見出し画像

A31_頑張っても変わらない仕事は「設計ミス」である

起案した文書、また差し戻しになっていませんか。

「気をつけて」と言われ続けて、それで解決しているでしょうか。
この記事では、その原因が「人」ではなく「設計」にあることを整理します。

あなたの職場で、
毎回ほぼ同じ作業なのに、
毎回消耗している仕事はないでしょうか。

その消耗の正体は何か。
そして、それは本当に「人が頑張るべき仕事」なのか。



仕事が遅い人は、能力が足りないのか


職員室を見回してみてください。

仕事が遅いと言われている人は、
本当に考える力が足りないのでしょうか。

多くの場合、そうではありません。

実際に何が起きているかというと、

  • 書式を調べている

  • 前回のファイルを探している

  • 転記が合っているか確認している

  • 体裁を整えている

  • 同じ手順を思い出しながらやっている

つまり、考える前に、消耗している

記憶する。探す。確認する。整える。転記する。
これらは「考える仕事」ではありません。
脳の周辺作業です。

ここにエネルギーを吸い取られた状態で、
「もっとちゃんと考えて」と言われても、
それは酷というものではないでしょうか。


外部宛文書で毎回つまずく理由


ひとつ目の現場は、書類仕事です。

たとえば外部宛文書。
書式のフォーマットが守られていない、という問題は、
どの学校でも繰り返し起きています。

差し戻し。修正。再提出。
そしてまた、別の人が同じ間違いをする。

外部宛文書は、毎回ゼロから考える仕事でしょうか。
違います。ほぼ定型です。

定型なのにミスが出る。
それは能力不足ではありません。
仕組み不足です。

書式が共有されていない。
ルールが「知っている人だけが分かる」状態になっている。
個人の注意力に頼っている。

「気をつけましょう」で解決するなら、
とっくに解決しているはずです。

必要なのは、気をつける人を増やすことではなく、
外しにくい入口を作ることです。

テンプレートを整備する。
入力すべき項目をチェックリストにする。
よくあるミスを事前に潰す仕組みを置く。

やることは地味です。
でも、この地味さが現場を救います。


成績処理で溶けていく時間


ふたつ目の現場は、テスト後の成績処理です。

採点が終わった後に待っているのは、
集計、入力、並べ替え、観点別整理、
データの移し替え、手作業の確認。

流れはほぼ毎回同じ。
なのに、毎回手作業で触ります。

転記ミスが出る。
修正が入る。
再確認に時間が溶ける。

先生の仕事は、セルをいじることでしょうか。
違います。数字の意味を読むことのはずです。

なのに、処理で消耗して、
肝心の「この生徒はどこでつまずいているのか」を
考える余力が残らない。

手作業を丁寧にやることは美徳かもしれません。
ただ、反復作業を放置する理由にはなりません。

毎回同じ流れなら、そこで消耗する必要はないはずです。
定型の処理は仕組みに任せて、
人間は判断に集中する。

それだけのことで、
処理に追われていた時間が、生徒を見る時間に変わります。


会議が長いのは、議論が深いからか


みっつ目の現場は、会議です。

何を決める会議なのか曖昧なまま始まる。
話題が広がる。脱線する。
結論がぼんやりしたまま終わる。
次のアクションが決まらない。
議事録は出るが、読むだけで終わる。

会議が長いのは、
議論が深いからとは限りません。

論点が整理されていないだけの会議は、
実は多いのではないでしょうか。

会議中、人間は二つのことを同時にやっています。
「考える」と「整理する」です。

話を聞きながら、
論点を分ける。
決定事項と未決事項を分ける。
担当と期限を割り振る。

これを全部、頭の中でやっている。
そりゃ疲れます。

ここで必要なのは、
「もっと集中して聞きましょう」ではありません。

整理の負荷を下げることです。

会議の前に論点を整理しておく。
終わった後に決定事項・未決事項・次のアクションを分離する。
共有する形式を「読まれる形」に変える。

考えることと整理することを分けるだけで、
会議の質は変わります。


3つの現場に共通する構造


書類は、形式でつまずく。
成績処理は、処理で消耗する。
会議は、整理が追いつかない。

一見バラバラに見えます。
でも、共通する構造があります。

考える前に、エネルギーを失っている。

どの場面でも、人が本来やるべき判断にたどり着く前に、
周辺作業に足を取られています。

そしてどの場面でも、
解決策として出てくるのは「気をつけよう」「頑張ろう」。
でも、それで解決した試しがない。

これは個人の能力の問題ではありません。
仕事の設計の問題です。


ツールは「代行者」ではなく「解放装置」


ツールは、自分ができないことを代わりにやるものではありません。

記憶を補う。
抜け漏れを防ぐ。

型を整える。
情報を見つけやすくする。
定型処理を自動化する。

やっていることは地味です。
でも、これによって何が起きるか。

人間が本来持っている判断力、発想力、整理力が、
発揮しやすくなる

AIも同じです。
「賢い答えを出す機械」として見るだけでは浅い。

AIの本当の価値は、
人の詰まりを外すことにあります。

覚える仕事を、気づける仕組みに変える。
頑張る運用を、回る運用に変える。
個人技を、再現可能な型に変える。

ツールは代行者ではなく、解放装置です。


自分だけ速くなっても、職員室は変わらない

もうひとつ、大事なことがあります。

自分だけが速くなっても、
組織はあまり変わりません。

10人が関わる仕事で、
自分だけ半分の時間で終わっても、
全体から見れば小さな改善にとどまります。

本当に効くのは、

  • 型を共有すること

  • 仕組みに落とすこと

  • 誰でも近い水準で回せるようにすること

ここで初めて、ツール活用が
「個人技」から「組織改善」に変わります。

速い人を増やすのではなく、
速くなる仕組みを置く

ノウハウを抱え込む人ではなく、
型にして渡せる人が、次の段階にいます。


あなたの現場で、放置されている仕事はどれか

あなたの職場で、
毎回ほぼ同じなのに、毎回消耗している仕事は何でしょうか。

それは本当に「人が頑張るべき仕事」でしょうか。

そのやり方は、隣の人にも渡せるでしょうか。

忙しいのは、仕事が多いからではないかもしれません。
改善されていない仕事が、残っているだけかもしれません。

意志に頼る運用は、いつか限界が来ます。
続くのは、忘れても戻れる仕組みと、
考えなくても回る流れです。

頑張れる人を増やすことではなく、
頑張らなくても回る流れを作ること。

それが、現場を変える一番地味で、
一番確実な方法だと思っています。


人生の限りある時間を大切に。シンパクト和 でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。スキやコメントをいただけると励みになります。

いいなと思ったら応援しよう!

シンパクト和先生 チップ一枚の魔法、ライターが泣いて喜びます!