424.(追加駅)ぐるり、左−遠回りの後で−原宿-降りなかった街−
原宿で降りる若者たちの服は、どこか舞台衣装のように見えた。
髪の色も、靴の形も、街の色に合わせるというより、自分の輪郭を濃くするために選ばれているようだった。
私が地元から出てきた頃、「東京といえば原宿」だった。
ガイドブックの見出しにも、テレビの映像にも、必ず映っていた。
でも結局、一度もちゃんと降りなかった。
田舎者に見られたくなかった。
それだけで、改札を抜ける勇気が出なかった。
やがて東京に慣れてからは、逆に行く理由がなくなった。
ファッションにもカルチャーにも、心からの興味を持てなかったからだ。
だから原宿は、私にとってずっと「通り過ぎる街」だった。
窓の外に一瞬だけ流れるネオンと人混みを眺めながら、私は何度もそう思った。
降りなかったことを、後悔しているわけじゃない。
でももし、あの頃の自分が一度だけ勇気を出していたら。
私も何か違う色を持てたのかもしれない。
電車が動き出すと、ホームにいた若者たちはすぐに小さくなった。
残ったのは、自分が降りなかった事実だけ。
けれど、その「選ばなかった道」さえも、いまの私を形作っているのだと、少しだけ思った。
いいなと思ったら応援しよう!
ありがとうございます。
お気持ちが、大変励みになります。その、お気持ちに応えれる様な記事を引き続き作っていきたいと思います。
本当に、ありがとうございます。