【読書記録 -164】ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
ホグワーツで最も気になる生徒
今年の6月頃からだったろうか、ボクはハリーポッターシリーズを少しずつ読み進めていて、先日5作目の『不死鳥の騎士団』を読み終えた。

ボクは(小説は)ネタバレさせない主義なので、今回もストーリーとはあまり関係ないところで、だけどボクが最も関心を寄せたポイントをピックアップしようと思う。
本作でボクが特筆したいのは、フレッドとジョージの双子のウィーズリー兄弟だ。
彼らは決して優等生ではない。授業中にいたずらをし、先生を困らせ、試験の成績も良くはない。しかしボクは、この二人を起業家のロールモデルのような人物だと感じた。
普段から数多くの起業家を見ているボクとしては、当然気になる存在だ。
本作の中で、フレッドとジョージはホグワーツを中退し、ダイアゴン横丁でいたずら専門店「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ」を開業する。
まずは、ピーター・ティールの『ZERO to ONE』を参照しよう。
起業以前、フレッドとジョージは完全なプロダクト・アウト型で商品を開発している。
彼らは「こんな商品があったら面白い」という発想から試作品を作り、ホグワーツという小さな市場で試して、データを取って改良を重ねる。まさにスタートアップ企業のそれだ。
彼らの商品は「プロプライエタリ・テクノロジー(特定の企業や個人が独占的に所有し、外部に公開しない独自技術)」だ。彼らが独自に研究を重ねて、テストを繰り返して創り上げた商品は、他社が真似することはできない。
そして彼らは、アンブリッジ校長の恐怖政治の中から生まれてくる生徒たちの不満を取り入れたマーケット・イン型の商品開発に切り替えていく。
ピーター・ティールは、大きな市場を狙う前に、小さな市場で圧倒的な存在になることの重要性を説いている。そしてニッチ市場を支配したら、関連する少し大きな市場に徐々に拡大すべきだと。
フレッドとジョージは、まさにその通りの戦略を取っている。
そして、もう一つ重要なのが「運」である。
ここでは、マルコム・グラッドウェルの『天才!- 成功する人々の法則』を参照しよう。
前作『炎のゴブレット』の終盤、ハリーは三大魔法学校対抗試合で優勝し1000ガリオンの賞金を得る。しかし、ハリーはそのガリオン金貨を「要らない」と言いフレッドとジョージに渡す。
この1000ガリオンが「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ」の創業資金となり、ダイアゴン横丁の店舗の準備金と新商品の開発費用になったのだ。
こういう幸運は重要だ。
しかし、マルコム・グラッドウェルが述べているように、運を活かすためには、そのタイミングまでに1万時間の準備が必要だ。そうじゃないとカイロスの前髪をつかむことはできない。
二人は資金を受け取る前から商品を開発し、市場を理解し、顧客の反応を観察し続けていた。だから、ハリーからもらった1000ガリオンを成功を加速させるためのレバレッジにすることができたのだ。
山川恭弘は『起業家の思考と実践術』の中で、起業家は変態(変化を常態とする人間)でなければならないと説いている。
フレッドとジョージは、学校では評価されず、周囲から変わり者だと思われていた。言ってみれば「問題児」だ。
だけど、彼らがやっていることは、マーク・ザッカーバーグとそっくりじゃないか。マーク・ザッカーバーグは、大学時代に学校のコンピューターシステムをハッキングし、女子学生の容姿を比較・投票させるサイト(それが後のFacebookになる)を勝手に立ち上げて、退学になりかけた変態だ。
さて、ハリー・ポッターシリーズも残り2作。
山川恭弘は著書の中で「変態を5人集めると文化ができる」と説いていた。
あと2作の内にフレッドとジョージが3名の変態を集めて文化を形成することができるのか… ボクはそこを見守っていきたいと思っている。(知らんけど)
