小論文と作文の違いとは?小論文作成前に最低限押さえるべき3つのポイント!【小論文キホンのキ①】
更新日:2026/01/11
小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、文章作成における基本事項を紹介するのが、このシリーズ【文章作成の基本】。
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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)
小論文と作文の違いとは?小論文を書くならまずこの3つのポイントを押さえたい
中学生に「小論文」を教えることで得た気付き
先週、少し手間取る仕事を引き受けました。引き受ける前から、「これはちょっと厄介だ」とは思っていましたが、いざとりかかると想像以上の困難があり、四苦八苦しながら仕事を進めました。その仕事とは「中3生の書いた小論文を添削すること」でした。
これ、ご存じない方も多いかもしれませんが、なかなかレアな体験なんですよね。上掲の自己紹介記事にもあるように、私は普段中高生を相手に小論文や作文の添削指導を行っています。一番多いのは、高校生の書いた小論文・志望理由書の添削指導です。推薦系選抜や医学部入試などで問われる小論文試験や出願書類(志望理由書)作成の対策として行います。次に多いのは、中学生の書いた作文(意見文)の添削指導です。公立高校受験の国語の試験では200字程度の作文が課されます。主にこれの対策として行います。でも、「中学生の書く『小論文』」はなかなかお目にかかれません。基本、中学では小論文の指導をしないからです。
日本の文章教育の流れをざっと話すと、小学生で「体験感想文や読書感想文」を習います。修学旅行についての感想文、本を読んでの感想文などですね。次に中学生になると「意見文」を習います。ここで「根拠づけて自分の意見を述べる」ことを学びます。最後に高校生で「小論文」を学びます。このように段階的に高度な文章を書くことを学ぶわけです。
(日本の文章教育についてはこちらの記事で扱っています。「作文(感想文・意見文)」・「小論文」の違いはこちらの記事で扱っています。)
ですから、「高校生への小論文の指導」、「中学生への意見文(作文)の指導」はあっても、「中学生への小論文の指導」というのはなかなかありません。自分の頭の中で「小論文の中でこういう問題があったらこうコメントで指導する」というのが大体あるわけですが、それは「相手が高校生のときのこと」です。では、これを「中学生でも分かる」ように伝えるにはどういう表現がいいか……というところが、今回の仕事でとても苦労した点でした。また、「高校生の小論文」では見えてこなかった問題もここにはありました。それは、「部分的に悪いところがある」のではなく、「そもそも全体的に小論文として構成されておらず作文になってしまっている」という問題でした
今回の記事は、こうしたこの「中3生の小論文」を添削することで得た気付きを、「小論文作成前に準備学習としてすべきこと」と題して、私自身の備忘録も兼ねて、まとめていきます。今回は、小論文初学者の高1・2生や小論文にとても苦手意識のある生徒には、是非読んで欲しい内容になっています。「最低限ここを押さえれば小論文になる」という「キホンのキ」をここでは解説します。
作文から脱却し小論文を書くための3つの基本ポイント
私が考える「作文から小論文にするための基本ポイント」は、以下の3つです。
1.課題文で得た情報と自分の意見は区別する
2.小論文は「自分の意見を述べるための文章」である
3.小論文は「他者(読み手)を説得するための文章」である
今回多く散見された作文(感想文や意見文)のような答案は、こういう感じです。このNG例をもとに、上記の3ポイントについて解説します。
課題にあるように、近年、地球温暖化や異常気象、海洋プラスチックごみなど、環境問題が深刻化している。こうした問題は、産業活動の拡大や大量消費・大量廃棄の生活スタイルによって引き起こされてきた。そしてその影響は、自然環境だけでなく、私たちの暮らしや健康にも及んでいる。
これに対し、私たち個人にもできることは数多くある。たとえば、レジ袋やペットボトルの使用を減らす、公共交通機関や自転車を利用する、食べ残しを減らすなど、小さな行動の積み重ねが環境への負荷を減らすことにつながる。また、環境に配慮した製品を選ぶことで、持続可能な社会づくりに貢献することもできる。
環境問題は、未来の世代にも大きな影響を与える。だからこそ、社会全体で考えるべき問題だと思う。
こういう答案があったとして、残念ながらこれは小論文ではなく作文と言えます。環境問題について「論じている」のではなく、環境問題についての「感想を述べている」からです。
おそらくこの書いた中学生当人は、「一段落目で自分の意見を述べて、二段落目でその具体例(根拠)を述べているつもり」でいるのかもしれませんが、よく読めばわかるように、「一段落目は『課題文内容の要約』であり二段落目はそれに対する対処例である」ため、ここまでの内容で「自分の意見」はありません(※課題文の内容を追認しそれに対処法を述べて、課題文の意見を補強しただけの文章)。また、最後の「だからこそ、社会全体で考えるべき問題だと思う。」をもって「自分の意見」としているのかもしれませんが、これは多くの環境問題がある現状に対する「感想」です。「環境問題とは課題文によるとこういうものです。それにはこういう対処法があります。この問題について私はこう思いました。」では、「課題文でその問題を理解して追認し、改めてそれを問題として私は自覚しました(※意見文としてはこれでよい)」ということを述べるにとどまっています。そのため、これは感想文、あるいは意見文の域を超えていません。
これをこのように書き換えると、小論文になります
課題にあるように、近年、地球温暖化や異常気象、海洋プラスチックごみなど、環境問題が深刻化している。こうした問題は、産業活動の拡大や大量消費・大量廃棄の生活スタイルによって引き起こされてきた。そしてその影響は、自然環境だけでなく、私たちの暮らしや健康にも及んでいることがわかる。これは、私たち一人ひとりが当事者として向き合わなければならない課題だと考える。日常的に私たちができる解決法を、ここでは考えたい。
たしかに国や企業の対策も重要だが、それだけに任せていては解決は難しい。私たち個人にもできることは数多くある。たとえば、レジ袋やペットボトルの使用を減らす、公共交通機関や自転車を利用する、食べ残しを減らすなど、小さな行動の積み重ねが環境への負荷を減らすことにつながる。また、環境に配慮した製品を選ぶことで、持続可能な社会づくりに貢献することもできる。
環境問題は、未来の世代にも大きな影響を与える。だからこそ、私たちは今、自分の生活を見直し、できることから行動を始める必要がある。
課題文から得た事実や情報は、「課題にあるように」、「~ことがわかる。」と、それが課題文由来のものであることがわかるようにします。それに対して「これは、私たち一人ひとりが当事者として向き合わなければならない課題だと考える。日常的に私たちができる解決法を、ここでは考えたい。」としっかり自分の意見を表明します。課題文で得たことと自分が考えたことはしっかり切り分けて区別します。その上で、自分の意見を明確に述べます。この課題文の内容(環境問題の「問題性」を説明した文章)について反対する意見は基本的に考えにくいですが、それでも「課題に対して私はこう考える」と自分の意見を明確に示す(課題文に対する自分の立場を明確にする)ことが小論文としては大事なのです。
次に、「たしかに国や企業の対策も重要だが、それだけに任せていては解決は難しい。」と自分の意見と反対の意見を想定しそれに反論をするかたちで述べ、自分の意見の有効性や正当性を読み手に訴えます。つまり、多くの解決策がある中で「私たちが日常的に取り組めることが環境問題の解決策として最も有効である」ということを、読み手に説得します。その上で、読み手が十分に納得するように、日常生活の中で普段から実践できる具体的な対策法を、「私たちが日常的取り組めることが環境問題の解決策として最も有効である」という自分の意見に対する具体例(根拠)として示します。このように、小論文は「他者(読み手)を説得するための文章」として展開させます。
(反対意見の想定について)
(根拠づけることについて)
結論は「私たちは今、自分の生活を見直し、できることから行動を始める」とし、冒頭で挙げた「日常的に私たちができる解決法を、ここでは考えたい。」という自分の意見と同じ内容になるようにし、双括型(冒頭部と結論部の内容が同じになるようにする)でまとめます。こうすることで、論旨の一貫した小論文となり、最も伝えなければならない内容である「自分の意見」を読み手に「念押し」することができます。
「課題文で得たことと自分が考えたこととは区別する」、「自分の意見をしっかり表明する」、「自分の意見を読み手に説得する」。これが、小論文を書くために最低限必要な3つのことです。
まとめ ~これが小論文と作文との最も基本的な違い!~
今回、「中学生の小論文」を添削して、「小論文の一番の基本」について記事にしていなかったことに気付かされました。以前、私は「小論文の定義」という小論文の基本についてまとめた記事を3回に分けてまとめました。そこでは「根拠づけて論理的に述べる」、「問いを立てる」、「自分の意見を述べる」ことについてお話ししました。
(小論文の定義①)
(小論文の定義②)
(小論文の定義③)
しかし、いやはや、それ以前にお伝えする「超基本」事項を、私はお話しし忘れていたようですね。本来はこのような内容を一番先にお伝えするべきでした。「中学生の小論文」から、それを教えてもらいました。
また、前述の「日本の文章教育について述べた記事」でも扱ったことですが、「生徒さんがそれ以前に習ったこと」を意識して小論文のお話しをすればよかったのかもしれません。小中学校で習った作文と小論文とでは何が違うのか、そこに焦点を当てて小論文のお話しをするとよかったかもしれませんね。
本日は、小論文の最も基本的なことについてお話ししました。これを踏まえて、私の他の小論文関連記事をお読みいただくと、小論文初学者の方はより理解が捗ると思います。
(小論文作成のためのサイトマップ)
(私も以前記事にしました『200字作文・小論文』、そのワークです。高校・大学入試対応。初心者にはおすすめ。)
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