精巣癌の治療から9年、闘病ふたたび。
こんにちは、そのはです。
20歳のときに癌と診断され、半年間の入院で治療をしました。
それから9年、まさか再発してまた病院戻りになるとは・・・。
記憶が新しいうちに、記録を残しておきたいと思います。
再発の発見
9月には血液検査、3月には血液検査と造影CT検査という内容で、半年に1回の頻度で経過観察をしていました。
2025年3月の血液検査で、腫瘍マーカーの値が異常値となりました。
じつに2016年から9年ぶりの異常値です。
CTの画像からは腫瘍が分かりにくかったようで、より精度高く撮影できるPET/CT検査を翌月に受けることになりました。
PET/CT検査とは、放射性薬剤を投与しそれが癌細胞とよく反応することで癌細胞を造影しやすくするCT検査のことです。
投与した薬剤が全身に行き渡るように、待機室のリクライニングチェアで1時間安静にする、という不思議な手順がありました。
また、放射性物質を取り込んでいるため、トイレで尿が飛び散ることがないように注意してくださいなど、独特のポイントもありました。
約2週間後にPET/CT検査の結果が出て、後腹膜のリンパ節に腫れを確認できました。
急いで治療しましょうということで、翌週に入院説明と入院手続き、翌々週から入院というスケジュールになりました。
最初の治療:化学治療
再発のため、初発時に用いたBEP療法とは別の方法で、TIP療法という化学治療を用いることになりました。
TIP療法が確実に効くかは分からないため、まずは2コースやってみて、効かないようなら別の薬剤を試してみましょうという方針でスタートしました。
TIP療法はパクリタキセル・イホマイド・パクリタキセルの3種類の薬剤を用いて、1コース約3週間のサイクルで投薬していきます。
BEP療法とは違い5日間のみで投薬が終わるため、残りの2週間は副作用の回復に努めるかたちです。
$$
BEP療法の投薬スケジュール \\
\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c|} \hline
日数 & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & … & 9 & … & 16 & … \\ \hline
ブレオマイシン & & 〇 & & & & & 〇 & & 〇 & \\ \hline
エトポシド & 〇 & 〇 & 〇 & 〇 & 〇 & & & & & \\ \hline
シスプラチン & 〇 & 〇 & 〇 & 〇 & 〇 & & & & & \\ \hline
\end{array}
$$
$$
TIP療法の投薬スケジュール \\
\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|c|} \hline
日数 & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & … \\ \hline
パクリタキセル & 〇 & & & & & \\ \hline
イホマイド & & 〇 & 〇 & 〇 & 〇 & \\ \hline
シスプラチン & & 〇 & 〇 & 〇 & 〇 & \\ \hline
\end{array}
$$
2コースやってみたところ腫瘍マーカーの減少が確認されたので、6コース目まで続けることになりました。
副作用
主に現れた副作用は、腹部膨満感・食欲不振・吐き気・便秘下痢・骨髄抑制・手足の痺れ・脱毛でした。
BEP療法のときと同じく、薬の副作用なのか点滴で常に水分を摂っているからなのか分かりませんが、異常に唾液が分泌されました。
胃の膨満感があるところに唾液を飲み込むと大量にゲップが出てしまい、さらにそのゲップを上手く出せずにつかえてしまうと吐きそうになるということに悩まされました。
だいたい投薬2日目あたりから吐き気を催し段々と食べられなくなり、3日目あたりから便秘になります。
便秘薬の力を借りて7日目あたりに排便できると、8,9日目あたりで食欲が戻ってきます。
10日目あたりで下痢になるので、整腸剤を使ってそれを抑えます。
1コース目のときに便秘がひどかったので、2コース目以降は病院食を軟飯に変更したり揚物を禁止にしたりすることで、消化しやすくなるように工夫しました。
便秘薬の効果を高めるために水分を摂り、できるだけ歩いたり腸のマッサージをすることで、比較的早めに便秘を解消できたと思います。
吐き気が強いときは頓服の吐気止めを使いつつ、病院食を食べやすいもの(そうめん、ゼリー、アイス、ヨーグルト、栄養剤)を中心に組むことで、何も食べられないということは避けました。
また3コース目からは安定剤を使うことで、吐き気がかなり緩和しました。
代わりに強い眠気に襲われるので、だいたいは眠って過ごしていました。
(むしろ眠っているうちに終わるのでありがたい。)
BEP療法では骨髄抑制により白血球がかなり減少していましたが、今回のTIP療法ではそこまで白血球が減少しませんでした。
なので、便秘と吐き気が落ち着いた9,10日目あたりには一度退院して自宅療養が可能でした。
一方、6コース目のときには赤血球が減少し、投薬の翌週はめまいに悩まされました。
鉄分とビタミンCと水分を意識的に摂ることで、翌々週には落ち着いてきました。
もうひとつBEP療法と異なっていたのは手足の痺れです。
3コース目あたりから自覚をし始め、休薬期間に少し回復するもののコースを重ねるごとに痺れが強まっていき、6コース目が終了した現在もそこそこ強く痺れています。
ずっと正座をしていたときのような、しもやけになったときのような感覚で、細かい触覚が分からないのと温感が鋭くなっている感じです。
物を落としやすかったり躓きやすくなっているため、慎重に生活しています。
あとは上手く力が入らず、字が書きづらいですね。
脱毛も2コース目から始まり、今回は自分でバリカンで丸刈りにしました。
髪だけでなく眉毛と睫毛も抜けきってしまいましたが、6コース目が終了して2週間ほどの現在、少し産毛が生え始めました。
BEP療法と同じであれば、しばらくは髪質が変わってふわふわでくるくるのクセ毛となり、1年くらいしてようやく元に戻ってくる感じかと思われます。
副作用を抑えるための薬
吐気止め
デカドロン、ラニチジン、ラモセトロン、ポララミン
抗癌剤の投薬の合間を縫って点滴します。
アプレピタント
投薬2日目から4日目にかけて服用するカプセル錠。
プリンペラン
頓服で使用する錠剤。
オランザピン
安定剤ですが、脳の伝達物質を阻害することで抗癌剤による吐き気を緩和します。かなり眠くなります。
3コース目から服用を始めました。
胃腸薬
ランソプラゾール
胃酸を抑える錠剤。
半夏瀉心湯
ゲップを抑える顆粒の漢方薬。
あまり効果を感じなかったので、1コースのみでやめました。
ミヤBM
乳酸菌で腸内環境を整える錠剤。ビオフェルミンの仲間。
3,4,5コース目で退院後の下痢がひどかったため、6コース目で服用しました。
便秘薬(下剤)
酸化マグネシウム
便に水分を含ませて軟らかくする錠剤。
センノシド
腸の蠕動運動を促す錠剤。夜に服用すると翌朝あたりに効いてきます。
アミティーザ
頓服で使用する、小腸に作用して水分を外から腸内に呼び込み便を軟らかくする錠剤。
効きすぎて下痢になってしまったので、1コースのみでやめました。
その他
ウロミテキサン
膀胱炎や血尿を防ぐ点滴。
メイロン
抗癌剤の排泄・排尿を促す点滴。
これらを次のようなスケジュールで服薬しました。
見ての通りぎちぎちのスケジュールで、夜中にも点滴の交換が発生するためやや寝不足になります。
日中にも眠れるように、アイマスクと耳栓が活躍しました。
$$
\begin{array}{|c|c|c|c|} \hline
日付 & 時間 & 点滴 & 錠剤 \\\hline
0日目 & 21:00-21:30 & デカドロン & \\\hline
1日目 & 4:00-4:30 & デカドロン & \\\hline
& 10:00-11:00 & ラニチジン、ラモセトロン、ポララミン & \\\hline
& 11:00-14:00 & パクリタキセル & \\\hline
& 14:00-14:30 & 生理食塩水 & \\\hline
2日目 & 2:00-6:00 & ソルアセトF & \\\hline
& 6:00-8:30 & メイロン & \\\hline
& 8:30-11:00 & メイロン & \\\hline
& 11:00-11:30 & ウロミテキサン & \\\hline
& 11:00-13:30 & イホマイド & \\\hline
& 13:30-16:00 & ソルデム3A & \\\hline
& 14:00 & & アプレピタント \\\hline
& 15:00-15:30 & ウロミテキサン & \\\hline
& 15:30-16:00 & アロキシ、デカドロン & \\\hline
& 16:00-18:30 & シスプラチン & \\\hline
& 18:30 & & オランザピン、ランソプラゾール \\\hline
& 18:30-21:00 & メイロン & \\\hline
& 19:00-19:30 & ウロミテキサン & \\\hline
& 21:00-23:30 & メイロン & \\\hline
& 23:30-2:00 & ソルデム3A & \\\hline
3~5日目 & 2:00-6:00 & ソルアセトF & \\\hline
& 6:00-8:30 & メイロン & \\\hline
& 8:30 & & アプレピタント、酸化マグネシウム \\\hline
& 8:30-11:00 & メイロン & \\\hline
& 11:00-11:30 & ウロミテキサン & \\\hline
& 11:00-13:30 & イホマイド & \\\hline
& 12:30 & & 酸化マグネシウム \\\hline
& 13:30-16:00 & ソルデム3A & \\\hline
& 15:00-15:30 & ウロミテキサン & \\\hline
& 15:30-16:00 & デカドロン & \\\hline
& 16:00-18:30 & シスプラチン & \\\hline
& 18:30 & & オランザピン、ランソプラゾール、酸化マグネシウム \\\hline
& 18:30-21:00 & メイロン & \\\hline
& 19:00-19:30 & ウロミテキサン & \\\hline
& 21:00 & & センノシド \\\hline
& 21:00-23:30 & メイロン & \\\hline
& 23:30-2:00 & ソルデム3A & \\\hline
6~8日目 & 8:30 & & 酸化マグネシウム \\\hline
& 12:30 & & 酸化マグネシウム \\\hline
& 18:30 & & ランソプラゾール、酸化マグネシウム \\\hline
& 21:00 & & センノシド \\\hline
9日目~(退院後) & 朝、昼、夕 & & ミヤBM \\\hline
\end{array}
$$
次の治療:後腹膜リンパ節郭清手術
来月に手術を行います。
9年前と同様に全身麻酔+硬膜外麻酔で対応するとの説明を受けました。
以前まったく同じ手術をしているので臓器同士が癒着している可能性が高く、また今回腫れているリンパ節は腎臓および大動脈のすぐ隣にあるということで、前回よりも手術のリスクが上がっているようです。
具体的には、手術時間が長くなりそう(丸一日?)であることと、輸血の可能性が上がっていること、場合によっては腎臓も摘出することが挙げられます。
手術の2日前から入院し、手術前日には絶食、当日の朝から手術を行うスケジュールで、合計10日ほどで退院できると思われます。
精子凍結の話
9年前は、精巣摘出から化学治療1コース目開始までの間に精子凍結をするように勧められました。
今回は急いで化学治療を開始したこともあり、1コース目と2コース目の間に精子凍結をするよう勧められました。
じつは9年前のリンパ節郭清手術の後から、射精障害が残りました。
執刀医からは逆行性射精障害になるかもと事前に説明を受けていたため、射精感はあるものの精液はすべて膀胱へ行っているという理解をしていました。
今回の精子凍結の際には、そもそも膀胱に精液が行っているのか?というところも含めて精液検査をしてもらうことにしました。
生殖機能温存治療費助成の指定医療機関である加藤レディスクリニック様で診ていただきました。
結果、尿中の精子はゼロ!
後日もう一度検査してみても良いがおそらく結果は変わらないだろうとのことでした。
どうやら9年前の化学治療から右精巣が機能していなかったのかもしれません(いわゆる無精子症)。
自然に回復する~という説明がなされることも多いですが、今回の化学治療でさらにトドメを刺してしまったかなとも思います。
仕事とお金の話
5月から化学治療を開始しましたが、その時点で会社の有給休暇がかなり余っていたので、5月6月は有給休暇を消化してお給料をいただくことにしました。
4名のSEを束ねるチームリーダーでしたが、別チームの先輩社員に業務を丸っと引き継ぎました。(無理言って申し訳ないです・・・。)
7月以降は有給休暇が底尽きてしまうため休職に切り替え、健康保険組合から傷病手当金をいただくことにしました。
支給金額は標準報酬額の2/3ですが、標準報酬額とは源泉徴収前の給料なので思ったよりもいただけるなという印象でした。
ただし社会保険料は別途支払う必要があるので、普段の手取りよりは少なくなるはずです。
9年前と違う点で言うと、マイナ保険証の存在もありますね。
以前は高額医療費の自己負担限度額認定は、退院後に役所と病院を行ったり来たりしないといけませんでしたが、
マイナ保険証を提示することにより病院だけで完結して、しかもリアルタイムに限度額を適用することができるのが便利でした。
手術が無事に終わったら、また経過について書きたいと思います。
この記事が誰かの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
