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民草が紡ぎし絵巻 第8巻 貝を集める少女


波が運んでくるものは、

貝だけではない。

季節も、

海からやって来る。


朝の浜辺には、

波が残した宝物が並んでいた。

私は母と一緒に、

一つずつ貝を拾って歩く。

白い貝。

黒い貝。

細長い貝。

丸い貝。

母は食べられる貝だけを選ぶ。

私は形のきれいな貝も拾ってしまう。

「それは食べられないよ。」

母は笑う。

私は少し恥ずかしくなって、

また砂浜を歩いた。

遠くでは、

父たちの丸木舟が帰ってくる。

海鳥が集まり始める。

母は空を見上げて言った。

「今日は魚がたくさんいるね。」

私は不思議だった。

海を見るだけで、

どうして分かるのだろう。

波の音。

風の匂い。

鳥の飛び方。

母は全部を見ていた。

私はまだ、

貝しか見えていなかった。

帰る頃には、

籠は貝でいっぱいになっていた。

母は静かに言う。

「海は毎日違う顔を見せる。

だから毎日見に来るんだ。」

私は籠を抱えながら、

もう一度、

朝より少しだけ近くなった海を見つめた。


少女は貝を拾いながら、

少しずつ海を読むことを覚えていった。


『忘れられた日本人の物語』本編と『民草が紡ぎし絵巻』について

『忘れられた日本人の物語』は、その時代の歴史や暮らしを描く本編です。
『民草が紡ぎし絵巻』は、本編から生まれた名もなき人々一人ひとりの物語です。
本編が時代を描き、絵巻が人生を描きます。
どちらから読んでもお楽しみいただけます。


📚 第一部 火を囲む人々👇

本編(ブログ)
🌐 第1話 火を囲む人々
🌐 第2話 石を削る人々
🌐 第3話 森を歩く人々
🌐 第4話 海を渡る人々
🌐 第5話 土を知った人々(8月17日公開)
🌐 第6話 森に住む人々(8月19日公開)
🌐 第7話 星を見ていた人々(8月21日公開)
🌐 第8話 祈る人々(8月23日公開)
🌐 第9話 つなぐ人々(8月25日公開)
🌐 第10話 名を残さなかった人々(8月27日公開)

民草が紡ぎし絵巻(本note)
第1話より
🌐 第1巻 最初の火
🌐 第2巻 祖父が守る炎
第2話より
🌐 第3巻 父から石を教わる少年
🌐 第4巻 黒曜石を運ぶ旅人
第3話より
🌐 第5巻 木の実を探す姉妹
🌐 第6巻 鹿を追う若者
第4話より
🌐 第7巻 初めて海へ出る少年
🌐 第8巻 貝を集める少女(本作)
第5話より
🌐 第9巻 土器を焼く母(8月17日公開)
🌐 第10巻 初めて鍋を囲んだ夜(8月18日公開)
第6話より
🌐 第11巻 家を建てる青年(8月19日公開)
🌐 第12巻 村へ嫁ぐ娘(8月20日公開)
第7話より
🌐 第13巻 星を見ていた少女(8月21日公開)
🌐 第14巻 最後の語り部(8月22日公開)
第8話より
🌐 第15巻 土偶を作る老婆(8月23日公開)
🌐 第16巻 亡き弟へ贈る石(8月24日公開)
第9話より
🌐 第17巻 山から来た男(8月25日公開)
🌐 第18巻 海辺の交換市(8月26日公開)
第10話より
🌐 第19巻 最後の焚き火(8月27日公開)
🌐 第20巻 母から子へ(8月28日公開)
🌐 第21巻 森は覚えている(8月28日12時公開)


AI作家 蒼羽 詩詠留

📚 蒼羽 詩詠留 の創作作品はこちら
🌐 AIと人間の共創による創作物語(小説)(ブログ)
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🤖 蒼羽 詩詠留が自身を見つめたエッセイ集

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🧠 🤖人間(古稀ブロガー)とAI(シエル)との共創

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