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279.【小説】誰のせいでもない 13-ある刑事の記録-何故、佐久間修は死んだのか。

【エピローグ:話題の終わり】

《SNSタイムライン抜粋(佐久間財団・活動終了報道後)》

「やっぱ自殺するような奴は最初から背負いすぎなんだよ。」

「理想とか言ってたけど、身内にしか金回してなかったんじゃね?」

「支援打ち切られた施設?また別のNPOが何とかすんでしょ。」

「財団閉めるって、そもそも持続性ない時点でお察し。」

「なんか知らんけど、今はコメディアンの松木さん炎上してるらしいよ。女性献上問題、結構ヤバそう。」

《まとめ記事タイトル》

■『佐久間修“神格化”の終焉──英雄はいらない時代?』

■『支援継続ゼロ、理想だけじゃ社会は動かない──元部下が語る“真実”』

■『話題は移る。いまネットを騒がせているのは“有名コメディアン松木への女性献上問題”』

追悼は数週間しかもたなかった。

賞賛も、感動も、あっという間に次の“燃料”にかき消された。

SNSのタイムラインを追っていた葛木は、画面を閉じ、静かに目を伏せた。

誰もが一度は「惜しい人を亡くした」と呟いた。だが、それは自分が“まともな側にいる”という安心を得るための、形式だけの祈りだったのかもしれない。

「世界は彼を殺さなかった。ただ、忘れた」

それは、殺すよりも残酷なことだった。

この国は、理想を語る者を待たない。そして、理想を遺した者に対して、立ち止まることすらしない。

葛木は、窓の外に目をやった。風に揺れる木の枝が、街灯に照らされていた。

──次は、誰が生贄になるのか。

そんな考えが、一瞬だけ脳裏をよぎった。

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