並んでいる寂しさ
朝、敷布団の心地よい重さの中にいる。
そのまま力を抜くと、
肩が沈み、背中が落ちていく。
ピピピピ
気づけば、2回目のアラームが鳴っていた。
歯を磨いて、顔を洗う。
植物に水をやり、シンクに置いたままの水筒とタッパーを洗う。
洗濯機を回しながら、
旅行から帰って散らかったままの部屋を片づけた。
白湯を飲んで、瞑想をする。
レッスンを二本続けて、
お昼もそこそこに、次のレッスンの準備へと入った。
「忙しいAさんは気があがりやすいから、足裏を感じる流れに」
「Bさんは頑張りすぎちゃうから、委ねる動きがいいかな」
「Cさん Dさんは今日は一緒か…じゃあ股関節まわりを中心にしよう。」
レッスンは、生徒さんやクラスによって毎回少しずつ変わる。
カルテを見ながら、季節の養生に沿って組み立てていく。
レッスンを終えて、またパソコンの前に座る。
外から洗濯物がからからと揺れる音がする。
顔を上げると、もうずいぶん日が傾いていて、
あわてて窓を開け、洗濯物に手をかけた。
お日さまの余韻と、夜へと向かう冷たい風。
肌に触れたとたん、
胸の奥にぽつんと寂しさが立ちのぼる。
少し早いけど、お夕飯にしてしまおう。
車を走らせ、うどん屋さんへ向かった。
角のテーブル席に座り、メニューを開く。
鍋焼きうどんか、チゲか。
「季節の鍋焼きカレーうどん」が目に入る。
これにしよう。
ぐつぐつと煮立つカレーうどんと、
ご飯とお漬物のセットが運ばれてくる。
立ちのぼる湯気にのって、スパイスの香りがふわっと広がる。
ふうっと息をかけて、ちゅるりと口に運んだ。
どことなく懐かしく、ほっとする味。
合間にご飯とつけものをはさみながら、どんどん進む。
お腹の底まで温まったまま、店の中へ目をやる。
角の席からは店全体が見渡せる。
まだお夕飯には少し早く、お客さんはまばらで、BGMだけが静かに響いている。
古民家風の店内には、
ほのかなダウンライトが席ごとに吊られている。
ふと、目線を広げることを最近あまりしていなかったなと思う。
目の前の食事だけ、
手元のスマホだけ。
気づかないうちに、近くのものばかり見ていた。
ぼんやりと店内の空気を感じる。
静かでどことなくもの寂しい。
店の中にも、私にも、寂しさがある。
混ざらず、重ならず、
ただそこにある。
お水をぐいっと飲み切って、
レジへ向かった。
