航空会社上級会員第3の選択肢:スカイチーム系クレジットカード
日本の航空市場は長らく、ANA(スターアライアンス)とJAL(ワンワールド)という二大勢力が主導してきました。こうした二極構造に対し、本記事が解説する「上級会員・第3の選択肢」は、スカイチームという強力なグローバルアライアンスを、クレジットカード戦略で活用する新しい道です。
スカイチームには、デルタ航空、ベトナム航空、大韓航空、エールフランス航空、KLMオランダ航空など、世界を代表する航空会社が加盟しています。特徴的なのは、フライト実績(いわゆる「修行」)がなくても上級会員資格(エリートステータス)が付与される提携カードを展開している点です。これにより、日本の利用者でもANAやJALに縛られず、優先チェックイン・優先搭乗・ラウンジ利用といった「優先の動線」をすぐに手に入れることができます。
とくに、搭乗実績ゼロで優遇サービスを享受できる上級会員資格の付帯は、出張の多いビジネスパーソンや長距離旅行者にとって大きなアドバンテージです。こうした戦略を実際に採用している代表的なカードが、デルタ航空とベトナム航空の提携クレジットカードです。
1. スカイチームの会員階級:エリートとエリートプラスの違い
スカイチームの上級会員は「エリート(Elite)」と「エリートプラス(Elite Plus)」の2段階です。エリートでは優先チェックイン、優先搭乗、座席指定の優遇、マイル加算率アップといった基本特典が中心で、空港での並び時間や搭乗時のストレスを確実に減らします。
対してエリートプラスは、これらに国際線ラウンジ利用、優先保安検査・手荷物検査、手荷物の優先受け取り、超過手荷物許容量の追加が上乗せされます。出張の乗り継ぎ(トランジット)や長旅では、この差が体感価値を大きく左右します。
なお、航空会社の上級会員になるメリットは、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
2. デルタスカイマイルアメリカン・エキスプレス®・ゴールド・カード
(年会費28,600円/税込)
アメックス発行のデルタ提携カードは、まさに「ステータス獲得」を最大の特長とします。
ゴールドメダリオン(スカイチーム・エリートプラス)の付与
このカードを保有するだけで、通常年間50,000マイル以上のフライトが必要とされる上級会員資格「ゴールドメダリオン」が初年度から無条件で付与されます 。空港では、ビジネスクラスラウンジ利用、優先チェックイン、優先搭乗など、実務で効く優先動線が初日から手に入ります。
翌年度以降の継続条件は明快で、年間150万円以上のカード利用でゴールドメダリオンを維持できます。もし年間100万円以上150万円未満であれば、ワンランク下のシルバーメダリオン(スカイチーム・エリート)が付与されます。
なお、JALのJGCやANAのSFCと異なり、メダリオン資格は基本カード会員のみが対象で、家族会員は同等扱いではありません。ここは制度上の重要な違いとして押さえておきたいポイントです。
日常のマイル積算も実用的です。通常利用は100円につき1マイル、デルタ航空での利用は3倍、海外での利用は1.5倍と、海外出張や外貨決済の多い方には自然にマイルが積み上がる設計になっています。
さらに、下位のデルタスカイマイルアメリカン・エキスプレス・カード(一般・年会費13,200円)でも、入会から1年間はシルバーメダリオンが無条件付与。翌年度以降は年間100万円以上の利用で継続できます。
3. ベトナムエアラインズゴールドカード
三井住友カード発行のベトナム航空 ロータスマイル提携カードも、デルタと同様にカード保有で上級会員資格を付与する設計で差別化しています。
ゴールド/チタニウム資格(スカイチーム・エリート)の付与
ゴールドカード(年会費44,000円・税込)を保有するとロータスマイルのゴールド、一般カード(年会費5,500円・税込、初年度無料)ではチタニウム会員資格が付帯します。いずれもスカイチーム・エリートに相当し、フライト実績なしで各種優先サービスを受けられます。
ベトナム航空のゴールド会員としては、以下の特典を利用できます。:
ベトナム航空便利用時のビジネスクラスラウンジ利用
ビジネスクラスチェックインカウンターと優先搭乗(対象空港限定)
国際線エコノミークラスの72時間以内の座席確保(条件あり)
超過手荷物1個免除(VN便名の運航便のみ)
各フライトあたり50%のボーナスマイル(ただしクオリファイングマイルには充当不可)
スカイチーム・エリート会員資格付帯
基本のマイル積算率は100円=1マイル(還元率1.0%)で、航空系カードのスタンダードを押さえています。
ユニークなクロスアライアンス特典
特筆すべきは、クロスアライアンス的な利便性です。日本国内での運用場面では、ゴールドの場合、ANAとのコードシェア便利用の際にも、ビジネスクラスラウンジ利用・優先搭乗・スカイプライオリティタグ・受託手荷物の優遇(+1個・23kg)といったメリットが享受できる点がユニークです。
4. どちらを選ぶべきか:出張族・海外旅行派の視点
空港での快適さを重視する方には、デルタ アメックス・ゴールドがおすすめです。初年度は無条件でスカイチーム・エリートプラス(ラウンジ・優先検査・手荷物優先など上位特典)が付与され、翌年度以降も年間150万円の利用で維持できます。海外決済は1.5倍、デルタ航空利用は3倍マイルが貯まるため、海外出張が多い方ほどお得です。唯一の注意点は、家族カードに上級資格が付かないことです。
一方、ベトナム航空を頻繁に利用する方には、ベトナム航空 × 三井住友カード ゴールド(年会費44,000円)も選択肢になります。自社便でのビジネスクラスラウンジ利用や優先チェックイン・優先搭乗、超過手荷物免除など特典が充実しており、ANAコードシェア便利用時にも優遇が受けられます。
ただし、もし年間150万円以上カードを使う見込みがある場合は、より安い年会費(28,600円)で上位特典を持つデルタ アメックス・ゴールドのほうがコストパフォーマンスに優れます。
ベトナム航空の利用が少ない方は、まず一般カード(年会費5,500円・初年度無料)でスカイチーム・エリート(基本の時短特典)を確保し、必要に応じてゴールドへアップグレードするのも現実的です。
