猫短歌:無視しないでよ!
ミステリー、佳境に没頭、猫を無視、罰はちぎれた最後のページ/銀猫
みすてりー、かきょうにぼっとう、ねこをむし、ばつはちぎれたさいごのぺーじ
作り話のような思い出話をひとつ。
サラリーマン時代の話です。
冬季休暇の最終日は、猛吹雪でした。それを理由にどこにも行かず、というよりも遭難しそうで行けず、朝から晩まで本に没頭していました。
いまも好きですが、あの頃は東野圭吾さんの本を次から次へと読み漁っていました。
パートナーがリビングで仕事をしていたので、わたしは寝室でベッドに寝っ転がりながら、行儀悪い状態で東野ワールドに没入していました。そのときに読んでいたのは、「プラチナデータ」という作品です。
この小説、めっちゃくちゃぐいぐい引っ張り込むんですよね。ミステリ好きで未読の人には、ぜひともオススメしたい。
ベッドの上でうつ伏せになり、仰向けになり、胡坐になり、読み耽っていた訳ですが、時刻はけっこう遅くなってきました。もう少しで読み終わるから、仕事の準備も、猫様のお世話も、いつもよりちょっと遅くなるけれど、読み終わってからにしようっと。そう決心して、読書を止めませんでした。
いまは亡き長女猫はわたしに甘えるコだったので、わたしが本を読んでいる間、ずーっとベッドの上でわたしのそばにいました。彼女は彼女で、伸びたり、毛づくろいしたり、うとうとしたり、水を飲みに行って戻ってきて、また毛づくろいしたり、と、気ままに過ごしていました。
が、それに飽きてしまったようで、途中で「遊んで遊んで」モードになったんです。
いつもだったらすぐに遊んであげるのに、わたしは「プラチナデータ」に夢中になっていて、せいぜい「ちょんちょん」とアタマを撫ぜてあげる程度しかしていませんでした。
そして、物語は佳境へ差し掛かり、ドキドキドキドキしながら読み進めていて、ほんとうに、誇張なしに、何も盛らずに、ほんとうに、最後の1枚(2ページ)を右手でつまんだときに、
「うぎゃああああああああ!」
と、鳴き叫びながら、長女猫がわたしの右手に襲い掛かってきたのです。まあ、遊んでモードではありましたが。
しかしそこで、捲ろうと思ってページの端をつまんでいたせいで紙にテンションがかかっていて、勢いで最後のページが、
ビリッ
と、いきました。
「ああああああ、なにすんのぉぉぉぉ」
と、わたし。
長女猫は、わたしの反応を見て遊んでくれると解釈したらしく、わたしよりは文庫本に狙いを定めて跳びかかってきました。
興奮した彼女を宥めるために遊んで、疲れた彼女が「もういい」というまで30分。目を凝らしながら破れたページをセロテープで修復するのに10分(文字が重なると読めなくなるから慎重に)。
最後の2ページを読み終えることができたのは、長女猫の襲撃から約45分後でした。
ほんとうに、盛っていないんです。マンガでもこんなこと描きませんよね。事実は小説より奇なりって、ほんとうだと思います。
この短歌は、現次世代文学 @tankazine 主催の【一文字短歌】お題「頁」に投稿したものです。
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