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【スポーツAI】 〈続編〉スマホ映像 × Gemini(AI)で「100切り」はどこまで安定させられるか?――ラウンド中インストラクション実験


前回のゴルフ編では、スマホ映像 × Gemini(AI)で「スイングの違いをどこまで言語化できるか?」を検証し、OBの原因や「打ち急ぎ」「伸び上がり」などの癖をかなり具体的に指摘できることが分かりました。

今回はその続編として、「AIのアドバイスをラウンド中にその場で反映したら、本当にスコアやOBは改善するのか?」をテーマに、第2回の検証ラウンドを行いました。一言で言えば、「自分の良い時のスイング」を教師データにした“ホール間コーチング”が、100切りレベルのゴルファーにとってどこまで効くのかを確かめる実験です。

1. 今回の検証のねらい

瀬島:前回は「AIがどこまでスイングを理解しているか」を見る実験でしたが、今回は何を確かめたかったのでしょうか??

加藤:ゴルフをしていると、多くのアマチュアが「ティーショットが崩れた途端、何が悪いのか分からなくなる」ループにハマりますよね。
練習場では直せても、コースに出るとまた元に戻ってしまう、というあのパターンです。そこで今回は、AIが出したインストラクションをラウンド中にホールごとに反映したら実際に OBやスコアはどこまで改善するのかを確かめたかった、というのが第2回のねらいです。

2. 検証方法:ラウンド中に「教師データ」を参考にする

事前準備:自分の「良いスイング」を教師データにする

瀬島:今回の第2回目のラウンドでは、具体的にどんな準備をしてからコースに出たのでしょうか?

加藤:プレー前に、前回の検証で取得していた
各プレーヤーの「調子が良い時のスイング」を 教師データ として再確認しました。そのうえで、
どこが良いのか(下半身の粘り、頭の位置、リズムなど)
どんな意識で打っていたか
を一緒に言語化し、YSさん、SKさんに共有しておきました

瀬島:なるほど、前回良かったスイングを思い出すわけですね。でも、良かったスイングをイメージするだけですぐに実践できるものでしょうか?

加藤:ここでのポイントは、ツアープロの理想フォームではなく「自分の中のベスト」を基準にしたことです。やはりイメージするフォームが自分だと、ゴールが明快です。「誰かの良いフォーム」ではなく「自分のベストなフォーム」がお手本になるので、再現性が高くなります。

ラウンド中の運用フロー

瀬島:実際のラウンド中は、AIとはどうやり取りしていたのでしょうか?

加藤:ラウンド中は、以下のループを ティーショットのたびに繰り返しました。

このとき、インストラクションはできるだけ感覚に寄せた一言フレーズ に落とし込みました。

例(YSさん向け)
・「インパクトまで右足ベタ足」
・「右足のかかとを地面に埋めておく」
・「ボールを打った後も、ボールがあった場所を1秒見つめる」

例(SKさん向け)
・「頭を右足の上に残したまま振る」
・「左膝の壁を1秒キープ」
・「右足の前で仕事を終わらせるイメージ」

瀬島:なるほど、インストラクションをあえて絞るのは興味深いですね。しかも、感覚的なアドバイスは逆効果にも思えるのですが、感覚的な一言フレーズにしたのは何か意図があったのでしょうか?

加藤:個人差はあるかもしれませんが、一般的に10個のアドバイスよりも1個や2個のアドバイスに集中したほうが格段にパフォーマンスが向上します。あと、自分自身のベストスイングをロジカルに言語化出来ている人は少ないと思いますので、感覚的なアドバイスのほうが実はイメージがしやすいのです。

3. スコアとOBはどう変わったか?

瀬島:ここまでの仕組みで回ってみて、実際にスコアやOBはどれくらい変わりましたか?

加藤:ざっくり言うと、2人ともスコアが10打前後良くなり、OBの数も目に見えて減りました。詳しくは表の通りですが、「崩れ方」が変わったのが一番大きなポイントだと感じています。

 YSさんの結果
・スコア: 
115 → 98 と、大きく改善(100切り達成)
・OB数: 
10回中9発OB → 14回中3発まで減少

YSさんの結果

SKさんの結果
・スコア:
115 → 105 と、10打改善
・OB数: 
10回中8発OB → 13回中1発まで大幅減少

SKさんの結果

もちろん、コースの難易度やその日の体調といった要因もあるため、数字だけで「すべてがAIのおかげ」とは言い切れません。とはいえ、「OBの頻度」と「ラウンド全体の安定感」が目に見えて変わったのは事実でした。

瀬島:確かに。本当にすごい改善ですね!スコアがここまで改善出来るとは思いませんでした。

加藤:はい、OBの回数が激減していたり、明らかに良い結果に繋がっています。数値で見ると改善が分かりやすいですよね。しかも、これによってYSさんは、100切りを達成しちゃいました。


4. どんなインストラクションが効いたのか?

YSさん:右足かかと=安定のスイッチ

瀬島:YSさんには、どんなアドバイスが特に効いていましたか?

加藤:YSさんのラウンド経過を見ていくと、OBやチョロのほとんどが「右足かかとの早すぎる浮き」から始まっていることが分かりました。

ミス時の典型パターン
・右かかとがダウンスイング初期から浮く
・体が上に伸び上がる
・手元が浮き、フェースが開いたままインパクト
・右へのプッシュアウトやスライス、あるいはチョロ

これに対し、AIは毎回少しずつ言い回しを変えながら、本質的には同じ1点を繰り返し伝えました。

・「インパクトまで右足ベタ足」
・「右足の裏を誰にも見せないつもりで振る」
・「かかとを地面に接着したままフィニッシュまで」

その結果、
・OB直後のホールでフェアウェイキープに成功
・「右足が粘れたときは必ず良い当たりになる」という感覚が本人に定着

瀬島:AIのアドバイスが、実は本質は1つで言い換えて伝えているのは面白いですね。

加藤:はい、これには多くの学びがあります。最も重要な指摘ポイントを特定して、そこの改善をひたすら追求して結果に繋げるというアプローチは、指導という視点で見ても秀逸です。


SKさん:ビハインド・ザ・ボールと「左の壁」

瀬島:一方で、SKさんはどんな傾向だったのでしょうか?

加藤:SKさんは、YSさんとは少し違うパターンでした。

ミス時の典型パターン
・ミスショットの多くが、上半身の突っ込み(スウェー)と「左の壁」の崩壊から発生。
・頭がボールより前に出る
・左膝が外に流れる
・アウトサイド・イン軌道になり、左への引っ掛けやスライスが出る

ここでもAIは、「何がどうズレているか」を動画比較から細かく拾い上げたうえで、次のホールで意識するのは1つだけに絞りました。

  • 「インパクトで右足のつま先を見るつもりで、頭を右に残す」

  • 「左膝をアドレス位置から動かさない(左の壁を1秒キープ)」

  • 「右足の前で仕事を終わらせる」

結果として、
・右への大きなスライス/左への強い引っ掛けの頻度が目に見えて減少
・OBも 8発 → 1発 にまで減りました

瀬島:とても興味深いですね。AIが解析すると、癖=ダメと言われてしまいそうですがそういう指摘ではなかったという事でしょうか?

加藤:はい、そうです。むしろその逆で、癖を認めたうえで改善を提案しています。つまりその癖のどの部分を改善したら良くなるのかをピンポイントでアドバイスに落とし込んでいたのが改善に繋がったと思います。

5. 第2回検証から見えたこと

瀬島:第2回までやってみて、全体としてどんなことが見えましたか?

加藤:メモに残した考察を整理すると、今回の結果から見えたポイントは次の通りです。

【1】コースや調子の要因はあるが、「崩れ方」は明らかに変わった

第1回と第2回でコースやコンディションは完全には同一ではないものの、

 ・スコア:両名とも 10〜17打程度の改善
 ・OB:YS 9→3、SK 8→1

という変化は、「ティーショットの崩れ方」が明らかに変わったことを示唆しています。

【2】100切りゴルファーは「何が悪いか分からないループ」に陥りやすい

・ティーショットが曲がる
・何が悪いか分からない
・それでもラウンドは進むので、さらにフォームが崩れる

というループに陥りやすく、第三者視点で「今はここがズレている」と教えてくれる存在は、大きな安心材料になります。

【3】「理想のスイング」に合わせるより、「自分の良い時」に戻す方が現実的

一般的な理想フォームに寄せようとすると、
 ・普段のスイングとの距離が遠く
 ・習得に時間・お金・練習量が大量に必要

一方で、「自分の良い時のスイング」に戻すだけなら、
 ・身体的・感覚的な負担が小さく
 ・ラウンド当日の“応急手当”としても有効

Gemini のような生成AIは、過去の自分のスイングを教師データにして、その場で差分を言語化してくれるため、この「自己ベストへの回帰」を支えるには相性が良いと感じました。

【4】AIは“精神安定剤”としても機能する

ミスが続くと、多くのアマチュアは「何を信じて振ればいいか分からない」状態になります。そこで、AIが一言「今日は右足ベタ足だけ意識しましょう」「頭を右に残すことだけに集中しましょう」 と提示してくれるだけで、迷いが減り、メンタル面も落ち着きやすくなるという感触がありました。
 

6. 今後の展望:言い回しのバリエーションと「お守り」としてのAI


瀬島:今後の改善ポイントや、さらに広げていきたい方向はありますか?

加藤:ラウンド後のコメントでも、「ホール間で都度意識すべき点を確認できるのは良い。同じ意味でも違う言い回し(感覚の伝え方)が色々とあると、より良いかも」という声がありました。今後の検討ポイントは、大きく2つです。

  1. 言い回しのパーソナライズ

  • 同じ内容でも、

  • 「右足ベタ足」

  • 「かかとを地面に埋める」

  • 「右足の裏を誰にも見せない」

  • どの表現がその人の感覚にハマるかは人それぞれ。
    → ラウンドを重ねながら「どのフレーズが効いたか」を記録し、AI側のフレーズ選択をチューニングしていく余地があります。

2. “お守り”としての運用設計

  • 毎ホールAIに頼るのではなく、

  • 「OBが続いたときだけ相談する」

  • 「後半の疲れてきたタイミングで一度見直す」

といった “困った時のお守り”としての使い方 が、現実的かつ心理的にも取り入れやすいと感じました。

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