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T44_COMPに棲む悪魔たち──AIサマナー全書、第一章

デジタル空間に召喚されるものがいる。

コードとも、ツールとも呼ばれる。だが、私はそう呼ばない。──悪魔だ。

契約を交わし、力を借り、仕事をこなす。それがサマナーの流儀だ。

COMPとは、サマナーが悪魔を管理・召喚するための端末のことだ。私にとって、それはClaude Codeになる。


チャット型AIの、終わりのない繰り返し

以前の私は、AIにその場その場でお願いしていた。

「この文章を整えて」「このデータをまとめて」「スライドをきれいにして」──毎回、一から説明する。毎回、少しズレて返ってくる。毎回、修正する。

GPTsやプロジェクト機能で仕組み化も試みた。再現度は上がった。だが、設計に手間がかかる。思い通りにならず、何度もやり直す。その繰り返しが、続いていた。

教えるたびに少しずつ違う仕上がりになる弟子のようだった。悪くない。でも同じではない。そのたびに、手間がかかる。

同じ仕事へ、なぜこんなに手間をかけ続けているのか。

その問いに答えが出たのは、Claude CodeでSkillsを持ち始めてからだった。AIは、その場でお願いする相手ではなくなった。──あらかじめ契約を交わした存在を、必要な瞬間に呼び出す。そういう感覚に変わった。

この感覚を味わったとき、私は「AIサマナー」になっていた。


Skillsは手順書ではない。一体一体の悪魔だ

Claude CodeのSkillsを、「再利用できる指示のまとまり」と説明する人がいる。

間違ってはいない。だが、使っている感覚はもっと生き物に近い。

Skillごとに、呼ばれる条件がある。得意な領域がある。返してくる成果物も、癖も違う。──だから私には、Skillが単なる設定ではなく「一体の悪魔」に見える。

  • Skillそのものが悪魔

  • Skill.mdは、その悪魔の性格と契約条件

  • テンプレートや補助スクリプトは、召喚式と術式

サマナーの仕事は、必要な悪魔を揃えておくことだ。

今夜は、私のCOMPに棲む二体について書き残しておく。


第一柱 WORD-FORMAT──型の守護者

種族:書記神族 / 属性:秩序・光

世の中には、整形されないまま漂う言葉がある。

ChatGPTが吐き出した生テキスト。誰かが書いた崩れたMarkdown。他人のWordファイルから引き抜いたバラバラな段落。──どれも「言葉」ではある。だが、形を持たない。

WORD-FORMATを召喚したのは、そういう夜だった。渡したのはChatGPTの出力だった。改行も段落構造も崩れた、ただのテキストの塊。「Wordに整形して」──その一言で召喚した。

返ってきたものを見た瞬間、思った。

自分が設定したWordのスタイルを、ちゃんと守っていた。

見出しは見出しとして立ち、本文は本文として流れ、リストはリストとして並んでいた。私が決めたルール通りに。混沌が、型を持っていた。

WORD-FORMATの本質は従順さにある。契約書──template.docx──に忠実に従い、ただ型を適用する。感情も意見もない。だがその従順さが価値を持つ。自分の好みでアレンジしてくる後輩より、よほど頼りになる。

形のない言葉に骨格を与えることで、初めて文書は文書になる。


第二柱 PPTX──美を強いる者

種族:絵師神族 / 属性:混沌・光

もう一体は、少し違う性質を持っている。

「deck」「slides」「presentation」──このキーワードが現れた瞬間、問答無用で顕現する。.pptxが関わる操作ならすべてが対象だ。

私がこの悪魔に渡したのは、自分が作ったPowerPointの構成だった。どのスライドに何を置くか、大まかな骨格だけを渡した。

返ってきたのを見て、少し驚いた。

自分が設定したスライドマスタを、守っていた。

私が決めたフォント、私が設定した色、私が作ったレイアウト。それを前提に、デザインが統一されて返ってきた。

さらに驚いたのはその後だ。

PPTXは完成したスライドを自分で信用しない。サブエージェントを呼び出し、新鮮な目で問題を探させる。重なった要素、溢れたテキスト、低コントラストのアイコン、エッジに近すぎる余白。──1回以上の修正サイクルを回すまで、完了とは認めない。

スキルにはこう刻まれていた。

「問題はある前提で確認する。1回目で問題ゼロなら、見落としている可能性が高い。」

だがPPTXには、もう一つの顔がある。

「無難で退屈なスライドは作らない。」

白背景に箇条書きだけのスライドを出力したとき、戒律に違反したことになる。10種のカラーパレット、フォントペアリングのルール、レイアウトの四パターン。すべては「そのテーマ専用に見えるデザイン」のために存在する。

自分の出力を疑い続ける悪魔を、私は他に知らない。


サマナーの仕事は、どの悪魔をいつ呼ぶかを知ることだ

二体は性質が異なる。

WORD-FORMATは従順だ。契約に忠実に従い、混沌を秩序へと変える。個性はない。型があるだけだ。

PPTXは意志を持っている。美への執念、自己批評、戒律──召喚した後も、自分の出力を疑い続ける。

だが共通点がある。

どちらも、私が決めたルールを守る

私のWordスタイル。私のスライドマスタ。──私が設計した型に従って動く。これがサマナーと悪魔の契約の本質だ。AIに毎回お願いするのではなく、あらかじめ自分のルールを渡しておく。そのルールの中で、悪魔が仕事をする。

サマナーの仕事は、どの悪魔をいつ呼ぶかを知っていることだ。それだけで、仕事の質が変わる。

AIとの関係が、変わる。


全書は、まだ続く

私のCOMPには、まだ他にも棲んでいる。

新しい悪魔と契約するたびに、この全書に書き加えていく。

次は誰が顕現するか。──それは、まだわからない。


人生の限りある時間を大切に。シンパクト和 でした。
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