えてしまうのかもしれませんね。
昔は今のように路肩が綺麗ではなく、タイヤの耐パンク性能も低かったので、今よりも頻繁にパンクをしていました。
パンクのたびにタイヤを使い捨てなんかしていたら、お金がいくらあっても足りないという、切実な問題があったのです😅
そのため、自分で修理をして最後まで使い切るのが普通でした。
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今のようなインターネットが無い時代
そんな猛者達が頼りにしたのが サイスポ です。
< 文献1 >
サイスポ1982年8月号 特集 チューブラータイヤ 専科


特集 チューブラータイヤ専科
チューブラータイヤのパンク修理
見出しに
「写真を追えば誰でも1時間!?」
とありますね。
< 文献2 >
サイスポ1987年11月号臨時増刊 スポーツ・メカニカル・マニュアル


スポーツ・メカニカル・マニュアル
タイヤ 修理:チューブラータイヤのパンク
ボクは学生時代、ロードレーサーのメンテ関係は、こういった書籍を参考にして習得しました。
この「スポーツ・メカニカル・マニュアル」でモデルになっていたのが、現在サイスポで「自転車バカ、はじめての再考の時」を連載している、自転車ジャーナリストの菊池武洋氏です。
なので、ボクにとって菊池サンは
「ロードレーサーのことを教えてくれるお兄さん」
的存在なのでありました。
そのため今でも勝手に慕っており、
彼の連載を毎月楽しみにしております(笑)

中学生だったボクに
ロードレーサーのことを教えてくれたお兄さん
前置きが長くなりました💦
では修理に入りましょう。

パンクしたのは、RALEIGH Professionalに取り付けているカンパのホイールです。

タイヤは Vittoria RALLY 25-28
このタイヤはほとんど乗っておらず、使用頻度はとても少ないです。
ところが、先日自宅で空気を抜いた後、再び空気を入れてみたところ、「シュー」と抜ける音がし、圧が上がりませんでした。
つい先ほどまでは空気圧が保たれていたのに、不思議?? です。
タイヤを取り外して確かめてみました。

空気の抜ける音がするのはこのあたり
しかしタイヤの表面を見ても、何かが刺さっているような痕跡は見当たりません。

リムフラップをめくって、縫い目をカッターナイフで切り、チューブを取り出します。

しかしチューブを見たものの、穴が見つかりません。
空気を入れるとチューブの左側から音がします。
そこで、左左へと開腹してみるものの、穴がない。
バケツに水を入れてチューブを浸すも泡が出ない。
それなのに、空気は抜けていく。
何故??
反対側、チューブ右側を取り出してみたら、穴が見つかりました😅
目(老眼)だけでなく、耳もダメになってきたか(泣)
このミスにより15cmも開腹してしまいました。
バカですねぇ(普通は5cmくらいで十分です)

これが穴です(矢印の部分)。
でも、タイヤの表面をみても穴の痕跡がありません。
不思議だなぁ

タイヤの内側を見たら、こんな立派なモノが刺さっていました💦
植物か何かのトゲのようです。
タイヤの表面にとても小さな穴がありました。
もう目(老眼)が限界です😅
外からは抜けないタイプの立派なトゲで、内側からペンチで抜きました。
このトゲが刺さったまま穴を塞いでいたので、空気圧を保つことができたのでしょうね。
ところが、一旦空気を抜いた時に、刺さっていたトゲとチューブの間に隙間が出来、空気が漏れるようになったようです。

穴をパッチで塞ぎました。
ここから裁縫修理に入ります。

上の画像は、昔売られていたVELOXのチューブラータイヤ専用のパンク修理セットです。この金属缶入り修理セットは、チューブラーを売っているプロショップには必ず置いてある定番品でした。
(逆に、これ以外のパンク修理セットは見たことが無い😅)
自分も同じものを持っていたのですが、だいぶ前に捨ててしまいました。
でも、これがなくとも全く問題ありません。

使用するのは、タコ糸、針、ゴム用ボンド
いずれも100均(ダイソー)で買えます。

針は裁縫用のもので十分ですが、長い針が必要です。
タコ糸は3本の糸が撚ってあります。
そのままでは糸が太すぎるので、3本撚りの糸をほどいて、そのうちの1本を使います。
では縫っていきましょう…
え〜っと、
どうやって縫うんだっけ??💦
久々なので縫い方を忘れてしまいました。
そこで「文献2」の スポーツ・メカニカル・マニュアル をカンニング
ところが、縫い方が書いてない…
あれ? おかしいなぁ
これは「縫い方」があるのです。
次に「文献1」のサイスポ1982年8月号を見る。
あ〜、コレコレ
思い出しました。

上の図のように、内側から針を通して上に出すようにハの字型に縫っていきます。上図ではわかりやすいように隙間がありますが、実際には隙間が出来ないように、しっかりと縫います。
元々のカットした糸の端はどうするのか?
これは文献には、ゆるんでしまわないように、糸をうまく抜いて片結びして閉じておくことが書いてあります。でも、実際にやろうとすると、糸が上手く抜くことができるタイヤと、縫い方が特殊で抜けないタイヤがあります。いろいろと面倒なので、自分は元の糸の切れ端はそのままにしておきます。経験的にはそれでほどけたことはありません。

元の縫い目と同じ間隔(上の画像では約4mm)で縫っていきます。
くれぐれも針でタイヤを刺してしまわないように注意
「文献2」には、タイヤを保護するために、上の画像のように アウターケーブルの切れ端を入れておくやり方 が書かれています。
タイヤはとても硬いので、針を通すのにチカラが必要です。このとき、針を指でしっかりと持つ必要があります。そのために「長い針」が必要なのです。

「文献1」と「文献2」のいずれにも書かれていない、ワタクシのオリジナルの方法をご紹介します。
針を通すときは凸凹のある金属板の上でやるのが良いです。私はヘッドスパナを使っています。
上の画像のように、スパナ表面の刻印のある部分に針を垂直に立て、タイヤを上から押すようにして針を通すと、軽いチカラで楽に縫えます。
(刻印の無い真っ平な金属板でやろうとすると、針が滑ってしまい危険です)
針を垂直にするのがポイントです。それでも硬くて針が通らない時は、針を通す場所を変えた方がよいです。無理やりチカラを入れると針が折れてしまうことがあります。
ラジオペンチで針をつかんで引っ張る縫い方もありますが、金属板を使う方が簡単かつ安全だと思います。
糸にたるみがあると、空気圧を上げた時にタイヤが開いてしまいます。少し縫ったら、細いマイナスの精密ドライバーを糸の隙間に入れて持ち上げ、糸のたるみを取っていくことを繰り返します。
< パンク修理の思い出 >
まだパンク修理に慣れていなかった中学生の頃、小田急線で輪行中にタイヤが膨れてきて、思いっきり破裂させてしまったことがありました。
車内で「パーン」と音が鳴って、乗客の人達がビックリしていて、とても恥ずかしかったです。
パンク修理をしたタイヤの縫い目に隙間が出来ていた上に、リムセメントの塗りも甘く、下からチューブがはみ出してきたのが原因でした。
そんな状態ですから、最初の頃は自分で修理したタイヤはセンターがぜんぜん出ていなかったです。センター出しは良い走りをする上で重要ですが、それ以上に、自分で修理をしてタイヤが復活すると大きな 満足感 がありました。"走ること" だけでなく、そうした 自転車いじり がとても楽しかったですね。
縫っているうちにだんだん無心&夢中になってきます。
これは編み物とかと同じなのでしょうね(笑)
編み物は、一定のリズムで手を動かすことで脳内のセロトニン(幸福感・安らぎ物質)を分泌させ、ストレスを解消する「マインドフルネス(瞑想)」効果が期待できます。無心で編み進めることは、頭をすっきりさせ、心理的安定をもたらす「ニットセラピー」として、欧米でも注目されています。
裁縫修理って楽しいな!

縫い終わりました。
15cmほど縫うのに1時間弱掛かりました。
今回はミスって長くなってしまいましたが、普通は5cmくらいで済むので、20分程度で終わるはずです。

リムフラップを貼ります。
これはいくつかの方法が知られています。
「文献1」ではリムセメントで貼り付けると書いてあります。
「文献2」ではコニシのボンド G17 で貼り付けています。
また、ベテランサイクリストの豆柴氏によると、パンク修理用のゴム糊を使うと良い という説もあるそうです。
まあ、どれも自己満足程度の差しかないので、好きな方法で良いと思います。自分は「文献2」をバイブルとしているので、ボンドG17を使いました。
リムフラップを貼り付け、圧着して完成です。
今回は(リムセメントを塗らずに)タイヤをホイールに取り付けて少し空気を入れ、タイヤに圧着させました。

1日経過後も空気は抜けていませんでした。
これで修理完了です。
私は、チューブラータイヤのパンク修理は、シーラントを用いるよりも今回のような裁縫修理の方が好きですね。
それは、以下の三つの理由によります。
(1)シーラントによる修理は確実ではない
パンクはシーラントで直せる場合と直せない場合があります。
もしも直せないとき、今回のような開腹修理もできなくなってしまいます。一度シーラント剤を入れたタイヤは、その後に穴をパッチで塞ごうとしても、漏れ出てくるシーラントが邪魔をしてパッチが貼れないからです。
なので、シーラントによる修理は「イチかバチか」の賭けのようなところがあります。一方、開腹修理であれば穴の大きさによらず、ほぼ確実に直せます。
(2)刺さった異物を確実に取り除ける
今回のパンクは植物のトゲが刺さっていたことが原因で、トゲが外からは抜けない状態でした。仮にシーラントで隙間が塞がったとしても、異物は刺さったままです。これってちょっと気持ちが悪いですよね。
やはり、異物はしっかりと取り除きたいものです。
チューブレスタイヤのパンクも、シーラント剤が防いでくれる訳だけど、刺さったモノが抜けずに、そのまま走っていることも多いんだろうね。
まぁ、本人が知らなければ良いので「気の持ちよう」ですけど、開腹修理であれば原因を知った上で確実に対処できるのが良いと思っています。
(3)達成感がある
チューブラーの開腹修理は手間がかかるけど謎の達成感があるのです。
なので、チューブレスタイヤを(ショップにお任せではなく)自分で運用している人の気持ちがとてもよくわかります。
「自分で苦労して取り付けたタイヤで、乗り心地の良い走りを体験できるのだから、大きな達成感があるのだろうなぁ」と…
バイクで走るだけでなく、こうした手間暇を掛けたメンテナンスやパーツいじりも、サイクルスポーツの醍醐味のひとつだと思っています。
昨年、CORSA CXがスローパンクした時はシーラント剤を使いました(こちらのnoteを参照)。スローパンクは穴の位置がわからないのでシーラント剤を使ったわけですが、やはり裁縫修理は良いものだなぁ、と感じた久々のパンク修理体験なのでありました。
(終わり)
