「食料品消費税ゼロ」は誰を犠牲にするのか? — スーパーの現場が絶望する、高市総理『神公約』の副作用
皆さん、こんにちは。Social Pentagon マーケ部(仮)です。
私たちは、社会に潜む見過ごされがちな課題を「ビジネスの力」で解決しようと取り組んでいる、ソーシャルビジネスのスタートアップです。
先日行われた衆議院選挙での自民党の圧勝。その公約の中で、特に私たちの生活に直結し、大きな議論を呼んでいるのが、高市総理が掲げる「2年間限定の食料品の消費税ゼロ(非課税化)」という構想です。
物価高(インフレ)に喘ぐ私たちにとって、毎日買う食料品の税金がなくなるのは、一見すると「神政策」に見えます。しかし、スーパーマーケット協会や流通業界、そして多くの経済学者は、この政策に懸念、あるいは反対の声を上げています。
「減税してくれるのに、文句を言うな」と思いますか?
いえ、彼らが反対するのには、現場を知る人間だからこそ見える致命的な欠陥があるからです。
2. 名言の引用:複雑さのコスト
名言の引用:(ミルトン・フリードマン)
「食事のような単純なものを、政府が管理しようとすれば複雑怪奇になる」(※意訳・文脈による解釈)
「これは食料品か、そうでないか?」この線引きを国が決めること自体が、実はとてつもないコストを生むのです。
3. 【反対理由①】「みりん」は食品か?定義の沼
反対派が最も恐れているのが、「線引き(定義)の混乱」です。軽減税率(8%と10%)が導入された時、現場は大混乱しました。
「イートイン(店内で食べる)」は10%。
「テイクアウト(持ち帰る)」は8%。
「オマケ付きのお菓子」は、オマケがメインなら10%、お菓子がメインなら8%。
もし、食料品の消費税ゼロが導入されれば、この混乱はさらに悪化します。例えば、本みりんは酒税法上の「酒類」なので対象外(10%)ですが、みりん風調味料は食品なので対象(0%)になる可能性があります。
さらに厄介なのが水です。スーパーで売っている「ミネラルウォーター」は食品なので0%ですが、蛇口から出る「水道水(水道料金)」は風呂や洗濯にも使う生活用水なので対象外(10%)となる矛盾も生じかねません。
レジ担当のパートさんが、いちいち商品を裏返して成分表を確認しなければならない。人手不足の現場に、これ以上、判断業務という負荷をかけるな、というのが流通業界の切実な叫びです。
4. 【反対理由②】その改修費は結局だれが払うのか?
もう一つの反対理由は、システム改修コストです。全国のスーパー、コンビニ、個人商店が、レジや受発注システムを「食料品0%対応」に書き換えなければなりません。
しかも、忘れてはいけないのが、この政策が2年間限定であるという点です。つまり、莫大なコストをかけてシステムを食料品0%対応に改修し、そのたった2年後には、また元の税率に戻すための再改修が必要になるのです。
インボイス制度対応で疲弊したばかりの中小企業に、この短期間での「往復ビンタ」のような改修を強いるのか。政府は「補助金を出す」と言うかもしれませんが、その補助金の原資は結局「税金」です。
「期間限定の減税をするために、私たちの税金を使ってシステムを二度いじる」。これは増税ではありませんが、国家予算の巨大な無駄遣い(=国民のツケ)であることは間違いありません。
5. 【代償】実は金持ち優遇の罠
そして、私たち国民が払うことになる最大の代償。それは、「格差の是正にはつながらない可能性」です。
一見、貧しい人に優しい政策に見えますが、経済学的には「消費税の減税メリットは高所得者ほど大きい」と言われています。
一般家庭:
月5万円の食費 → 消費税がなくなれば数千円の得。富裕層:
高級食材を買い、月30万円の食費 → 消費税がなくなれば数万円の得。
消費税を一律で下げると、「たくさん消費する金持ち(=高額な食品を買う人)」ほど、減税額(恩恵)が大きくなってしまうのです。本当に困窮者を救うなら、税率をいじるのではなく、給付金で現金を配る方が、はるかに低コストで公平だという意見もあります。
6. 【本質】安さより「賃上げ」を
この政策の最大の問題点は、国民の目を賃上げから逸らしてしまうことです。
物価が高いから税金を下げるというのは、対症療法に過ぎません。根本的な解決策は、「物価以上に給料が上がる経済」を作ることです。
食料品の消費税ゼロで数千円浮いたと喜んでいる間に、国の借金は増え、将来の年金や医療費が削られる。あるいは、システム改修で疲弊した中小スーパーが潰れ、近所の買い物場所がなくなる。それが、私たちが直面するかもしれない未来です。
7. まとめ:甘い飴玉の中身は毒かもしれない
「食料品の消費税ゼロ」。この響きは、物価高に苦しむ私たちにとって、非常に魅力的に映ります。
しかし、その裏側には、流通の現場の悲鳴と、将来世代へのツケ回しが隠されています。私たちは、目先の安さという飴玉に飛びつく前に、そのパッケージの裏に書かれている「副作用(コスト)」をしっかり読む必要があります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。「複雑なルール」は、誰も幸せにしません。次回も、皆さんの生活やビジネスに潜む課題について、一緒に考えていきたいと思います。
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