「見て覚えて」が苦手だった僕が、見る場所を伝える大切さに気づいた話
こんにちは。
元ITエンジニアで現役介護福祉士のやなぎです。
最近、転職先で研修を受ける中で、あらためて感じたことがあります。
それは、同じ「教える」でも、
根拠や意味を添えて教えてもらえる場合と、
ただ一連の流れを見せられる場合では、受け取る側の安心感がかなり違うということです。
これは、今の自分だからこそ強く感じたことかもしれません。
僕自身が昔から不器用だったので、新人の頃に「見て覚えて」が本当に苦手だったからです。
同じ研修でも、教わりやすさが全然違った
転職先で研修を受けていると、いろいろな指導のされ方があります。
ある指導者さんは、介助の流れだけでなく、
「なぜ今この声かけをするのか」
「なぜこの位置に立つのか」
「この場面では何を見ているのか」
「どこが報告につながるのか」
というところまで、自然に言葉にしてくれます。
そうすると、ただ作業を見ているだけではなく、
その介助の中にある意味が少しずつ見えてくる感じがします。
「あ、今はここを見ていたんだ」
「この声かけには、ちゃんと理由があるんだ」
「この立ち位置にも意味があるんだ」
そうやって、目の前の流れが少しずつ理解につながっていくんですよね。
一方で、ただ一連の流れを見せるだけの教え方もあります。
もちろん、それが悪いと言いたいわけではありません。
実際の流れを見ることは大切ですし、介護の仕事には、言葉だけでは伝わりにくい部分もたくさんあります。
ただ、見ている側からすると、
「今、どこを見ればよかったんだろう」
「何が大事だったんだろう」
「この動きにはどんな意味があったんだろう」
というところが分からないまま終わってしまうこともあります。
昔の僕は、「流れを見せられただけ」で教わった気になれなかった
今の研修を受けながら、昔の自分のことを思い出しました。
新人の頃の僕は、「見て覚えてね」と言われるたびに、かなり戸惑っていました。
先輩の動きは見ている。
利用者さんへの声かけも聞いている。
その場にもちゃんといる。
でも、いざ自分がやろうとすると、何から始めればいいのか分からない。
あとから、
「さっき見てたよね?」
「次はやってみようか」
と言われても、頭の中ではうまくつながっていない。
そんなことが何度もありました。
当時は、自分の理解力が足りないのかなと思っていました。
「ちゃんと見ていなかったのかな」
「覚えが悪いのかな」
「自分は介護に向いていないのかな」
そんなふうに感じてしまうこともありました。
でも今になって思うのは、
僕は見ていなかったわけではなかったのだと思います。
ただ、何を大事な情報として見ればいいのかが、分かっていなかったのだと思います。
先輩の「当たり前」は、新人にはまだ見えていない
経験のある職員は、一つの介助の中で本当にたくさんのことを見ています。
たとえば移乗介助ひとつでも、
足の位置。
車いすのブレーキ。
立ち上がるタイミング。
声かけ。
ふらつき。
座ったあとの姿勢。
表情の変化。
こういうところを、自然に見ています。
でも、新人の頃は、それが全部「介助の流れ」として一つに見えてしまうことがあります。
どこが大事なのか。
何を見落としてはいけないのか。
何がその人に合わせた工夫なのか。
そこが分からないまま見ていると、見学しているのに、学びに変わりにくいんですよね。
そして、少し難しいのは、教える側にも悪気がないことが多いということです。
自分にとっては自然にできることだから、
「見れば分かるだろう」
と思ってしまう。
一連の流れを見せたことで、
「教えた」
と感じてしまう。
でも、受け取る側には、まだその流れを読み解くための土台がないことがあります。
ここに、新人さんと指導する側のズレが生まれやすいのだと思います。
「見て覚えて」の前に、見る場所を伝えるだけで変わる
今回の研修で感じたのは、長い説明がなくても、
「見る場所」を一言添えてもらえるだけで、学びやすさがかなり変わるということです。
たとえば、
「今は足元を見てください」
「この場面では姿勢を見ています」
「ここは報告につながるところです」
「この声かけは、不安を減らすためにしています」
こう言ってもらえるだけで、見学の意味が変わります。
ただ流れを眺めるのではなく、
「今、自分は何を見る時間なのか」
が分かるからです。
新人さんにとって、これはすごく大きいと思います。
見ているつもりなのに分からない。
メモを取っているのに残らない。
あとから聞かれてもうまく答えられない。
そういう不安が少し減ります。
見る場所が分かると、質問もしやすくなります。
「足元を見ると言われたけれど、どの部分が大事ですか?」
「姿勢を見るとき、どんなところに注意していますか?」
「これは報告した方がいい場面ですか?」
こんなふうに、見学したことが次の確認につながりやすくなるのだと思います。
新人さんだけが頑張るものでも、指導者だけが背負うものでもない
新人教育って、新人さんだけが頑張るものではないと思っています。
もちろん、新人さん自身が覚えようとする姿勢は大切です。
でも、何を見ればいいか分からないまま、
「ちゃんと見て」
と言われ続けるのは、かなり難しいです。
一方で、指導者や先輩だけが全部を背負うのも違うと思います。
現場は忙しいです。
毎回、丁寧に長く説明できるわけではありません。
だからこそ、完璧な説明ではなくても、
「今日はここを見てください」
という短い一言があるだけで、新人さんはかなり助かるのだと思います。
新人さんが何に戸惑っているのか。
指導者が何を見てほしいのか。
先輩がどこまで伝えればよいのか。
その間にあるズレを、少しずつ言葉にしていくことが大切なのだと、今回の研修を通してあらためて感じました。
「見ていたのに分からない」は、新人さんだけのせいではない
新人さんが「見て覚えて」で迷うのは、やる気がないからでも、見ていないからでもないことがあります。
目の前の場面は見えている。
でも、その中で何が大事なのかが分からない。
そういうことは、介護の現場ではかなり起こりやすいと思います。
だからこそ、
「見て覚えてね」
の前に、
「ここを見ると分かりやすいですよ」
があるだけで、救われる新人さんはいると思います。
僕自身、昔の自分がそうでした。
ただ流れを見せられるだけでは、うまく理解につながらなかった。
でも、今の研修で根拠や意味を添えて教えてもらう中で、
「あの頃の自分は、こういう説明が欲しかったのかもしれない」
と改めて感じました。
ブログで、見るポイントをまとめました
そんなことを考えながら、ブログの方で
「新人介護士が新人研修で見ること5選|『見て覚えて』で迷わないために」
という記事を書きました。
この記事では、新人研修中に最初に見るポイントを、
人
場所
危険
報告
違い
の5つに分けてまとめています。
また、新人さんが見学中に気づいたことや、あとで確認したいことを残せる
「最初の1週間・見るポイントシート」
も無料で配布しています。
新人さん本人だけでなく、指導者さんや先輩職員さんが、
「今日はここを見てもらおう」
と伝えるときにも使えるように作りました。
「見て覚えて」で迷ってしまう新人さんが、少しでも安心して研修を受けられるように。
そして、教える側も、少しだけ伝えやすくなるように。
そんな気持ちでまとめた記事です。
詳しい内容はこちらにまとめています。
▶ 新人介護士が新人研修で見ること5選|「見て覚えて」で迷わないために
おわりに
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
今回書きたかったのは、
「見て覚えて」という言葉が悪いということではありません。
実際の現場を見て学ぶことは、介護の仕事ではとても大切です。
ただ、その前に少しだけ、
「どこを見ると分かりやすいのか」
「なぜそこを見るのか」
を伝えられるだけで、新人さんの安心感はかなり変わるのではないかと思っています。
新人さんが分からないのは、見ていないからではなく、
まだ見る場所が分からないだけかもしれません。
そして、指導する側も、全部を完璧に説明しなくても、
「今日はここを見てください」
という一言から始められるのだと思います。
僕自身、今の研修を受けながら、昔の自分が何につまずいていたのかをあらためて思い出しました。
同じように、
「見て覚えて」で戸惑ったことがある方や、
新人さんへの伝え方に迷ったことがある方に、少しでも届いたら嬉しいです。
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