スランプに陥ったら、上手くなろうとするな。元ブルーインパルスのパイロットが私に言った一言
パイロットはスランプに陥りがち
気力や体調が一時的に衰え気味で,仕事の能率や成績が落ちる状態。
定義がこれだとしたら
パイロットは、ほぼ例外なくスランプを経験する。
なんならパイロットの訓練期間なんて
週1回でスランプに陥るといっても過言ではない。
(最早実力か…。笑)
そもそも人間は空を飛ぶ生き物ではないので
10年間パイロットをやっている今も
久しぶりに飛ぶと、いつもと感覚が違う?
なんてこともよくある。
訓練生時代のことを思い出すと
昨日まで普通にできていたことが
急にできなくなる。
原因がわからなくて、焦る。
だからもっと考えて、練習する。
でも、さらに崩れる。
私は戦闘機課程でまさにその状態を経験しました。
👇私のパイロットとしてのバックボーンはここです。
航空自衛隊のフライトコースは訓練生が
防大組、一般大組、航空学生組と分かれ
クラスを作って訓練をしていきます。
このクラスには
FC:フライトコマンダー(担任)
AC:アシスタントコマンダー(副担任)
という担当教官がつきます。
芦屋基地(福岡県)の戦闘機課程(前期)では
どちらも元ブルーインパルスのパイロットでした。
(浜松でもACは元ブルーのパイロットだったし
ご縁があったのかもしれません。)
で、スランプに陥った時の話ですが
ある日フライトがうまくいかずに
デブリーフィング中にコマンダーに相談すると
返ってきたのは一言だけ
「Get back to basics.」
当時は「そんなことで本当に変わるのか」
と思っていました。
でも飛行時間が増えてきた今になって
やっとその意味がよく分かってきました。
飛行技術は、基本の積み重ねで成り立っています。
スランプに陥ると
人は自分のできない部分ばかり見て
新しいことを試したり
難しいことに手を出したりします。
しかし実際には
技量が崩れているのではなく
基本が少しずつ乱れていることがほとんどです。
だからこそ
「Get back to basics.」
基本に戻ることが一番の近道なのです。
もう一人の元ブルーパイロットの教官(AC)は
芦屋基地へ着任したばかりの私たちに一言。
「初級課程(T-7)の時によく教官から指導されたこと、自分の中で弱いと思っていることを殴り書きでも、どんな紙でもいいから書くんだ。」
「俺に見せる必要も、提出する必要もない。
身に着けていつでも見返せるようにしておきなさい。」
操縦技術でもいい。
性格でもいい。
とにかく
自分が失敗しやすい原因を書き出しておけ、と。
私は今もライセンス入れに入れているのですが
パーソナリティの根はやはり変わってませんね。

どうせ見せないからと千切ったルーズリーフに
本当に殴り書きしてるあたりに人間性が出ている。笑
スランプに陥ると
「何が悪いのか分からない」と感じます。
でも実際には多くの場合
自分の弱点は昔から変わっていません。
様々な要因で
パーソナリティの根にある
昔からの悪い癖が顔を出すだけなのです。
だからこそ
自分の弱さを認識する。
調子が悪い時には
自分の弱点を思い出すことが
立て直す第一歩になります。
この考え方はフライトだけではありません。
仕事でも、スポーツでも、勉強でも同じです。
調子が悪くなると、色んな情報をとって
新しい方法を探したくなります。
でも、本当に必要なのは
・新しいことではなく、基本に戻ること。
・自分の弱さから目を背けないこと。
結局、スランプを抜け出す鍵は
新しい技術ではなく
自分がすでに知っているところや
自分自身にあるのかもしれません。
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