空いたところへ
5月27日(水)
朝、レッスンを終えて、noteを開く。
えっと、一昨日は何をしていたっけ。
昨日は一日、スマホもお休みしていたからエッセイが書けなかった。
手帳を見るとレッスンが二つ、ミーティングが一つと書いてある。
あとは何をした?
ああ、そうだ。途中でパンツの裾直しに行ったんだ。
けど大して書けることなんてないかも。
そう思いながら、「記事を書く」ボタンを押す。
お腹に意識をむけて、指先がスマホのガラス画面をタップするのを感じていると、言葉が自然と出てくる。
そうだ、朝はのらぼう菜の種を見たんだ。
レッスン中、足を丁寧に回している生徒さんの姿が目に浮かぶ。
これを書こう、と頭の中であれこれ考えなくても、からだに意識を向けていると、場面と言葉に導かれるように指先が動いていく。
そして最後には自分でも思っていなかった画がおのずと現れてくる。
ひとしきり書いてお昼ご飯を食べて、パソコンに向き合う。
議員さんに送った意見書案が、手直しされて返ってきていた。
読むと、言葉がさらに届く形になっていて、選び方の一つ一つに積み重ねてきたものを感じる。
すごい。
言葉をわかりあうために使っている人の選び方だった。
返信を書いているうちに、真木悠介の話にまで広がって嬉しい気持ちでメールを返した。
そのまま一昨日のミーティングで出たやることや連絡を、昨日の分までまとめて進める。
気持ちが前のめりになる。
肩の力をゆるめ、からだに意識を戻しながらキーボードを打った。
ピンポーン。
チャイムがなって階段を降りていると、賑やかな声が聞こえてくる。
玄関を開けると、宅急便の女性の後ろから近所の子どもたちが三人、顔を出した。
荷物を受け取って、宅急便屋さんを見送ると、
「この前の、赤いやつは?あの、一本の下駄のやつ」
と指先で形を作りながら女の子が声を出す。
「あぁ、天狗の下駄?あれもうしまっちゃったよ」
「なんでしまっちゃったの?履かないの?」
彼女の目はいつもきらきらと澄んでいて、安心し切って世界を楽しんでいるように見える。
その目を見ていると、とてつもなくほっとして、嬉しくて、少し切なくなる。
「またいい時に履こうかな」
そう言ってバイバイをした。
パソコンの前に戻ると、子どもたちが玄関先に立っていた姿を思い出して、また笑った。
気がつくと時計はあっという間に十九時を示していた。
時間が一瞬で過ぎていく。
びっくりして思わず二度見した。
一日瞑想をして過ごした次の日は、いつも以上に創造力と集中が高まっている気がする。
頭に入れるものが少なくなると、残っていたものが整理されて、空っぽになる。
空いていると、力が集まる。
埋めないと、何かが入ってくるのかもしれない。
「よーし!おしまい!」
そう言ってパソコンを閉じて、ソファに寝転がる。
からだの中がじわじわ〜っとゆるんでくる。ほどよい重たさに包まれながら、ソファに沈んでいった。
