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将来の夢がないから志望理由書が書けないと言う君へ【志望理由書対策】

更新日:2026/02/02

 小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、作文・小論文・志望理由書作成における実践的な技法をレクチャーするのが、このシリーズ【文章作成の実践】。

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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)


あなたは本当に将来の夢が「ない」のか?

 またこの「忙しい時期」がやってきました(※2026年1月現在)。志望理由書の添削ラッシュです。高校生が書いた大量の志望理由書が、全国の高校から業者を介して私のもとに送られてきます。したがって、本業の仕事で家を空けるとき以外、私は自宅でこもって、その志望理由書の添削をしています。毎週の添削原稿の締切に追われて、はっきり言ってとても「忙しい」です。

 毎年、1月から私のもとに届きはじめ、これが8月まで続きます。9月以降は推薦系選抜が徐々に始まるので、志望理由書の添削は、例年8月くらいまでです。9月以降の推薦系選抜が始まるまでに、大体どこの高校も高校生に志望理由書を書かせて進路指導を終えなければならないからです。

 で、これもまた例年のことですが、この時期に届く志望理由書は、大体高校2年生の2学期や3学期に書いたものです。ですから、まだ自分の将来像や進路が固まっていないせいか、結構多いのが「私は将来の夢がない」と吐露している志望理由書となることです。ちなみにこのタイプの志望理由書は、1月、2月、3月と時間が経つごとに徐々に減っていき、夏前に届く志望理由書ではほぼこのタイプはなくなります。おそらく、高2から受験学年の高3になり受験が近づくにつれて自分の将来像が少しずつ固まっていくからだと思います(まあ、だんだん受験が近づいてきて将来進路を決めざるを得なくなったから、という言い方もできます)。

 とにかく、この時期は「私は将来の夢がない」という声が多いです。それを悩む者もいれば嘆く者もあり、またはとりあえず今考えられるところまで書いてみたという者もいれば、もう開き直って「大学に入ってから自分の将来は考えます」っていう者とさまざまです。しかし、こうした生徒はみんな口を揃えて言います。「私は将来の夢がない」と。

 まあまあ……、ちょっとみなさん落ち着いてください。で、少し冷静になって考えてみてほしいのです。本当に、あなたは将来の夢がないのでしょうか?「ない」って言っているということは、「どこかにある」って思っているんでしょうか?「どこかにある」けど自分には「見つかっていない」ということなのでしょうか?

あなたの将来の夢は「どこにある」のか?

 そもそも、あなたの将来の夢は「どこにある」のでしょうか?あなたの夢は「どこかにある」と、そう思っているんですよね?では、探せばどこかに見つかるってことでしょうか?

 これと似たようなことに、「自分探し」ってことばがありますよね。私、実はこのことばあまり好きではありません(使い勝手のいいことばなのでつい使ってしまうこともありますが)。若い人がたまに「自分探しの旅に出かけます」って言いますが、では今まさに旅に出ようとしてしている「自分」って何なんですかね?自分が自分を探しに行くって、少し変だと思いませんか?では、それを今考えている自分は何かってことになりませんかね。だから、「自分探し」ってことば、私はちょっと意味がわからないと昔から思っています。自分は、外の世界に探しに行かなくてもこの「自分の中」にいます。自分は自分なんですから。

 「将来の夢」も同じようなものだと思います。あなたの将来の夢は、外の世界に探しに行けばどこかにあるのでしょうか?違いますよね。あなたの将来の夢は「あなたの中」にあるはずです。どこかにあるわけではありません。だから、全ての人の将来の夢はどこかにあるものではない、つまり誰しもがもともと「ない」のです。忘れ物や落とし物ではないですから、「ないない」と探し回ってもどこかにあるわけはありません。「将来の夢」は、あなたが「ある」と思ったらあなたの中に「ある」、あなたが「ない」と思ったらあなたの中に「ない」、そういうものなのです。

 メーテルリンクの『青い鳥』のようなものです。幸福の青い鳥はどこへ行って探してもいません。でも、最後にわかるんですよね。青い鳥は自分の家の中にいたことを。将来の夢も同じだと思いませんか?あなたは「ない」と思っていますが、実はそれあなたが気づいていないだけであなたの中に「ある」のかもしれません。しかし、あなたは今「ない」と思っています。だから今「ない」のかもしれませんよ。

あなたが将来の夢を決めないとそれは「ない」

 「ある」と思ったら「ある」、「ない」と思ったら「ない」、まるで禅問答みたいだななんて言わないでください。これはことば遊びでも哲学論争でもありません。将来の夢は「ある」とか「ない」とかそういうものではないのです。では何か、というとそれは「決めるもの」なのです。あなたがそれを「将来の夢」や目標に「決める」かどうかの問題なのです。

 あなたはまだ「決断する」ことに慣れていません。でも、大人は知っています。「人生が決断の連続である」ことを。就職、転職、退職、結婚、離婚、出産、引っ越し、家を買う……、人生とはまさに決断そのものと言っていいでしょう。人生の分かれ道があったとき、そのどちらの道も選択するということはできません。必ずどちらかの道を決めなければならないものです。あなたはそんな初めての「決断の時」を、今まさに迎えています。今までは、周りの大人がそのほとんどを代わりに「決断」してきました。中学受験をするかしないか、どの塾に行くか、高校はどこに行くかなどなど、親であったり学校や塾の先生があなたの代わりに決めてきたのです。あなたはもう成人(18歳)になります。もう自分のことは自分で決めなければならないのです。自分の将来の目標や夢を決めるのは、あなたが自身の意思によって決断すべきことなのです。

 はっきり言います。「将来の夢がない」というのは全く「ない」のではないのです。あなたの中に興味や関心事として「ある」ものを将来の夢として「決めていない」だけです。あなたの中に漠然とでも「大人になったらこうしたい」、「こういう大人でありたい」、「こういうことが学びたい」というものがあるはずです。それに「将来の夢」という名前を与えたら、それが将来の夢になるのです。その決断をしてください。

(もし志望先が決まっているなら、その志望先の在学生や卒業生といった「先輩」たちの進路を参考にして、自分の将来の夢を考えてもよいでしょう。)

(学びたいことが決まっているなら、そこから志望学部・学科を決めそこで学べることから、将来の夢を発想するのもよいです。)

 あれ?あなた、もしかして躊躇しているのですか?「そんな夢かなうはずがない」、「そんな夢を掲げて失敗したらどうしよう」、「そんな大きな夢を口に出すのは笑われそうで恥ずかしい」なんて……。……そうですね、その夢、かなわないかもしれません。失敗するかもしれません。また、それは苦難の道かもしれません。でも、その夢は実現できるかもしれません。その決断によってどうなるのかは、あなたにも私にもまた周りの大人たちもわかりません。

 ですが、だからこそ「決断」が必要なのです。そしてその将来の夢を実現することが進学の大きな動機や目的となるのです。大学(及び専門学校)を出ればほとんどの人が社会に出ていきます。ですから、大学(及び専門学校)での学びは「社会に出る前の準備学習」の意味合いもあります。将来の夢を決めることで、高等教育の場に進学する意義が生まれます。

(将来の夢や目標が進学に際しての主要な動機となります)

 「もしかしたら今将来の夢を決めても、大学に入ったら別の夢を見つけるかもしれない。だから今決断しなくてもいいじゃないか」、「大学に入ってから、あとでじっくり考えて将来の夢は決めてもいいはずだ」。たしかにそうかもしれません。私にも経験があります。大学に入って多くのことを学び多くの人と出会って、それがきっかけで新しい将来の夢が生まれることも十分にあり得ます。しかし、だからと言って「ここで決断しなくていい」ということにはなりません。なぜなら、あなたは高校卒業後の次の人生のステージを今まさに決める時期にいるからです。この決断を保留にして先延ばしすることはできません。大学に行くのであれ、専門学校に行くのであれ、あるいは企業に就職するのであれ、高校を卒業して次の人生のステージに向かう時期は着々と近づいています。それに対して決断をする、その決め手や根拠として「将来の夢」が必要なわけですから、今ここで「将来の夢」を決めることを後送りにすることはできないのです。

(「大学に入ったら将来の夢が変わるかもしれない」は将来の夢を決めなくていい理由にはならない)

 だからこそ、改めてまたここで言いたいです。あなたは「将来の夢」を決めるべきだと。

まとめ ~今の段階で考えられることでいいので、「将来の夢」を決めてみよう~

 今の段階で考えられる範囲のことでいいですから、「将来の夢」を決めてみてください。それは親も学校・塾の先生もまた私にもできない、あなたにしかできないことです。なぜなら、これはあなたの人生の問題だからです。自分の興味や関心の対象を洗い出し、それをもとにして、将来自分がどういうかたちで社会の中で活躍したいのか考えてみるとよいでしょう。

 私は、もちろん「志望理由書を書く上で『将来の夢』が欠かせないから」という対策上の理由でこの記事を書いています。しかし、かりに受験で志望理由書を書く機会がないとしても、大学受験などに際して是非とも考えておいてほしいと思っています。全ての高校生が将来の夢を決めて受験に臨むことを、私は願っています。それは、あなたの将来にとってとても大切なことだからです。

(こういう本も参考にしてみてください。「進路未定」の状態から適した進路が選べる本です。)


(志望理由書作成のためのサイトマップはこちら)


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