セーフガーディングとアンガーマネジメント
セーフガーディングとは何か
最近、「セーフガーディング」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
ただ、日本ではまだあまり馴染みがない言葉かもしれません。
まず、セーフガーディングとは何か。
簡単に言うと、
子どもや立場の弱い人を、あらゆる危険や不適切な関わりから守る取り組み
のことです。
スポーツの現場で言えば、
・暴言や威圧的な指導
・体罰や過度な叱責
・心理的な圧力
こうしたものから選手を守るという考え方です。
つまり単に「安全にプレーできる環境」だけでなく、
心理的に安心できる環境をつくることも含まれています。
サッカー界では広がり始めている
実はこのセーフガーディング、
日本全体ではまだ認知が高いとは言えませんが、
サッカー界では比較的積極的に取り上げられているテーマです。
指導者講習や研修の中で扱われたり、
安全・安心な環境づくりの重要性が共有される場面も増えてきました。
背景には、
・スポーツ現場におけるハラスメント問題
・子どもたちの権利意識の高まり
・国際的なスタンダードへの対応
などがあります。
つまりセーフガーディングは、
単なる理想論ではなく、
これからの指導現場に求められる“当たり前”になりつつある考え方です。
なぜセーフガーディングが必要なのか
スポーツの現場ではこれまで、
「厳しさ=良い指導」
とされてきた側面があります。
確かに、成長のために厳しさが必要な場面もあります。
しかしその厳しさが、
・人格を否定する
・恐怖で支配する
・萎縮させる
といった方向にいってしまうと、
それは指導ではなくリスクになります。
実際に、強い言葉で指導された経験が原因で、
・スポーツを辞めてしまう
・自己肯定感が下がる
・挑戦することが怖くなる
といったケースも少なくありません。
怒りがセーフガーディングを崩すことがある
ここで関係してくるのが、アンガーマネジメントです。
指導者が怒りに任せて言葉を発したとき、
その意図がどうであれ、受け手にとっては
「怖い」
「否定された」
「萎縮する」
と感じることがあります。
例えばこんな場面です。
試合中にミスをした選手に対して、
「なんでそんなこともできないんだ!」
と強く言ってしまう。
指導者としては、
「もっとできるはず」
「改善してほしい」
という思いかもしれません。
しかし受け取る側は、
「自分が否定された」
と感じる可能性があります。
このズレが、セーフガーディングの観点では問題になります。
アンガーマネジメントの視点
アンガーマネジメントでは、
怒りは自然な感情であり、なくすものではないと考えます。
ただし大切なのは、怒りに任せて行動しないことです。
特に指導の現場では、
・感情で伝えているのか
・目的に沿って伝えているのか
を切り分ける必要があります。
同じ内容でも、
「なんでできないんだ!」
と
「今のプレー、次はどう改善できそう?」
では、受け取り方が大きく変わります。
つまり、
指導の質は感情の扱い方で大きく変わる
のです。
セーフガーディングを実践するために
現場でできることはシンプルです。
①怒りを感じたら一度止まる
②事実ベースで伝える
③安心して失敗できる環境をつくる
この3つだけでも、環境は大きく変わります。
感情を扱えることが指導力になる
これからの時代、指導者に求められるのは
技術だけでなく、感情の扱い方
です。
セーフガーディングは、選手を守るための考え方。
アンガーマネジメントは、それを実現するためのスキル。
この2つは別のものではなく、
これからの指導現場において欠かせないセット
だと感じています。
