二兎社公演49『狩場の悲劇』(紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA)(ネタバレ注意)

狩場の悲劇
公演日:2025年11月12日(水)13:00~
公演会場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA(東京都渋谷区千駄ヶ谷5‐24‐2)
原作:アントン・チェーホフ
脚色・演出:永井愛
キャスト:溝端淳平 原田樹里 玉置玲央 亀田佳明 大西礼芳 加治将樹 岡田地平 ホリユウキ 水野あや 石井愃一 佐藤誓
助成:文化庁
企画・製作:二兎社
「演劇界のみならず社会に衝撃を与えた『空気』シリーズ最終話『ザ・空気 ver.3 そして彼は去った…』(2021)以来の新作です。『桜の園』『かもめ』などの戯曲で世界的に知られるロシアの作家・チェーホフが24歳の時に書いた長編ミステリー『狩場の悲劇』(1884)をベースに、同作家による他の作品のエッセンスを散りばめ、永井愛独自の視点を盛り込んで新たな劇世界を創造します。帝政ロシアの人間社会をレポートしたチェーホフと、市井の人々の姿に日本社会の時代や様相を投影してきた永井愛の、時間と空間を飛び越えた奇跡のコラボレーションが実現しました。」(公演公式web siteより引用)
★面白かった!後半ジェットコースターなみの怒涛の展開。そして最終盤にはどんでん返しも!劇中劇でこの物語が展開することの意味が、最後に回収されるところも面白い。
チェーホフといえば、ちょっと重たい印象もあるが、今回の戯曲の後味は軽めだ。ただ、そうは言っても、国際関係や貴族と農奴といった身分の違いなどを背景にした作品でもあり、描かれている世界自体は”悲劇”性を帯びている。それを軽やかにしているのは、永井愛さんの脚本力ということなのかもしれない。
先週土曜日に松本で「チェーホフを待ちながら」を観て、一週間もたたずに再びのチェーホフ作品。これまでチェーホフの四大戯曲(『かもめ』、『ワーニャ伯父さん』、『三人姉妹』、『桜の園』)は観てきたが、この作品のことは今回まで知らなかった。原作の小説は四大戯曲より10年あまり前に書かれたもの。いわゆる”叙述トリック”を使って読者を欺く、叙述ミステリー小説の先駆的作品といわれているらしい。
今回は、直前に演者の交代があったにもかかわらず、俳優陣の皆さんの演技が素晴らしかった。ブラボー!
予備知識なしに楽しめる作品だった。この後、全国で公演予定。
♢あらすじ♢(公演公式web siteより引用)
1880年のロシア。モスクワのある新聞社に、セルゲイという元予審判事が「狩場の悲劇」という自作の小説を持ち込む。それは、彼が実人生で遭遇した殺人事件を題材にしたもので、オーレニカという森番の娘とセルゲイ、知人の伯爵、伯爵邸の管理人が四つ巴に絡んだ愛憎劇。
小説を編集長に預けたセルゲイは、掲載の可否を聞くため、三か月後にまた現れた。「僕の小説には、どんな判決が下されましたか?」
まだ読んでいないと追い返そうとする編集長。だがセルゲイは勝手に小説を語り始めてしまい―――真夜中の編集室で「狩場の悲劇」が展開される。
◎今回のお土産
公演パンフレット(永井愛さん対談など読みごたえあり)

