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ひまつぶしをする

朝、花瓶に挿している花たちの水を換える。

少し枯れてきている葉を取り、茎を少し切り戻す。

買ってきたばかりの瑞々しい花も好きだけど、水を換え、茎を洗い、切り戻しをしながら、終わりへ向かっていく花を見届ける時間も好きだ。


最後の最後、花びらが薄く透明になり、今にも散っていきそうな姿に、いつも心をつかまれる。

そんなとき、『星の王子さま』のバラの場面が浮かぶ。

わがままで、少し扱いにくいバラ。
でも王子さまは毎日水をやって、風よけをして世話をする。

そしてキツネが言う。
「あんたがね、あんたの花をとても大切に思っているのはね、そのバラの花のために、ひまつぶししたからだよ」

今日も私はひまつぶしをする。


身支度を整え、福祉会でのレッスンに向かう。

こわばりをほどくように、呼吸に合わせて、ゆっくりからだを動かしていく。

終わったあとの、ほっと広がったような空気と、生徒さんたちのやわらいだ表情がうれしい。


帰宅して、昼ごはんをつくる。
大豆ミートと野菜を炒め、ブロッコリーと人参を蒸し、黒豆ご飯とスープを用意する。

ブロッコリーは自分用とは別に、六ヶ月の孫の離乳食用に細かく刻んで、やわらかく煮る。

娘から、「離乳食が進められるか不安で……」
と相談を受けて、先月から「ばあばの離乳食定期便」をはじめた。

「ちょっと大変だな」「不安だな」と思うときは、みんなで少しずつ担えたらいい。
それぞれができることを、できる分だけ。
そんなふうに、ゆるやかに関われたらいい。


午後、レッスンを一つして、パソコンに向かう。
合間にピアノを弾き、図書館で借りた新しい本を開く。
夜は絵を描いて、お風呂に入る。

言葉にすると、いつもと同じこと。
けれど、そのたび少しずつ違う時が流れている。

見えているもの、感じているもの、聞こえているもの。
感覚はゆるやかに私の中を通りすぎて、気づくそばからこぼれ落ちていく。

絵にしたり、言葉にしたり、音にしたり。
どうにか目の前に残したいのに、表したとたんに、時はもう次へ進んでいる。

たしかなものはない。
けれど私は今日も、何かを大切にしようとしていた。



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