高校生が「仕事とは何か」について考えて「将来の夢」につなげるための本5選【志望理由書対策】
更新日:2025/03/28
小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、作文・小論文・志望理由書作成における実践的な技法をレクチャーするのが、このシリーズ【文章作成の実践】。
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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)
「進路指導には『仕事の紹介』ではなく『仕事とは何かについて生徒に考えさせること』が重要」という気付き
本題に入る前に、この記事を書くきっかけとなった「ある方の記事」の紹介から入らせてください。それは、noteで交流させていただいている古澤伸泰さんの「『将来の夢』はどうやったら見つかりますか?(中学生からの相談)」という記事です。古澤先生はご自身の塾で主に中学生の国語や作文の指導されています。私も中高生に小論文や志望理由書の書き方などを教えているので、古澤先生の記事を度々拝読し、勉強したり日々の指導の参考にしたりしております。いつもお世話になっております。
(「将来の夢」はどうやったら見つかりますか?(中学生からの相談))
この「『将来の夢』はどうやったら見つかりますか?(中学生からの相談)」は、中学生に将来の夢の見つけ方を指南するという旨の記事ですが、この記事を読んで雷に打たれたような衝撃を覚えました。もちろん「中学生に、私ならこう教える」という内容なので全く難しい内容ではありません。むしろ極めて易しい内容です。しかし、これは単に「将来の夢はこう見つけなさい」とハウツー形式で教えたり、「あなたの興味・関心事に関連する仕事にはこういうものがあるから、ここから選ぶとよい」と知識を与えガイドするものではありません。「そもそも仕事とは何か」、「何が仕事になり得るのか」を中学生に考えさせた上で、その自分の将来像をイメージさせるという指導が紹介されています。
こちらの記事を読んだ後、私は同意の気持ちを伝えるべくコメントしたのですが、古澤先生の返しのコメントが的を射ていてこれまたびっくり(詳しくは当該記事のコメント欄を参照)。この発想、私にはなかったし言われれば「たしかにそうだ」と思うことしきり。これは、私がもし中高生なら古澤先生の塾に入りますね(笑)。
しかし、これ、中学生のみならず、高校生にもまた大人にも通じる指導内容ではないかと、コメントした後改めて思ったんですよね。たとえば大学生の就活でも、「起業か就職か」、「どの会社に入るか」、「何の資格をとるべきか」などと具体的な選択肢を列挙しそこから選びがちですよね。でも、その前に「仕事とは何か」、「何が仕事になり得るのか」について考えるべきであり、就職や起業や資格取得はその将来像を具現化する一手段に過ぎないわけです。ですから、こうした「仕事に対する本質的な問いへの探究」をなくして生徒に職業選択をさせるのは、その生徒の将来的可能性をかえって狭め、将来の進路に対するイメージを陳腐なものにしかねないと言えます。今、教育現場での早期からのキャリア教育の必要性が叫ばれている中、これは非常に大事な考え方だと思いました。
(職業選択のためのブックガイド)
(自分を振り返るためのブックガイド)
私は今まで「将来の夢」に関するブックガイド記事を、上掲の通り、二本アップしています。第一弾は「職業選択のためのブックガイド」。第二弾は「自分を振り返るためのブックガイド」でした。しかし、ここで「仕事とは何かを考えるためのブックガイド」記事を第三弾としてアップしたいと考えました。以下、早速本題に入ります。
「仕事とは何か」を考えて「将来の夢」につなげるための本5選
社会に出る前に普遍的で本質的な仕事観を獲得しよう!『僕たちはまだ、仕事のことを何も知らない。』各務展生 (著), 糸貫律 (著), 木平木綿 (その他)
三人の大学生の就職活動を描いた長編漫画です。就活前の大学生が対象の本ですが、漫画であることと中高生に近い年代の大学生が主人公となっているストーリー構成となっていることから、中高生にも手をとりやすい本なのではないかと思います。まさに今回の本記事のテーマにぴったりの一冊。「自分に合った仕事とは何か?」、「そもそも就職する意味とは?」を社会に出る前の若者が就活の中で考えていくことに、自分を重ね合わせていくことで、普遍的で本質的な仕事観が獲得できます。
仕事とは「社会の困りごとを解決すること」だ!『9割の社会問題はビジネスで解決できる』田口 一成 (著)
著者は、社会起業家でボーダレス・ジャパン代表の田口一成氏。この田口氏が代表を務める同会社は「1000人の社会起業家を生み出し、1000の社会問題を解決すること」を目標にしているそうです。古澤先生も上掲のnote記事で述べられていますが、この「社会問題の解決がビジネスになる」という発想は極めて本質的な仕事観です。誰かが困っていることに対して手助けしたり解決したりすることこそ「仕事が仕事たる所以」。このことは、医療や介護、その他のエッセンシャルワーカーなどを見ればわかるでしょう。ソーシャルビジネスのドキュメンタリー本とも言える大人向けの内容ですが、「将来の仕事を考える大きなヒント」を与えてくれる一冊です。
仕事は社会を変えることができる!『政策起業家 ――「普通のあなた」が社会のルールを変える方法』駒崎 弘樹 (著)
高校生の志望理由書で、「地域社会へ貢献するために公務員になりたい」と書いているものをよく目にします。でも、そのときいつも私はこう思うんですよね、「それ公務員じゃなくてもできるよ」って。民間事業からでも社会を変革できる、そうした「政策起業家」の提言をまとめた本。著者の駒崎氏は認定NPO法人フローレンス代表。共済型・自宅訪問型の病児保育事業などの立ち上げを通じて、その知見をもとに政策提言を行い社会を変えてきた人です。「自分が将来やりたいことをやるための選択肢はその一つだけではない」ということがわかる一冊です。
その「クソ仕事」はなぜ存在し得るのか?『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』酒井 隆史 (著)
先に紹介した二冊を見ると「仕事とは社会的必要性のもとに生まれ存在する」ということがわかるかと思います。しかし、その一方で世の中には「それ何の意味あるの?」という「どうでもいい仕事」もあります(しかもそこそこ儲けている)。こういう仕事のことを海外では「ブルシット・ジョブ(クソ仕事)」と言うのだそう。一時話題になったワードで、中高生のみなさんにはピンとこないかもしれませんが、大人なら「そういう仕事あるよね」と必ず思い当たることがある言葉です。この「どうでもいいクソ仕事」が高給で、何でエッセンシャルワーカー(介護、警備業、清掃業などの社会インフラに欠かせない仕事)の給与が低いのか。そしてこの「クソ仕事」はなぜ増えるのか。「ブルシット・ジョブ」を通して「仕事とは何か」を改めて問い直す一冊。
「やりたいこと」が社会に仕事としてないなら、自分で「仕事」にしてしまえばいい!『ない仕事のつくり方』みうら じゅん(著)
世の中にはよくありますよね、「それどうやったらなれるの?」という仕事。「このやりたいことが仕事にできたら……」と夢見ながら、「でもそんな仕事あるわけないよね……」とほとんどの人が諦めて「現実」を見ます。でも、「もしかしたらそのやりたいこと、仕事になるかもよ!」というのがこの本の主旨。著者は「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親でもあるみうらじゅん氏。あの「タモリの隣とかにいる長髪サングラスのオジサン」は何でどう飯を食っているのか、という謎に迫ります。それまで社会に「なかった仕事」を、企画、営業、接待も全部自分でやる「一人電通」という手法で作ってきた「みうらじゅんの仕事術」、つまり「自らで社会的必要性を作りそれを仕事とする方法」を解説した一冊。真似するかどうかは別として、「ありきたりな仕事に対するイメージ」を打破することは間違いなしです。
まとめ ~「仕事とは何か?」、「それが仕事になるためには、仕事をどのようにとらえるべきか」をまずは考えて欲しい~
将来の夢が見つからずに困っている中高生には、将来の夢を今ある既存の選択肢の中から選び取るよりも先に、まずは「仕事が仕事として成立する条件」を考え「仕事とは何か」という「仕事に対する本質的な問いかけ」をして欲しいです。これは「就職するか否か」はもちろんですが、「進学するか否か」に際してもそうです。「高校の次は大学に行くのが当たり前」、「大学卒業したら就職するのが当たり前」ではなく、もっと多くの可能性を考えつつ自分の将来像がデザインできるとよいでしょう。そのためには、「将来の夢を『見つける』と考えるのではなく、「将来の夢を『作る』」、「将来の目標を『立てる』」と考えた方がよいと言えます。
これから志望理由書作成などで「将来の夢」について書く機会がある高校生は、紹介した本などを参考に是非「仕事とは何か」について考えてみてください。もちろん、そうした機会がない生徒も、自分のこれからを考えるためにも、「仕事とは何か」について考えてみることを強くおすすめします。
(志望理由書作成のためのサイトマップはこちら)
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