『要領のいい人』になれない僕が、介護現場の『評価』に、心が折れそうになった話。
こんにちは!
元ITエンジニアで現役介護福祉士のやなぎです。
今回は現場で思うように評価が得られず、心が折れかけた経験をお伝えしていけたらと思っています💡
1.【介護現場のリアル】たった3分間の会話が、僕を悩ませる理由
夕方の面会時間、ホールは少しだけ賑やかになります。
田中さん(仮名)の娘さんが「母の様子、どうですか?」と、近くにいた同僚に声をかけました。
同僚はにこやかに、けれど手短に答えます。
「お元気にされていますよ。特に変わりないです」。
5秒ほどの、簡潔で完璧な応答。すぐに次の業務へと戻っていきました。
少し寂そうな娘さんの表情が、なんだか気になって。
僕は作業の手を一度止め、声をかけました。
「もしよかったら、少しだけいいですか」
そして、今日の田中さんの素敵なエピソードを伝えたんです。
「今日、昔の歌謡曲がテレビから流れてきたら、田中さん、歌詞を口ずさみながら『この歌はね、お父さんとよく行った喫茶店で…』なんて、昔のお話をしてくれたんですよ」
娘さんの顔が、ぱっと華やぎました。
「まあ、母がそんなことを!教えてくださって、ありがとう…」。
その安心しきった笑顔を見られた時、僕の心も温かくなるのを感じました。
でも、同時に、胸の奥で小さな焦りが生まれるんです。
「いけない、もう3分も話し込んじゃった。早く自分の仕事に戻らないと…」 嬉しい気持ちと、仕事が遅れることへの罪悪感…
その二つが、いつも心の中で綱引きを始めるのでした。

2. なぜ介護の「本当に大切なこと」は、記録に残らないのか
ご家族と話した、あの3分間。
それは、日々の業務記録のどこにも残りません。
「ご家族とコミュニケーションをとった」という事実はあれど、その会話によってご家族がどれだけ安心し、僕たちがどれだけ信頼を得られたかという「価値」を書き留める欄はないんです。
5秒で応答を終えた同僚も、3分間話し込んだ僕も、記録上は同じ「家族対応」を一件こなしただけ…
そして、もしこのやり取りを上司が見ていたらどう評価されたでしょう。「〇〇さんは、おしゃべりが長くて仕事が遅い」なんて思われてしまったかもしれない。そんな想像をしてしまうんです。
僕たちの仕事には、こうした「記録に残らないけれど、とても大切な時間」がたくさんあります。
でも、現場はいつも忙しくて、そんな一つひとつの出来事の価値を、ゆっくり評価してくれる時間も余裕もない。
それが現実だったりしますよね。

3. なぜか評価される「要領のいい人」。頑張るのが馬鹿らしくなる瞬間
『記録に残らない価値』
『効率では測れない関わり』
そういったものを大切にしたいと思えば思うほど、僕たちは現場でやるせない気持ちを抱えることになります。
皆さんの職場は、いかがでしょうか?
利用者さんの小さな変化に気づけるようにアンテナを張り、どうすればもっとその人らしく過ごせるだろうかと見えないところでたくさん考え、工夫している人がいます。
その一方で、決められた作業を時間内にこなすことだけを考えて、明らかに流れ作業になっている人も、残念ながらいたりします。
それなのに、お給料も上司からの評価も、ほとんど変わらない。
いや、むしろ「要領よく」やっている人の方が、「仕事が速い」なんて評価されていたりする。
そんな理不尽さに、心がきゅっと苦しくなったことはありませんか?
「あんなに一人ひとりに向き合っても、あの人と同じ評価なのか…」
「僕の頑張りって、誰にも分かってもらえないのかな…」
そんな気持ちが積もって、一人になった夜、自分のやっていることに自信が持てなくなってしまう。
一生懸命であることが、なんだか馬鹿らしく思えてきて、大切にしていたはずの仕事への想いが少しずつ萎んでいってしまう。
真面目にやればやっただけ、他の人が断るような仕事が自分に降りかかってくる…
真面目な人ほど、心が疲れていく。
介護の現場では、そんなことがあまりにも多く起きているように感じるんですよね。

4.【認知症ケアのヒント】「家に帰りたい」の言葉の裏に隠された、本当の気持ち
僕もそんな風に自信をなくして、自分のやり方がただの自己満足なんじゃないかと悩んでいた時期がありました。
そんな時に出会ったのが、認知症のある鈴木さん(仮名)でした。
鈴木さんは、夕方になると決まって「家に帰らないと。洗濯物を取り込まなくちゃ」と言って、落ち着きなくなってしまうんです。
多くの同僚は「鈴木さん、お家に帰るのはまた今度にしましょうね」「洗濯物は大丈夫ですよ」と、優しく説得を試みます。
でも、うまくいきません。鈴木さんの不安は募るばかりでした。

ある日、僕は考え方を変えてみることにしたんです。
鈴木さんは、本当に「家に帰りたい」んだろうか?
もしかしたら、その言葉の裏には「誰かの役に立ちたい」「自分にはまだやるべきことがある」という、長年家族を支えてきた彼女の誇りや役割を求める気持ちが隠れているんじゃないだろうかと。
その日、僕は乾燥機から出したばかりのほかほかに温かいタオルをカゴいっぱいに持って、鈴木さんの元へ向かいました。
そして、少し困った顔でこうお願いしてみたんです。
「鈴木さん、すみません!忙しくて手が回らなくて。よろしければこのタオル、畳むの手伝ってもらえませんか?」
鈴木さんは一瞬きょとんとした後、「しょうがないわねえ」と、少し嬉しそうにカゴを受け取ってくれました。
そして、一枚一枚、とても丁寧に、僕なんかよりずっと上手にタオルを畳んでくれたのです。
不思議なことにその日から、鈴木さんが夕方に「家に帰りたい」と言うことは、ぴたりとなくなりました。

5. マニュアルを超えた先に、僕たちの「専門性」はあった
僕たちの仕事は、時間内に決められた「作業」をこなすことだけじゃないんですよね。もしそうなら、評価が同じなのも仕方ないのかもしれません。
でも、僕たちは違う。
僕たちは、目の前の人がこれまで大切にしてきた人生の「物語」や「役割」に、そっと寄り添わせてもらっているんだと思います。
鈴木さんの「家に帰りたい」という言葉の裏にある、心の声に耳を澄ますこと。それこそがマニュアルには書けない、僕たちだからできる大切な役割なんじゃないかと思います。
たとえ、その価値が上司の評価シートでは測れないとしても。
たとえ、要領のいい同僚と同じ給料だったとしても。
この役割だけは、僕たち自身の専門職としての誇りなんだと僕は思っています。
6.【明日からできる】会社の評価に振り回されないための、3つの心のスイッチ
とはいえ、理不尽な評価の中で心を保ち続けるのは、本当に大変なことですよね。
だから、僕たちが自分の仕事を「いい仕事だな」って思い続けるために、日々の「習慣」というより、少し心が楽になる「考え方」を三つよかったら試してみてください。
考え方1:心の中の「評価者」を、上司から利用者さんに変えてみる。
会社の評価シートや上司の言葉ではなく、目の前の利用者さんやご家族こそが、自分の仕事の本当の評価者だと考えてみるんです。
「田中さんの娘さんのあの笑顔が、今日の僕の評価Sランクだな」って。誰のための仕事なのかを思い出すと心の重心がぐっと安定しますよ。考え方2:「もし自分が利用者だったら」を、一番の判断基準にする。
効率的なケアと丁寧なケア。
どちらを選ぶべきか迷った時、「もし自分の親が、自分が受けるとしたら、どちらのケアを受けたいだろう?」と心に問いかけてみてください。その答えこそが、他の誰にも文句を言わせない、あなたの専門職としての誇りの核になりますよ。考え方3:「効率」という言葉の意味を、自分なりに書き換えてみる。
職場が言う「効率」は、スピードや作業量のことかもしれません。
でも、僕たち専門職にとっての本当の「効率」は、「いかに短い時間で、利用者さんの心を笑顔にできるか」ということかもしれません。
言葉の定義を自分で決めてしまうことで、会社のモノサシに振り回されずに済みますよ。
7. 上司は見ていないかもしれない。でも、見てくれている人は必ずいる
毎日、本当にお仕事お疲れさまです。
上司の言葉に、同僚の態度に、そして正当に評価されない給料明細に心が疲れてしまう日もたくさんあると思います。
でも、どうか忘れないでいてほしいんです。
あなたの日々の仕事の本当の価値は評価シートの項目や、上司の言葉だけで決まるものじゃありません。
あなたの丁寧な仕事ぶりを、その手の温もりを、そして優しい眼差しを、一番近くで感じている人がいます。
それは、目の前の利用者さんです。
そして、その様子を伝え聞いたご家族です。
たとえ記録に残らなくても、評価されなくても…
あなたの仕事は、確実に誰かの心を支え温かさを届けています。
それだけは、紛れもない事実です。
そして、『今』は評価されなくても確実に自分の未来への財産になっていきます。
同じように現場で頑張るあなたの心が、この記事で少しでも軽くなったら、とても嬉しいです。
もしよかったら、あなたが職場で感じているもどかしさや、それでも「この仕事が好きだな」と思えた瞬間の話を、コメントでそっと教えてもらえませんか?
最後まで読んでいただきありがとうございました😌
▼SNS
・X(旧Twitter)やってます。
よろしければ、フォローしてもらえたら嬉しいです。
気軽にお話しましょう!
→やなぎのXはこちら。
▼ブログ
「少し心と介護がラクになる」記事や、すぐに使える知識やツールを発信するブログも運営しています。
こちらもよろしければ、ぜひご覧ください。
いいなと思ったら応援しよう!
もしよろしければ応援をお願い致します!いただいたチップはクリエイターとしての活動に使用させていただきます♪