島みかんと見えてくるもの
朝、久しぶりにぐっすり眠って目が覚めた。
歯を磨き、顔を洗って、瞑想へ。
目を閉じて内側に意識を向けると、
からだの奥に、力が満ちている。
レッスンを二本して、
少しだけ、とパソコンを開いたら、
気づけばお昼をとうに過ぎていた。
肩を大きく回しながらキッチンへ行き、
白菜、小松菜、舞茸で煮浸しを作り、
ゆで卵と蒸し人参も添えて、簡単なご飯にした。
お出汁がじゅわっと染み込んだ白菜。
寒くなると、とろっとやわらかい食感がしみじみ美味しい。
食後、パソコンの前に戻ると、インターホンが鳴った。
届いた箱には、島で仲良くしていたえいこ姉さんのみかんがぎっしりと入っていた。
御詠歌を一緒に歌ったこと。
畑で野菜の育て方を教えてもらったこと。
みかんと一緒に、あの頃が戻ってくる。
お礼の電話をすると、
「わはは!元気でやってますよ〜。
もう来月で85歳になるよ。
若い若いと思っていたけど、だんだん足の痛みもあってねぇ…」
はつらつとした声のなかに、少しだけ寂しさが混じっていた。
電話を切って、みかんを手に取る。
ひたっと冷んやりする。
皮をむいて、一房ずつ、ゆっくり味わった。
夜、お風呂上がりに、
水入れと筆を準備して、パレットをひらく。
小学生以来ほとんど絵を描いたこともなく、
技術もないけれど、
気づけばこの二ヶ月、ほぼ毎日描いている。
最初は筆が止まることもあったけど、
続けているうちに、しっくりくるものが増えてきた。
「こうかな」「こっちかな」と小さな調整をいくつも重ねていくうちに、少しずつ形が見えてくるのが楽しい。
筆の動きを追っていくと、
淡い桃色が赤や紫と混じりあい、
にじむように花々が浮かびあがってきた。
今日という日が、やわらかく折りたたまれていく。
