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「美容師×生成AI時代――“人を美しくする仕事”はどう変わるのか?—平均年収1,200万円を実現するチームサロンの秘密と、AI時代の新たな展望—」

本連載では、生成AI時代のハローワークとして、子どもに人気な職業トップ100について、「AIでなくなる仕事・残る仕事」というテーマでインタビュー形式で記事化していきます。
今回は「美容師」です!

ショート特化のヘアサロンとしてSNSで絶大な人気を集める「sand」

代表の島崎譲さんは美容学校卒業後、都内の大手サロンで10年勤続。歴代最速で本店店長になった実績をお持ちのカリスマ美容師。

現在は独立し、2017年9月、銀座にオープンした「sand」1号店を皮切りに、現在は15店舗を展開

そんな「sand」では、「日本一のチームサロンになる」というビジョンのもと、若手教育と“利他主義”を重視し、平均年収1,200万円を実現しているそう。

高い技術力とチームワークを両立している「sand」の代表・島崎さんに、「誰が為」のマインド、“利他主義”が根付く組織づくり、その先にあるAI時代の美容師像をお聞きしました。

プロフィール

  • 島崎 譲(しまざき じょう)

  • 1986年、石川県生まれ、株式会社 two sand代表取締役

  • 高津理容美容専門学校卒業後、都内の大手サロンで10年勤続

  • 2017年9月、銀座に「sand」1号店をオープン。現在15店舗を展開

「カリスマになるには一番厳しい環境へ」──石川から、大阪、そして東京へ

島崎さんが、美容師を目指されたきっかけは?

島崎さんは、もともと大学進学予定だったといいます。

石川県出身で、地元でトップの進学校に通っていました。高3の夏に部活を引退し、大学受験を考え始めた時、いわゆる高学歴と言われるような大学に受かるまで成績を上げるのは間に合わないと考えたんです。
そこで、学歴が関係ない実力で評価される世界で活躍したいと思い、美容業界を目指しました。

美容師になるからにはカリスマと呼ばれる一流の美容師になりたいと考えていました。
そこで、美容学校卒業後は、一番レベルの高い地域、一番レベルの高いサロンで働きたかったんです。

“一度は落ちた”採用試験を粘りで突破

カリスマになるためには、カリスマのもとで働くべきと考え、雑誌で取り上げられていた憧れのサロンの門を叩きました。
しかし、倍率30倍のなか、一度は、不採用に。

そこで、なんとか憧れのサロンで働くために、お客として予約して、直接採用を掛け合い、執念で採用してもらいました。

すごい熱量です。

人気サロンで学んだ「技術とマネジメント」──失敗からの学び

圧倒的な質と量

新人時代は、圧倒的な質と量でカリスマへの階段を駆け上がっていたそう。

当時は、金銭的にも時間的にも余裕はなかったです。
下積みとして、朝8時に店に行き終電で帰る生活でした。お客さんがいない時間に練習するので、休みの日も店に出ていました。
カリスマを目指していたので、同期の中でもトップの努力をしようと心がけていました。

いまの時代だと、ここまでの時間はなかなかコミットしづらいかもしれません。
「sand」ではもちろんですが、業界全体として待遇改善が進んでいます。

すごいですね。確かに今だとなかなか難しそうです笑

スター美容師になるためには?

美容師としてのスキルアップは練習量が全てなのでしょうか。島崎さんは、正しいアプローチによる行動の量が重要と話します。

ありがたいことにスタイリストデビュー後は、すぐに、お客さんもついてもらえるようになりました。

これは、いい先輩に教えてもらえたことが全てだと思います。

どんな仕事でもそうだと思いますが、正解のレベルがその人の能力の上限を決めると考えています。
正解が高いレベルにあることで、今の自分と何が違うか、今の自分に何が足りていないかを明らかにして、高いレベルに到達することができます。

若いうちに技術を身につけること、そのための量は重要ですが、ただ時間をかければ良いわけでなく、
正しいアプローチによる行動の量が重要です。

スタープレイヤーとの差を才能の違いに求めず、すべては努力の量と質の差と考えることで、道は開けます。

歴代最速で本店店長に、しかし挫折も

後輩からの心に刺さる一言をきっかけに、後輩を導く発想にシフトし成果が出始めたとのこと。

スタイリストデビュー後は、一生懸命に後輩の教育もしていました。
しかし、力を入れて育てていた後輩から「あなたみたいな人にはついていけない」と言われてしまいました。
本気で育てていた分、非常にショックで、マネジメントを学ぶきっかけになりました。

これ機に、自分を改めようと、セミナーや本といったインプットに加えて、尊敬する先輩に相談して私の身振りに対してフィードバックをもらうなどしました。
今思うと、「sand」のベースとなる価値観が作られた瞬間だったかもしれません。

平均年収1,200万円! sand式“チームサロン”の秘密

「sand」1号店を銀座にオープン

独立を意識してから、開業までは、たったの半年だったそうです。

2017年9月開業した銀座の一号店は10名ほどの小規模でスタートし、
最初の2年間は店舗拡大よりもチーム作りに注力しました。

サロン勤務時代に、店長としていろいろと経験させていただいたので、
独立を意識してからは半年で開業準備を進められました。

フリーランスのような独立の形もありますが、「誰から学ぶか」の大切さを知っているからこそ、チームとして働ける店舗の開業を目指しました。

ショート特化だけではない、圧倒的な強み

SNSで注目を浴びるショート特化も、スタイリストの成長のためと語ります。

ショート特化の戦略は「ショートは来店周期が短いから儲かる」というビジネス観点ではなく、スタイリストとして将来絶対に武器になるという考えが原点にあります。

たとえば目先の利益だけ求めると、髪質改善みたいな稼ぎやすいメニューだけやる20代を過ごす可能性があります。
一方で、美容業界はその時代の流行があるので、髪質改善のようなニーズが減る可能性があり、いつの時代も求められるカットの技術を身につけることは重要です。

今後は、所属するスタイリストたちが自分の個性を活かして様々なジャンルに挑戦していくでしょう。しかし、まずはショートカットの技術を高いレベルで習得してから、他のジャンルへ挑戦してほしいと考えています。

「できないから別の技術で勝負する」と、「ベースの技術はあるけれど、別のジャンルで勝負する」とでは非常に大きな差が生まれます。

「利他主義」を仕組み化──“導き賞”が変える人材育成

「ミッション=導く」を目に見える形に

美容室では珍しいと思いますが、「sand」ではミッションやビジョンを示して経営されています。

「sand」は「導く」をミッションに掲げ、「日本一のチームサロン」を目指しています。

年収2,000万円超のスタープレイヤーを育てることに成功していますが、そのスターが天狗化しない仕組みが重要と考えています。

利他主義でいこうと口で言うだけでは浸透しません。
実際に誰のために行動して評価されたかを仕組み化する。具体的には、年一回の賞与査定では「導き賞」という、売上だけでなく、教育・社内貢献も重視した評価を導入しています。
そうやってどう行動すれば会社から高く評価されるかを具体的に示すことで、「日本一のチームサロン」を実現できると考えています。

将来は「アカデミー」で経営指南を

「sand」では、新卒入社で3~4年目でも「自分の店を持ちたい」と言うスタッフがいれば全面サポートしています。
実際に全国で、パートナーサロンが動き出しています。
「sand」の良さを受け継ぎつつも自分の店を築ける道を用意しています。

私は、後輩たちに美容師としてだけでなく、経営者としても成功してほしいという想いがあります。
そのために、「sand」から独立して成功する人たちを、さらに導くアカデミーを作りたいと考えています。

自分のサロンが大きくなるだけじゃつまらない。かわいいスタッフたちの夢を一緒に叶えていきたいんです。それこそが導くってことだと思うので。

AIがもたらす新たな可能性──チーム力を高めるツールとして

デジタル技術で美容師の仕事はどう変わる?

美容師さんはAI・ロボット等で代替されづらい職業だとされています。一方で、技術習得の観点では、デジタル技術により一定レベルまでの習得が加速される可能性を島崎さんは認めています。

まず、技術面では、基礎訓練はVRやオンライン教材で学べる時代になっています。
VRを用いることで、3次元でカット技術を学ぶことができます。
人のカットを実際に見るより、さまざまな視点から学べるという点では、現実より優る部分もあります。

一定のレベルまでは、VR技術やAI等のシミュレーション技術を活用することで、高速に成長する可能性があります。また、地方のサロンでも、カリスマの技術を学ぶことができるようになるかもしれません。

一方で、最後に差をつけるのは正しいアプローチによる行動の量であるというのは変わらないと思います。

AIで“煩雑な業務”を削減し、技術習得や人間同士のコミュニケーションに集中

経営やマネジメント、営業においては、AIの可能性は非常に広いと考えています。
私自身、ChatGPTのProプランを契約し、日々、生成AIに調べごとや自身の考えの整理を手伝ってもらっています。

まだまだ、使いこなせていない感覚なのですが、うまく使いこなすことでもっと色々できるのではと考えています。(教えてください笑)

例えば、メニューに合わせて、再来店の周期を考慮した配信タイミングやクーポンの内容をパーソナライズすることで、顧客満足度向上につながるかもしれません。

また、前述のアカデミーの構想では、私自身のクローンを作ることで、後輩の悩みに合わせたアドバイスを瞬時に提供できると、「sand」ファミリーが共に成長・発展していけるベースになると思います。
「sand」でも店舗数が増えて本部を作るまでは、私自身が経理や労務等をマネジメントしていました。そういった美容室というビジネスに寄り添ったノウハウを、生成AIで型化して広げていけると、同じ苦労をせずに技術や接客、経営のコア部分に集中することができて、いいのではと考えています。

インタビュアー あとがき「誰のために行動するか」が未来をつくる─島崎さんが描く未来

美容師という職業の特性上、AI・ロボットに代替されることはまだまだ当分ないと予想されます。

一方で、技術習得の観点では、VRやAIシミュレーションの技術を用いることで、一定レベルまでの習得が加速される可能性は、島崎さんのような実績のある方も認めています。
また、マーケティングや経営管理の観点では、通常のビジネス向けの生成AI活用ができそうです。

島崎さんの重視する「正解のレベルがその人の能力の上限を決める」という点は、美容師だけでなく、あらゆるビジネスパーソンに通ずるものだと感じました。島崎さんは「最高級のレストランは、そこの料理人の美味しいの定義が圧倒的だから最高に美味しいものを作れる」といった表現で、正解が高いレベルにあることの重要性を説明してくれました。私自身、プログラマ・研究者として、まさに周囲のレベルが自身の成長角度を変化させると実感しており、先生・先輩方に感謝しています。何度も頷きながらお話をお聞きしました。

また、正しいアプローチによる行動の量が重要という点も、非常に刺激的です。
正解の定義がされたら、できる人との差を才能の違いに求めず、すべては努力の量と質の差と考えるということは単に自責思考というよりも、全てをコントロールできるといった実感が成長を加速するエンジンになるということだと考えます。

ショートカットの技術力をベースに、若手中心で、平均年収1,200万円を実現してきた根底には誰が為の利他主義があるということでしたが、まさになぜやるのかというビジョナリーな経営の重要性を痛感しました。
AIなどテクノロジーが進化することで実現されるデジタルマーケティングの最適化などは、競合も導入可能で、差別化要素にはなりません。そういった技術進化を前提に起きつつ、人間だからこそ提供できる寄り添いチーム力、見せ方だけじゃない真の技術力が求められるのだと思います。

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