夜懐石 ①【創作台本・世にもになるまで書いてみた・142作目・全6話】
あらすじ
どこかグルメ通を気取っている主人公。
この日は和風の高級旅館に宿泊していた。
待ちに待った食事の時間。しかし彼を待ち受けていたのは・・・
これまでの話はこちら!
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○ 旅館・廊下
秋の夜の和風旅館。
主人公(50代男性)の足元カット。旅館のスリッパ(旅館にありがちな、中底が畳のスリッパ)を履き、館内を歩いている。
主 (ナレーション)
露天風呂、客室、行き通ったもてなし、そして宿泊料金。
・・・・・・前評判通りだ。実にすばらしい。
やはりどの予約サイトでも「星5つ」だったのにも納得がゆく。
主人公 お食事処の前で立ち止まる。お食事処は料亭のようになっており、玄関先で大女将(60代女性)が立って待っている。
女 【主人公の名字】さま、お待ちしておりました。
どうぞお上がり下さいませ。
主 ありがとう。では失礼するよ。
主人公 履き物を脱ぎ、お食事処へ入っていく。
一瞬主人公が付けている腕時計が映る。現在の時刻は19時。
主 (ナレーション)
なるほど。個室タイプの食事処か。
趣があって良い。これは期待できる。
主人公 女将に個室を案内される。
○ お食事処
主人公 女将から料理の説明を受けている。
女 本日は遠いところからお越しいただき、ありがとうございます。
ただいまより「秋懐石」を始めさせていただきます。
こちら、本日のお品書き・・・
主 いや結構。それに、料理の説明も省いてくれ。
女 ・・・本当にいいのですね。
主 いいと言ってるだろう!
女 ・・・かしこまりました。ただいま「前菜」を持って参ります。
お手元にある「食前酒」を飲みながらお待ち下さいませ。
女将 「前菜」を取りに一度退室。
主 (ナレーション)
私はお品書きや説明で楽しむのではなく、どんな料理か自分で推測して楽しむ主義だ。
めんどくさい客と思われても仕方が無い。
それが私なりの「楽しみ方」なのだから。
主人公 「食前酒」が入ったグラスを持つ。一口サイズでかなり小さく、まるでおちょこ。飲む前に手で扇ぐようにして香りを楽しむ。
主 (ナレーション)
これはおそらく梨のリキュールと梅酒を合わせたスパークリング酒か。
主人公 一口で飲み干す。
主 (ナレーション)
・・・うまい。梅の酸っぱさが梨の甘さを引き立てている。
欲を言えばもう少し量が欲しい。食前酒だとしても少なすぎやしないか。
主人公 グラスをテーブルに置く。
同時に「前菜」を持った女将が個室の扉を開け入室。
女 お待たせ致しました。こちら「前菜」でございます。
「前菜」のカット。6つに仕切られた皿に盛り付けられている。「食前酒」同様、全て一口サイズ。左端の料理から1カットずつ映されていく。(イメージは夜汽車の男の駅弁紹介)
主 (ナレーション)
菊と胡瓜の酢の物、テリーヌ、栗の乗った白和え、ブナシメジと小松菜のおひたし、銀杏、鴨肉・・・
主人公 「前菜」を見ながら、若干残念そうな表情を浮かべる。
主 (ナレーション)
・・・やはり量が少ない。子ども向けの会席料理でも、もう少しあるだろう。
期待していただけに残念だ。。。
主人公 銀杏から食べ始める。
お食事処から見える日本庭園内のししおどしのカット。カコンと一度傾く。
主人公 前菜を完食。
主 (ナレーション)
うむ。味は文句なし。これぞ和風旅館の夕食と言える味だった。
さて、次は定石通りなら「椀物」が来るだろうか・・・
個室の扉が開き、女将が入室。
女 お待たせ致しました。
こちら「食前酒」でございます。
女将 食前酒をテーブルに置く。
主 (ナレーション)
・・・は?
主人公 目が点になる。
テーブルに置かれた食前酒のカット
筆フォントのタイトルテロップ「夜懐石」
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