『最初に全部同意してますよね?』は、もう通じない。 — CVRと本当の信頼を両立させる、これからの『同意』のカタチ
皆さん、こんにちは。Social Pentagon マーケ部(仮)です。
私たちは、社会に潜む見過ごされがちな課題を「ビジネスの力」で解決しようと取り組んでいる、ソーシャルビジネスのスタートアップです。
さて、今日は皆さんに、こんな場面を想像してみていただきたいと思います。 あなたが素敵なレストランに入店するとき、入口で「当店のルールブック(利用規約)です」と分厚い本を渡され、「ここにサイン(同意)を」と言われたとします。
(まあ、内容はよく分からないけど、とりあえずサインしないと入れないしな…) と、サインして席に着いたとします。
その後、食事が終わる頃、お店の人から 「あ、お客様は入店時に当店のルールに同意されましたので、自動的に当店最高級の『10年熟成ワイン(5万円)』もご注文済みとなっております」 と、笑顔で言われたら、どう思いますか?
「え、そんなの聞いてないよ!」 「規約のどこに書いてあったんだ!」 「だまし討ちじゃないか!」
…きっと、そう思いますよね。 しかし、実は今、WEBサービスの世界では、これと非常によく似た「ズレ」が、あちこちで起きているのです。
導入の名言:信頼は「誠実さ」と「能力」から
世界的なベストセラー『7つの習慣』の著者であるスティーブン・R・コヴィー氏は、こう言っています。
「信頼は、誠実さと能力によって築かれる」
どんなに素晴らしいサービス(能力)を提供していても、その提供のプロセス(誠実さ)が欠けていては、お客様との本当の信頼関係は築けない、ということですね。
1. 企業が陥る「二つの勘違い」
今日のテーマは、この「誠実さ」と「ビジネス」のバランスについてです。 私たちが日々、様々な企業の担当者の方とお話しする中でも、しばしば出会う「二つの大きな勘違い」があります。
勘違い①:「未読同意防止」と「ダークパターン防止」は“別の問題”という勘違い
これまでの記事でもお話ししてきた「未読同意の防止」(利用規約を分かりやすくすること)と、
「ダークパターン防止」(購入ボタンなどを誠実なデザインにすること)
この二つを、まったく別の問題だと捉えてしまっているケースです。
「うちは規約まわりは整備したからOK。ダークパターンはデザイン(UI/UX)の問題でしょ」というわけですね。
しかし、私たち消費者から見れば、どうでしょう。 「よく分からないまま不利な契約をさせられる」という点において、この二つは根っこで繋がった、同じ「信頼」の問題ではないでしょうか。
勘違い②:「最初の一回」ですべてOK、という勘違い
これが、冒頭のレストランの例えに繋がります。 多くのWEBサービスでは、会員登録時の「利用規約」への同意を「包括的同意(ほうかつてきどうい)」と呼んでいます。
これは、「一度ここで同意ボタンを押したのだから、このサービスを利用する上で将来発生する全ての条件(例えば、無料トライアル後の有料プランへの自動移行や、高額な定期購入の解約縛りなど)にも、あなたは“包括的に同意”しましたよね?」という、企業側にとって非常に都合の良い解釈です。
これが、以前の記事でもお話しした「定期購入トラブル」や「いつの間にか有料会員」といった問題の、大きな温床になっているのです。
2. 企業が本当に恐れていること(CVRのウラ側)
では、なぜ企業は「包括的同意」に頼り、例えば「有料プランに切り替わりますよ」とか「定期購入の解約条件はこれですよ」といった大事なことを、必要なタイミングで、あらためて説明したがらないのでしょうか?
それは、「CVR(コンバージョン率)が下がるかもしれない」と、恐れているからです。
「CVR」という言葉、初めて聞く方も多いかもしれませんね。 これはWEBマーケティング用語ですが、すごく簡単に言えば、「サイトに来てくれたお客様のうち、何%が、企業が望む行動(=購入や会員登録)をしてくれたか?」を示す、企業の売上に直結するとても大切な「成績表」のようなものです。
企業側は、 「購入ボタンの直前に、『解約条件に同意します』なんて面倒なチェックボックスを増やしたら…」 「お客様が『やっぱりやめよう』と逃げてしまう(=CVRが下がってしまう)かもしれない!」 と、考えてしまうのですね。
3. 「べき論」ではない。バランスの取れた「理想のカタチ」とは?
「法律で決まっているから、全部きちんと説明するべきだ!」 …こうした「べき論」を語るだけでは、残念ながらビジネスの現場は変わりません。
大切なのは、企業側の「CVRを下げたくない(売上を上げたい)」という切実な本音と、 私たち消費者側の「騙されたくない、分かりやすくしてほしい」という切実な本音を、 どうすれば「両立」させられるか、そのバランスを見つけることだと思います。
【NGな例①:CVR優先すぎ】
→ ダークパターンの横行です。短期的には売上が上がっても、長期的にはお客様の信頼を失い、ブランドは崩壊するかもしれません。
【NGな例②:倫理優先すぎ】
→ 会員登録時も、購入時も、オプション追加時も…と、あらゆる場所で長文の同意画面を見せられる。これでは「同意疲れ」を起こし、結局読まれず、お客様も逃げてしまいます(CVRも下がります)。
では、どうすればいいのか。 私たちも日々、議論を重ねている最中ですが、目指すべき「理想の方向性」は、「同意の“質”を高め、“量”を減らす」ことではないかと考えています。
① 最初の規約(=未読同意の防止)
まず、最初の会員登録時に、「包括的同意」という曖昧なものに頼るのをやめます。
AIによる要約では「ハルシネーション(間違い)」の可能性が怖いですから、やはり専門家(弁護士)が、「消費者にとって本当に重要なポイント(例:解約条件、違約金、個人情報のリスク)」を厳選し、分かりやすく提示します(=Social Pentagon DIGESTの理念ですね)。
② 購入時の同意(=ダークパターン防止)
①で「本当に重要なポイント」を消費者が(一度)深く理解してくれていれば、購入画面であらためて長文の同意を求める量は、減らせるはずです。
(※ここからは、まだ社内でコンセンサスが取れた内容ではなく、あくまで私個人の現時点での考え(一例)として聞いていただきたいのですが…)
例えば、購入ボタンの近くには、新たな「同意チェックボックス(=CVRを下げる要因)」を増やす代わりに、
「(規約で同意済みの)解約条件は、こちらでいつでも再確認できます」という「確認のための誠実なリンク(リマインド)」を、分かりやすく設置する。
こういった形が、企業のCVRへの影響を最小限にしつつ、消費者の「分かりやすさ」と「信頼」を両立させる、バランスの取れたカタチの一つの可能性ではないか、と考えています。
まとめ:「同意」はコストではなく「資産」である
企業にとって、「分かりやすい同意」のプロセスを誠実に設計することは、「CVRを下げるかもしれないコスト」ではありません。
それは、お客様との「長期的な信頼関係」を築くための、最も重要で、最も確実な「未来への投資(資産)」です。
私たちは、その「投資」が、きちんと「ビジネスの成功(=売上)」にも繋がっていくのだということを、私たちのソリューションを通じて証明していきたいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。企業の『売上』と、皆さんの『信頼』を両立させる、新しい『同意』のカタチについて、何か新しい気づきがあれば幸いです。次回も、皆さんの生活に潜む「同意」や「契約」にまつわる課題について、一緒に考えていきたいと思います。
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