八角を求めて、ポトフを煮込む日。香りで整える小さな養生
朝起きて、仕事をしていると、ふと
「ポトフが食べたい」
と思いました。
肉の旨味に、野菜のやさしい甘さ。
ほくほくのじゃがいも。
鍋の中でゆっくり煮えていく、あの素朴で栄養たっぷりのスープ。
頭に浮かぶのは、そんなことばかり。
ここまできたら、もう作るしかありませんよね。
そう思って鍋を出し、いつものように作り始めたのですが、ここでひとつ問題が。
我が家の定番のスパイス、八角がなかったのです。
ポトフといえば、ローリエを思い浮かべる方が多いかもしれません。
けれど我が家では、八角、シナモン、ローリエ、生姜がいつもの組み合わせです。
中でも八角は、私にとって欠かせない香り。
甘さのある、少し爽やかな香り。
そしてどこか深く濃厚で、肉の脂をやわらげてくれるような独特の存在感があります。
そこにシナモンの温かみが重なると、ただのスープではない、少し特別な鍋になる気がするのです。
あと少し残っていたはず。
そう思って棚の中を探したのですが、見つからない。
でも今日はどうしても、あの香りの入ったポトフが食べたい。
あの甘さと温かさがしみ込んだ肉と野菜の味を、
体の奥が求めている気がして――
どうにもあきらめがつきませんでした。
そこで今日は、八角を求めて散歩がてらスーパーへ。
帰ってきて、さっそく鍋を火にかけ、今はちょうど煮込み中です。
夕方には野菜もくたくたになって、お肉もほろほろになっているはず。
食べる一時間ほど前にじゃがいもを加えて、最後にもうひと煮込みすれば、我が家の定番のポトフの完成です。
煮込み時間は一時間くらいとも言われますが、私はポトフは、ゆっくり火を入れたほうが好きです。
時間をかけるほどに、野菜の甘みも、肉の旨味も、鍋の中で静かになじんでいく。
その変化を待つ時間ごと、おいしさの一部のように思えます。
そして、私が何より好きなのは、煮込んでいるあいだの香りです。
八角とシナモン。
そこにローリエと生姜も重なって、部屋の空気そのものが少しずつ変わっていく。
台所に立ちながらその香りを吸い込んでいると、食べる前からもう半分くらい満たされているような気持ちになります。
そういえば、私は八角とシナモンを入れるのが当たり前になっているのですが、生徒さんに話すと意外と驚かれることがあります。
ポトフに八角。
そんなに珍しいのでしょうか。
私の中ではすっかり定番なので、書きながら少し不思議な気持ちになりました。
せっかくなので、今日は八角のことを少しだけ。
八角は、中華料理ではおなじみの、星のような形をしたスパイスです。
日本では豚の角煮などでもよく使われます。
お香の世界では、大茴香として使われることもあります。
私も、香りに少し甘さや明るさを加えたいときによく使う香原料です。
そして、その形が八方に開いていることから、縁起のよいものとして語られることもあるそうです。
そう思うと、シナモンもまた、温かさや豊かさを感じさせるスパイス。
八角とシナモンを入れて煮込む我が家のポトフは、ただの晩ごはんというだけではなく、部屋の空気をやわらげ、気持ちをほどき、少し元気を戻してくれるような、小さな鍋なのかもしれません。
四体液質でいえば、春先は冬の名残の「冷」と、春に動き出す「湿」が入り混じる季節です。
体がなんとなく重かったり、気持ちがゆるみすぎたり、逆に冷えて巡りが鈍く感じたりする日もあります。
そんなとき、温かい鍋の湯気や、スパイスの香りは、体を内側からゆっくり起こしてくれる気がします。
今日は、まさにそんな一日でした。
鍋の中でゆっくりと煮えていく野菜と肉。
そこから立ちのぼる、八角とシナモンの香り。
この香りが部屋を満たしていく時間ごと、今日の小さな養生だったのかもしれません。
今日の小さな養生
・「今日はこれが食べたい」と思った感覚を大切にする
・温かいスープや煮込みで、内側からゆっくり整える
・香りのあるスパイスを使って、食卓に小さな変化をつくる
・煮込んでいる時間そのものも、ひとつの養生として味わう
今夜のポトフは、健康のための晩ごはんであり、香りで気持ちを整えるための、小さな手仕事でもあるように思います。
ダイエット中の私にとっては、やさしく満たしてくれるありがたい鍋でもあります。
もしかするとこのポトフは、部屋の空気を整え、気分をゆるめ、ついでに私の脂肪まで少し浄化してくれる、そんなラッキーポトフなのかもしれませんね(笑)
🔳 2月|冬の養生 記事まとめ▼
季節のゆらぎの整え方や養生については、こちらのまとめ記事にも書いています。
また、季節の不調については、メンバーシップで少し深く書いています。
