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測れないものに支えられて

朝、やかんに水を入れて、火にかける。

ぼぉっ、ちちちち……。
ゆらゆらとした炎は、やかんを包むように一度大きく広がり、
やがて、底のほうへと収まっていった。

音と音の間。
ふと静まる、その瞬間を感じる。

耳を澄ますと、小さな雨音も聞こえてくる。

さー
ぽとぽと

すぐ近くのはずなのに、
どこか遠く、まったく別の世界からかすかに届く音みたいにも聞こえる。

白湯を飲んで、瞑想をして、
パソコンを開く。

ひと通り連絡を返したあと、
離乳食のレシピサイトを見る。

昨日「離乳食送ったよ」と娘に連絡をしたら、
追加で作ってもらいたいものを頼まれた。

ぎょうざの皮、おふ、わかめ、ズッキーニ、アスパラ、長ネギ。
食材リストとレシピを見ながら、買うものを紙に書く。

普段はスマホでメモすることも多いけど、
こうして紙に書くと、頭の中がすっと片づく。

紙の空白へ言葉を置いていくと、
頭の中にも同じような余白が生まれてくる。

書いた位置が目印みたいに残って、
考えがそこに戻れる。

必要なもの。
やりたいこと。

手がかりが、確かになる気がする。

身支度を整えて、車に乗って、薬膳カフェのお店へ。

友人と待ち合わせをして、席に着く。

体質チェックをして、
からだに合うおかゆと冬のおばんざいセット、薬膳茶を頼んだ。

「おかゆに味がついていないので、塩をかけて召し上がりください」

そう言われたけど、
そのままでも充分おいしい。

「おいしいねぇ」
「おばんざいも、どれも丁寧に作られてるね。」

二人でひとしきり、感動しながら頂いた。

友人の相談にのりながら
どちらにしても、しあわせはちゃんと訪れるよ、と、エールを送った。

気づけば、もう二時間が経っていた。
「またね」と手のひらをぽんぽんと合わせて別れて、食品店をいくつか巡って、帰宅した。

パンパンになったエコバッグをキッチンに置いて、手を洗い、
離乳食と夕食を一緒につくり始める。

今日はクリスマス。
いつも私の食事に合わせてくれているパートナーのために、鶏肉を焼いて、ネギだれをたっぷり絡める。

横では、野菜とぎょうざの皮を煮込んだ離乳食用のスープが、コトコトと湯気を出しはじめた。

鶏肉のネギだれ、
庭でとったルッコラと赤からし菜のサラダ、
塩レバーのおつまみ、野菜の和え物。

クリスマスっぽくないけど、
彼の喜びそうなものが並んだ。


誰かのために料理をつくる時間には、栄養として測れるものだけじゃない、別の何かも含まれている気がする。

「ただいま〜」

「おかえりー」

「ケーキ買ってきたよ。見る?」
そう言って、冷たい空気をまとった彼が帰ってきた。



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