ジェネラリストに市場価値はあるか? とあるデザイナーの転職奮闘記
2025年5月中旬。
転職活動をしていた私のもとに、選考結果を知らせるメールが届きました。
UIUXデザイナーのポジションで応募していた企業で、結果は不採用。
文中に、面接担当者からのフィードバックも添えられていました。
デザイナーとして、事業に貢献してきた経験が浅い。
ぐうの音も出ませんでした。
私は肩書きこそ「デザイナー」でしたが、実際にはプロジェクトマネジメントやコンテンツ監修、メンバー育成など、複数のスキルを身につけて活動範囲を広げることでキャリアを重ねてきました。
「デザイナー」として10年近いキャリアがあっても、同じ10年間でデザイン分野の専門性を磨いてきた人たちと比べると、スキルや経験の差は明らかです。
社内では「ジェネラリスト」や「越境人材」として歓迎されることもあったけど、組織の中でしか役に立たない、潰しが効かない人間が生まれただけなのでは……?
私が10年近く積み上げてきたキャリアは、無駄だったのでは……?
転職活動を通じて、自分のキャリアと真剣に向き合う毎日が始まりました。
※転職に至った経緯については、退職エントリで詳しく書いています。
書類落ちの原因は、専門性が低いから?
転職活動を始めてから1カ月が経っても、なかなか選考は進みませんでした。
特に、書類落ちが多いことが気になっていました。
「30代半ばの管理職」という、年齢や給与面で若干ハードルが上がる属性を差し引いても、門前払いが続くとなると問題は他にもあるはずです。
やっぱり、専門性が低いから……?
一人で考え続けることに限界を覚えていた私は、一足先に転職していた夫と、数年前に転職した元上司に相談しました。
「ジェネラリストだから」という言い訳
私の職務経歴書を読み始めた夫は、開口一番「要約が長すぎる」と困り顔になりました。
「要約なのに、経歴の説明で半分以上を使っているよ。採用担当の人、そこまでしっかり読まないんじゃないかなあ」
改めて職務要約を読み返すと、経歴だけで250文字も使っていました⋯⋯!
「デザイナーだけど、元編集で、PMもやってて……」という紆余曲折あるキャリアを説明しようとして、非常に冗長な文章になっていたのです。
忙しい採用担当だったら「結局、あなたは何ができる人なの?」となって、さっさと不採用にしてしまうかもしれません。
読み手のことを考えて書かれた文章は読みやすいし、聞き手のことを考えて作られたプレゼンテーションは聞きやすい。
職務経歴書も、読み手──採用担当者のことを考えて書くという、当たり前のことが頭から抜け落ちていました。
私は「デザイナー」という肩書きへの自信のなさを、「ジェネラリストだから」と言い訳するための理論武装で固めていたのかもしれません。
読み手の視点が抜け落ちた、独りよがりな文章になっていました。
最終的に、私の職務要約は102文字でまとまりました。
私がどんな強みを持っているのか、これまでにどんな成果を出したのかというキャリアの「サビ」の部分だけを書いて、詳細は下にまとめる。
「読み手」のことを考えた、すっきりとわかりやすい文章になりました。
「ジェネラリスト」なのに肩書きで縛っていた
私が元上司に一番相談したかったのは、「ポートフォリオしょぼすぎ問題」でした。
多くの企業で、デザイナーにはポートフォリオの提出が求められます。
関わった案件の成果物、その制作プロセス、そこから得た成果や知見……。
ポートフォリオの完成度が低いと、その時点で選考から落とされるといっても過言ではありません。
しかし、事業会社──特に巨大サービスに携わるデザイナーだと、基本的にチームでプロダクトを作り上げていくことになります。
長期のプロジェクトに関わることも多く、いざポートフォリオにまとめてみると、「成果物も少ないし、個人として貢献した領域も浅い」となってしまうのです。
つい先日、note株式会社CDOの宇野さんも「事業会社時代のポートフォリオが“盛れ”ないジレンマ」について書かれていて、深く頷いてしまいました。
話を戻しまして……。
元上司の働き方は、私と似ていました。
デザイナーとしてメガベンチャーに転職した後も、ディレクターやプロジェクトマネージャーなど、さまざまな役割を持って働き続けています。
元上司は、ポートフォリオの問題をどう乗り切ったのか。
私の悩みを聞いて、元上司はあっけらかんと答えました。
「カクさんはPMもやってるんやから、PMとして関わった案件も載せてええと思う」
たしかに⋯⋯!
私は「ジェネラリスト」を自認しながら、「デザイナー」という肩書きに自分を縛っていました。
ポートフォリオは単なる作品集ではなく「自分のスキルや実績を視覚的に示すもの」ですから、デザイン以外の領域で出した成果も載せて良いのです。
デザイナーとしての実績だけでは“盛れ”なかったポートフォリオは、アドバイスを経て10年間の集大成になりました。
ジェネラリストに市場価値は、きっとある
書き直した書類で応募した企業は、するすると選考が進みました。
「ジェネラリストだから」とか「デザイナーとしての専門性が低いから」とか、キャリアを型にはめて不自由にしていたのは私自身だったのです。
最終的に、これまでの私のキャリアを大切にしてくれると感じた企業に入社しました。
ポジションは「プロデューサー」。
チームメンバーが気持ちよく働けるように案件の進行をサポートし、クライアントのみなさんが安心できるような提案を作っていく仕事です。

ジェネラリストに市場価値はあるか。
自分自身に言い訳をせず、これまでのキャリアとしっかり向き合って、キャリアの見せ方を「再構築」すれば、きっとある。
今回の転職活動を通して、私なりに見つけた答えです。
私と同じように悩んでいる方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
文:カク(@Sno0ch_)
見出し画像:shigureni free illust
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