#2 裁判の傍聴に行ってきた!【体験レポ】麻薬取締法違反
こんにちは、直角です。
某日、有休を使って裁判の傍聴をした話をします。
前の記事はこちら。
実名でネット記事にすると名誉棄損になるとのことなので、偽名で書くのはもちろんのこと、地名・罪状などもすべて架空にしているぞ!
現実の特定の裁判とは紐づけず、「事実をもとにしたフィクション」として読んでくれよな。
みんなもぜひ裁判の傍聴に行こう!
有休を1日つぶすだけの価値はあったぞ。
あとお子さん連れも多かった! 教育的価値は高い。
裁判の概要
1件目に傍聴したのは、麻薬に関する裁判。
裁判の内容:マジックマッシュルーム等の所持、使用。
詳細:
八本木のクラブで、偶然知り合いから麻薬をもらう。
2年間の所持の末、駅のロッカールームに遺棄。
防犯カメラから特定され逮捕。
被告:
スーツを着用。
若くてシュッとしている。
埼川県で祖父と二人暮らし。
弁護人→被告人への質問の様子

この裁判においては、弁護人が被告人に質問する形で弁護していた。
僕の当初のイメージでは、プレゼンみたいなことをするのかなーと思っていた分、「こんな形式なんだな」と意外だった。
弁護人(以下「弁」):クラブで麻薬をもらった時、違法と知っていましたか?
被告人(以下「被」):もしかしたらそうかも……とは思っていました。
弁:そのあと、貰った品をネットで調べましたか?
被:はい。調べて、大麻だと思い、怖くなりました。
弁:その麻薬を使用はしましたか?
被:2年間で3回だけ使いました。もらった知人に家に来られ、断れませんでした。
弁:逮捕後、勤めていた会社は懲戒解雇になりましたか?
被:はい。
弁:保釈金を支払ってくれたお祖父さまは、本日裁判所にいないのですか?
被:祖父は体調を崩しています。
弁:それは大変ですね。お祖父さまの様子はいかがですか?
被:(口ごもり)支えてくれると……。
弁:現在再犯防止のためにどんな対策をしていますか?
被:万葉県の自助グループに週一で参加しています。また、クラブなど、麻薬を渡される危険のある場所には行かないようにしています。
検察官→被告人への質問の様子

続いて、検察官からの質問。被告人にとっては守りの時間ともいえる。
検察官(以下「検」):麻薬――あなたが「大麻」だと思っていて、実際はマジックマッシュルームだったわけですが――、について調べた際、捨て方は調べたのですか?
被:調べました。
検:調べたのに捨てなかった?
被:捨ててもバレるのではと怖かったからです。また、渡してくれた知人が怖く、捨てられなかったです。
この質問は鋭いなー、と思った。
検察官はさすが本職といったところで、被告人の矛盾を突く質問が極めて上手だった。
とはいえ、別段検察官も圧迫的という感じは受けない。
あくまで淡々と、職務上の態度は決して崩していなかった。
検:転職に成功して、引っ越しとなったら、自助グループは通えますか?
被:近い職場を選んで探しているため継続して通います。
検:また麻薬を渡されたらどうしますか?
被:きっぱりと断り、通報します。
裁判長→被告人への質問
弁護人、検察官と続いて、最後は裁判長からの質問である。

裁判長(以下「裁」):麻薬使用の際には、性行為をしていたとのことですが、性的な役割もあったのですか?
被:はい。くれた知人との性行為の際に使っていました。ただ、大抵の場合は体調が悪くなりました。
裁:ご家族には、逮捕について話しましたか?
被:はい。肉親である祖父に話しています。
裁:どんな様子でしたか?
被:自分の逮捕を知ったときはかなりショックを受けていたようでしたが……。
(言いよどみながら)「支えてくれる」と言っていました。
サマリ
一通り質問が終わったところで、各立場のサマリに入る。
ここで、「弁護人や検察官がどういう意図で質問していたのか」、傍聴人に種明かしされるわけである。
一種、伏線回収のような形。
弁護人のサマリ:
1.使用は数回のみで、幻覚症状も見られない
2.前科なし。若く更生の余地あり
3.反省の色を見せている
4.自助グループへの通所、およびクラブへ行かないなど再犯防止に努めている。また祖父からの監督もあり、再犯の可能性は低い。
5.会社も免職され、すでに社会制裁を受けている
どうやら裁判では、以下が効いてくるらしい……。
もちろん素人の感想ではあるのだが……。
・依存度
・前科有無
・反省の色
・自助グループへの通所有無
・監督者有無
・社会的制裁
続いては検察官のサマリ。
検察官のサマリ:
1.知人に言われて本意ではなかったとはいえ、性的な目的で使用している
2.二年もの間捨てずに所持している
3.クラブでもらった時の薬物への抵抗のなさ
よって2年の拘禁刑を求刑する。
「拘禁刑」と言う聞きなれない単語だが、2025年に開始した新しい刑らしい。
懲役と禁錮が合併した刑とのこと。

弁護人、検察官のサマリが終わったところで、被告人が最後にコメントする。
被告人のコメント
麻薬を所持し、使用してしまったことを、心から反省しています。
祖父にも……大きな迷惑をかけてしまい……、大変申し訳ないです。
家族や自助グループの助けを借りて、決して今後同じことをしないように努力します。
この青年は、祖父について話すとき必ず涙ぐんでおり、自分も思わずうるっときてしまった。
保釈金も大金だろうになあ……。
手塩にかけて育てた孫が、捕まったとなると、頭が真っ白になったのではないか。
この青年も、きっと祖父のその痛みを感じ取っているからこそ、こうも苦し気なのだろう。
判決
拘禁刑:2年
執行猶予:3年
裁判費用は被告人持ち
判決が言い渡された後は、裁判長から、量刑の説明と、執行猶予の説明が行われる。
量刑の理由としては以下の通りだった。
1.快楽目的で使用している
2.薬物への抵抗のなさ
麻薬なんて快楽のために、以外に目的などあるんだろうかとも思ったが、依存症なんかだと快楽目的じゃないんかもしれん。
一方で執行猶予の理由は、
1.反省している
2.祖父の監督が見込める
監督者の有無が刑に関係するのは、なんというか親ガチャ的要素を感じて不公平な気もしたが、再犯率に関わるので、含めざるを得ないファクターなのだろう。
「執行猶予つきの拘禁刑」。
量刑は検察官の言う通りで、そこに執行猶予と裁判費用負担が追加された形だ。
ちなみに。
執行猶予だが、お恥ずかしながら裁判の傍聴をして初めて意味を知った。
ものすごく雑に言うと、こんな感じ。
この期間罪を犯さなければ、実刑を免れる期間
まあ要はイエローカードの状態に近い。

今回で言えば、
この被告が3年間無犯罪で過ごせば、刑務所に行かなくて済む。
もし、犯罪の種類にかかわらず再犯すれば、今回の分と合わせてダブルで実刑になる。

裁判長も、この執行猶予の意味を、被告人にていねいに教えていた。
確かに、意味を知っていると知らないとでは、再犯率がかなり違いそうだ。
「積極的ではないものの、あなたはその場の雰囲気に流されると、麻薬を使ってしまうのでしょう。気を付けて過ごすように」
と言い諭す裁判長に、被告もうなずいていた。
閉廷
とうとう裁判も終わりである。
裁判長の閉廷の宣言とともに、傍聴席も含むその場の全員が起立し、一礼。
思ったこと
青年が涙ぐんで反省を誓う様子を見ながら、
きっと、この青年は捕まるまで罪の意識を持っていなかったのではないか?
と僕は思った。
2年も麻薬を所持して、その間捨てないのはやっぱり、「麻薬への好奇心」があったのだろうと勘ぐってしまう。
彼は捕まって初めて、それが悪いことだと切実に感じ、反省したわけだ。
さぞやモテそうな、整えられた頭髪にすらりとした体躯のこの青年を見ながら、
僕は冷たいことにも、
「まあ、クラブに行くようなちゃらけた人間だしなあ」
などと考えていた。
しかし、これに続く数件の裁判を見るうちに、青年への評価もがらりと変わった。
捕まって反省する分、青年は上澄みなのである……!
さて、次に傍聴したのは、詐欺だった。
→
