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ひとくくりにできないもの

朝、いつものように仕事をしていると、
娘から「ハーフバースデーの写真を撮ったよ」と赤子の写真が届いた。

ちょうど6ヶ月。
黄色のドレスに包まれている。

意思の強そうな眉と瞳。
娘が小さかった頃にそっくりで、思わず笑ってしまった。

送られてきた写真は、いくらスクロールしても終わりが見えない。
しかめっ面の顔、にこにこ笑う顔、ふとこちらを覗き込む顔。

ひとつひとつの表情が大切で愛おしくて、
たくさんシャッターを切ったのだろう。

「かわいいでしょー」
「朝からテンション爆上がりだわ」

顔がゆるんだまま、パソコンに向かい直した。

お昼は蓮根とひじきのサラダ、かぼちゃの塩煮、
キャベツと豆腐の味噌汁。

塩だけで煮たかぼちゃは、ほくほくとして、しみじみおいしい。

食後、自転車に乗って図書館へ向かう。

下り坂をブレーキをかけずに一気にくだる。
ゴーーーと風が全身にふきつける。
胸いっぱいに息を吸って、ペダルを踏む。

図書館の前に着くと、
あたり一面が鮮やかな黄色に染まっていた。

けやきの木が空に向かって大きく広がり、
細やかな葉がひとつひとつ、黄色やオレンジに色づいている。

落ち葉を拾ってみると、
葉の縁のギザギザが少し浮き立っている。

へぇ、おもしろい。

小さな波打ちの形は一枚ごとに違っていて、
どれもちょっとだけ主張しているように見える。
なんだかいじらしくて、形が崩れないようにバッグへ入れた。

予約していた本を受け取り、
帰宅してパソコンの横にけやきの葉を置いてミーティングをした。

ちらちらと横目にけやきの葉が映ると、
そのたびに気持ちがやわらぐ

夕方のレッスンを終えて、絵を描く。

赤子の黄色ドレス、
葉のギザギザ、
胸に残っている感触をたどりながら筆を動かす。

心の奥に風が通り、
からだの真ん中に戻っていく。

出来上がった絵はやわらかい秋の色をしていた。


夜、ソファに寝転び、哲学書を開いた。
「近代的理念を基盤としたこの時代に哲学は何をしなければならないのか。」

その問いを読みながら、今日のけやきを思い出す。

街路樹や山や川を、名前でまとめ、
知っている知識でひとくくりに見てしまう。
きっと私は、この普遍を求める現代の癖にどっぷり染まっているのだろう。


でもよく見ると、ひとつひとつ違う。

けやきの葉は左右非対称と言われるけれど、
まるで左右対称に見えるものもある。
すべてが教科書どおりではない。

娘夫婦が、赤子のころころ変わる表情を
惜しげもなく喜びに変えていたように、
小さな変化に気づくと、
目の前の世界は、もっと美しく、豊かになるのだと思う。


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