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3. ひとりぼっちになってしまった。

前の話はこちらです。


3日後、知らない番号から着信がありました。
あわてて出ると、彼の身内の方です。
部屋に荷物の整理で来て、
わたしのメモに気づいて電話をくれたそうです。

彼が出社しないので、
会社の方が確認に来てくださったところ
すでに亡くなっていたのだそう。

お葬式は身内で済ませてしまって、
もう、お骨は彼の実家へ帰っていました。

思えばずっと調子が悪そうでした。
病院に行って欲しいとお願いしていたのに
仕事が落ち着いたら行くなんて悠長なこと言っているので
その仕事は1、2時間抜けたぐらいで困るのか、
放置してたら死んじゃうよって最後の電話で言ったところでした。

ほぉら、言わんこっちゃない。
自宅でリモート仕事の時に病院に行くよなんて
呑気なこと言ってる場合じゃなかったじゃん。
首根っこ掴んででも病院に連れて行けばよかった。

なんであの時、財布に私の連絡先を入れておいてって
言わなかったんだろう。
はっきり事態が掴めるまでに一週間もかかってしまいました。
お葬式にも行けませんでした。

一緒に住んでいたら、その場にいたら、
助けられたかもしれない。
最悪でも一人で逝かせなかったのに。
せめてApple Watchをつけてもらっておけば
救急車を呼べたかもしれない。

どうしよう。ひとりぼっちになっちゃった。
この先何十年、ひとりぼっちで生きていかなきゃいけないの?
無理だよそんなの。

だいたい、あてにしていた彼の年金ももらえない。
わたしに全財産を残すって遺言書を残して貰えばよかった。
生命保険かけておけばよかった。
籍を入れて家を買っておけばよかった。
お金の不安でこの先を生きていける気がしない。
いや、これは彼がいない不安をお金のことにすり替えてる。

なんでわたしをこんな目に合わせるんだ。
あんまりじゃないか。
ひどいじゃないか。
わたしのことを大事に思ってくれていたんじゃないのか。
大事な人になんてことするんだ。
わたしの人生を返せ。

過去に何人か見送ったけど、
ここまで辛いのは初めてです。
そうか、わたしは彼のことが大好きだったんだな。
だから傷が深いんだ。
痛くて痛くて腹が立つんだ。

そうだよ。ずっとつきあってきて
他の人に乗り換えたってよかったのに、
彼よりいい男なんていなかった。
彼より楽しい男なんていなかった。
彼より幸せな気持ちになれる男なんていなかった。
彼より安心できる男なんていなかった。
彼より話が合う男なんてそうそういない。
本当に大好きなんだよ。
いなくなっちゃったら、どんどん美化しちゃうじゃんか。

置いてかないで。
連れてって。
お願い。
彼のいない世界で生きていける気がしない。
どうせ生きていたってつまんない。

身内の方と電話して、やっと泣けました。
ガチガチだった体が少しゆるんでいます。

電話を切ったら、左手の薬指にものすごいアザができていました。
昨日はなかったはず。
電話を取る前には気づきませんでした。
テンションがおかしくなっているので、
彼が残してくれたと都合よく解釈することにしました。
(本当はきっと、寝返りを打って壁にぶつけたとかだと思います。)



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