スイング解析【ゴルフ編】スマホ映像 × Gemini(AI)でスコア“100切りの壁”を超えられるかやってみた
前回の「野球のスイング解析」に続き、今回は「ゴルフ」における生成AI(Gemini)の活用検証を行いました。もし野球編も気になる方は是非下記からご覧いただければ嬉しいです。
多くのアマチュアゴルファーが直面する「スコア100の壁」。この壁を超えるために練習場やレッスンに通う方も多いと思います。ただゴルフと言えば、お金の掛かるスポーツの代表格でもあります。しっかりとレッスンに通うならそれなりの出費を覚悟するしかありません。
そんな悩みに立ち向かうべく、今回は Gemini にレッスンコーチになってもらい、レッスン代を浮かし100切りを目指そうという無謀な企画です。高額な機器を使わず、自分のスマホとAIだけで、レッスンコーチのような的確なアドバイスは得られるのか? 前回に引き続き、“ゴルファー研究員”こと加藤さんへ研究結果を伺いました。
1. なぜ「ゴルフ」か? —— 7割が悩む「100の壁」

瀬島: 前回は野球でしたが、今回はなぜゴルフにしたのですか?
加藤: 理由は大きく2つあります。1つは野球と同じく「スイング」という反復動作であること。もう1つは、多くのアマチュアゴルファーは「100の壁」という課題を持っているからです。
瀬島: 「100の壁」ですか。
加藤: はい。アマチュアの約70%がスコア100以上だと言われているそうです。その多くがティーショットでのOB(コース外へ出てしまうミス)に苦しんでいます。ここを分析して修正できれば、多くの人の悩みを解決できるのではないかと思いました。
瀬島: つまり、また Gemini に教えてもらえるか試す訳ですね。
加藤: はい。その通りです。
瀬島: スマホで撮った映像からアドバイスを得られたら、レッスン代が抑えられるかもしれませんね!
【検証の背景】
ゴルフは人気のスポーツですが、上達への道筋が見えにくい競技でもあります。「トラックマン」などの高性能な計測器は高額で、スクールに通うのもハードルが高い。そこで、「スマホで撮影してGeminiに投げるだけ」という手軽な方法で、どこまで具体的な改善策(手当て)が得られるかに焦点を当てました。
2. 「自分自身を教師にする」パーソナルコーチ
瀬島: 具体的にはどのような目的で検証しましたか?
加藤: ゴルフをしていると、練習でもラウンド中でも「何が正解かわからない」迷子状態になることがあります。理想のスイングはあっても、それを習得するにはかなり時間が必要です。そこで、「自分の調子が良い時のスイング」を正解(教師データ)にして、崩れた時にそこへ戻すための手当てができないかと考えました。
瀬島: なるほど。プロのマネではなく、自分のベストを基準にするわけですね。
加藤: そうです。修正するのが難しい理想のスイングの指摘であることも多く、逆にフォームを崩して気まずくなるかもしれません。。(笑)AIなら、継続的に映像(データ)を蓄積することで「普段の自分とどう違うか」を指摘してくれる。そんな「パーソナルコーチ」のような存在を目指しました。
【コンセプト】
この検証のポイントは、プロのスイングデータではなく「過去の自分」と比較させている点です。体格や柔軟性が異なる他人のフォームを無理に真似るのではなく、「自分の中の正解」とのギャップ(差分)をAIに検出させることで、より実践的で体に無理のない修正指示(インストラクション)を引き出す狙いがあります。
3. スロープレイにならないようにティーショットでの撮影に限定

瀬島: 撮影はどのような環境で行いましたか?
加藤: 実際のラウンド中に、スマホを使って後ろから手持ちで撮影しました。条件としては60fps(1秒間に60コマ)の設定にしています。
瀬島: 60fpsにした理由はあります?
加藤: 30fpsよりもコマ数が多いほうが、スイングの速い動作を正確に捉え
られるからです。あと、一般的なスマホで設定できるというのもあります。瀬島: 天気の影響はありますか?
加藤: 今回は大丈夫でしたが、映像解析なので、雨や極端な逆光で影ができると精度が落ちる可能性はあります。そこは画像認識アプローチの限界点かもしれません。
【技術的要件】
高価なハイスピードカメラやレーダー機器を使わず、一般的なスマートフォン(60fps設定)で検証を行う。三脚も立てず「手持ち」で撮影した映像でも解析が可能だったことは、このソリューションの手軽さと汎用性がある。
4. AIが見抜いた「OBの原因」

瀬島: 実際に解析してみて、どんな結果が出ましたか?
加藤: 100切りを目指すレベルの方2名で検証しました。まず、OBを連発していた方に対しては、「トップでクラブの重みを感じていない」「インパクトで顔が早く目標を向いている」「右足が早くめくれている(浮いている)」といった指摘が出ました。
瀬島: かなり具体的ですね。実際の見た目とも合っていました?
加藤: はい。私たちが目視で感じた「左足かかとが浮くのが早いな」という印象と、AIの指摘はほぼ一致していました。
加藤: もう一人、野球経験者の方には「トップで0.5秒待つ意識」「フィニッシュで3秒止まる」といった、リズムに関するインストラクションが出ました。
瀬島: 「0.5秒」「3秒」という具体的な数値が出るのは面白いですね。
【AIのアドバイス精度】
Geminiは、スイングの「形」だけでなく、プレイヤーの特性に合わせた「リズム」や「意識」の持ち方まで言語化しました。特に「打ち急ぎ」の傾向があるプレイヤーに対して具体的な秒数を提示するなど、感覚的な部分を数値化して伝える能力が確認できました。
5. 意外な発見:AIは「声」も聞いている?
瀬島: 他に気づいた点はありますか?
加藤: 実は、Geminiは映像だけでなく「音声」も解析に使っていました。ミスショットをした瞬間に本人が「やばい!」と言っている声が入っていたんですが、それを拾って「これはミスショットですね」と判断材料にしていました。
瀬島: 声まで解析してるんですか!
加藤: そうなんです。これは逆に言うと、動きが良いのに「あー!」とか言うとミスと誤認されるリスクもあります(笑)。ただ、将来的には「打球音(芯を食った音)」で良し悪しを判断できる可能性もあります。
【マルチモーダル解析の可能性】
今回の驚きの発見は、Geminiが映像(視覚情報)と音声(聴覚情報)を統合して解析していた(マルチモーダル)点です。これは従来の画像解析専用AIとは異なる、生成AIならではの特徴です。打球音や風の音、プレイヤーの息遣いなど、映像以外の情報を組み合わせることで、より高度な状況判断が可能になる未来を示しています。
6. カート移動中に「即座に修正」
瀬島: ゴルフのスイング解析は、今後どういった使い方ができそうですか?
加藤: 今回はラウンド後に解析しましたが、次は「リアルタイム性」を高めたらより実用的です。ティーショットを打って、カートで移動している間に解析を済ませて、「さっきはここが悪かったから次はこうしよう」というアドバイスを見るといった使い方です。
瀬島: それができれば、その日のうちに修正してスコアをまとめられそうですね。
加藤: はい。AIがキャディやコーチのように、ラウンド中に寄り添ってくれる。そんな体験を作っていきたいですね。次回は、今回出たAIのアドバイスを実際に意識してプレーしたら、本当にOBが減るのか?という「答え合わせ」をしてみたいと思います。
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