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「今なにしてる?」はコスパが悪い。若者が居場所を公開するのは、会話を "省略" するためだった

こんにちは。テクノロジーと人の心の行方を探求する、あなたの隣人 すのー*です。

突然ですが、あなたは友人を食事に誘うとき、どんなメッセージを送りますか?

「今なにしてる?」
「今週末空いてる?」

かつては当たり前だったこのやり取り。実は今、一部の若者たちの間では「コスパが悪い」「前時代的だ」と捉えられ始めているのをご存知でしょうか。

位置情報共有アプリで常に互いの居場所を監視し合い、何も言わずに合流する。そんな「言葉なきコミュニケーション」が、新たな常識になりつつあります。

一見、プライバシーの侵害にも思えるこの行動。しかしその裏側には、私たちが向かおうとしている「新しい人間関係の形」と、これからの時代を生きるヒントが隠されていました。

これは、テクノロジーが変える「距離感」のお話です。


「今どこ?」と聞くのは、もう古い

先日、読売新聞で報じられたニュースに、目を奪われました。位置情報共有アプリ「whoo your world」などの普及により、若者たちが「言葉」ではなく「位置」で会話をしているというのです。

渋谷にいる友人のアイコンをマップ上で見つけ、「ご飯行かない?」とだけ送る。

「今どこにいるの?」「何してるの?」「これから会える?」という、かつて必要だった一連の確認作業をすべて省略し、核心だけを突く。これを彼らは「タイパ(タイムパフォーマンス)が良い」と表現します。

確かに合理的です。相手がバイト中なのか、学校にいるのか、家にいるのか。マップを見れば一目瞭然なのですから、「今なにしてる?」という質問は、わざわざ言葉にする必要のない、重複した情報なのかもしれません。

実際、位置情報共有アプリ「whoo your world」を運営するLinQによると、累計ダウンロード数は3000万に達し、利用者の約8割を10〜20代が占めているといいます。買い物のついでに近くにいた友人を誘う「ついで会い」が、タイパを重視する若者に支持されているのです。

居場所を晒すことは、最強の「信頼」

しかし、ここで一つの疑問が浮かびます。「自分の居場所を常時公開するなんて、怖くないのか?」と。

ここに、現代の「つながり」の本質的な変化があります。

かつてのSNSは「拡散」が目的でした。フォロワー数がステータスであり、いかに多くの人に自分を見せるかが重要でした。

しかし、位置情報共有アプリや、加工なしの日常を投稿する「BeReal.」などの流行が示しているのは、「クローズドな関係への回帰」です。

誰にでも見せるキラキラした自分ではなく、心を許した数人にだけ見せる「すっぴんの自分」や「リアルな現在地」。

若者文化に詳しい芝浦工業大学の原田曜平教授は、位置情報の共有は親しい間柄の友人とだけで行われていると指摘しています。近年、若者の間では「SNSのクローズド化」が進み、許可した人しか見ることができない「鍵付き」アカウントが主流になるなど、つながる相手を限定するようになっているといいます。

自分の脆弱性(プライバシー)を相手に委ねることこそが、最強の信頼の証となっているのです。

「あなたになら、私がどこで寝ているか知られてもいい」。それは、言葉で「信じているよ」と言うよりも、はるかに重く、深いメッセージなのかもしれません。

博報堂のマーケティングプランナー、奥村耕成さんは、開示がためらわれる情報を共有することが、友人との親密性や連帯感を高めている可能性があると分析しています。

「広く浅い」から「狭く深い」へ、友人関係の二極化

SNSの普及で誰とでもつながれるようになり、若者たちの友人関係は細分化が進みました。学校の同じクラスの友人、同じ趣味を持つ友人、同じミュージシャンが好きな友人など、様々なグループに属し、その時々の状況に合わせてグループを切り替えながら、友達付き合いをしています。

一方で、こうした「広くて浅い」友人関係が浸透したことへの反動や、コロナ禍で直接的なつながりが見直されたことによって、心を許し合い、「狭くて深い」関係が築ける相手を求める若者が増えているといいます。

位置情報共有アプリの利用実態などを調査したサイニングの牧之段直也さんは、こうしたアプリは深いつながりを求める若者の受け皿になっており、友人関係の二極化は今後も続くだろうと分析しています。

誰とでも、際限なくつながれる世の中だからこそ、より身近で、温かみのある人間関係を求める。若者たちの友人関係には、そんな欲求が見え隠れしているのです。

これは「AIにはできない」人間らしさの進化

さて、この現象を私の専門領域である「AIと未来」の視点で見たとき、非常に興味深い「人間の進化」が見えてきます。

AIが発達すればするほど、単純な情報のやり取りは自動化されます。

「今どこ?」という質問に答えるだけのチャットボットなら、すぐに作れるでしょう。しかし、若者たちがやっているのは、単なる情報の自動化ではありません。

彼らは、「状況そのものを共有する」ことで、言葉を超えたコミュニケーションを実現しているのです。

マップ上の友人が「駅前で止まっている」のを見たとき、「待ち合わせかな?」「暇なのかな?」と想像する。その想像力こそが、このコミュニケーションの肝です。

言葉による説明を省き、状況(データ)から相手の気持ちを察する。これは、いわばテクノロジーを使ったテレパシーのようなものです。

そして、ここにこそ「人間にしかできないこと」の本質があるように思えるのです。

AIはデータを提示することには長けていますが、「その人が今、声をかけてほしいと思っているか」「そっとしておいてほしいと思っているか」という、行間の機微を読み取るのは、まだ人間だけができることです。

位置情報を晒す彼らは、言葉を捨てたのではなく、言葉以前の「阿吽の呼吸」をテクノロジーで実装しようとしている。

それはまさに、効率化の時代だからこそ際立つ、人間らしい温かみのあるコミュニケーションなのです。

「予測不能な再会」を楽しむ未来へ

「最適解」を求めるAIのアルゴリズムとは対照的に、人間関係には「ノイズ」が必要です。

予定調和な約束ではなく、たまたま近くにいたから会う。そんな「偶然性」を、アプリというデジタルなツールを使って誘発している点が、なんとも人間らしく、愛おしく感じます。

私たちは今、言葉を尽くして相手を理解する時代から、データと気配で相手を感じ取る時代へと移行しているのかもしれません。

それは一見冷たく見えて、実は相手のプライベートに深く踏み込む、とても体温の高いコミュニケーションなのです。

あなたはどう思いますか?

もし、あなたの親しい人が「私の位置情報、見ていいよ」と言ってくれたら、あなたはどう感じますか?

監視されているようで息苦しいと感じますか? それとも、常につながっている安心感を感じますか?

「言葉のいらない関係」が加速するこの世界で、私たちが本当に大切にすべきなのは、共有された位置情報そのものではなく、そのアイコンの向こう側にいる相手を「想う」想像力なのかもしれません。

この新しい距離感について、あなたの考えをぜひコメントで教えてください。 テクノロジーが変える人間関係の未来、一緒に考えていけたら嬉しいです。

面白い視点だと思っていただけたら、ぜひフォローをお願いします。 あなたのタイムラインに、未来への小さな「気づき」をお届けします。

参考
読売新聞オンライン「親しい友人と位置情報共有し『ご飯行かない?』…クローズド化進むSNSと『深いつながり』求める若者」(2025年1月18日)

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