SSLコンソール&チャンネルストリップガイド 〜Duality編〜
SSLコンソールのチャンネルストリップには、どのような音の違いがあるのでしょうか?
この「SSLコンソール&チャンネルストリップガイド」では、SSL 4000 B/4000 E/4000 G/9000 J & Kの各チャンネルストリップについて、そしてこの象徴的な技術が Oracle、Duality Fuse、ORIGIN といったコンソールへどのように進化してきたのかを詳しく解説します。
SSLのプリアンプ、ダイナミクス、EQの違いを深く掘り下げながら、各チャンネルストリップが持つ固有のサウンドキャラクターを解き明かすと共に、これらの伝説的なSSLコンソールが形作ってきた名盤の数々もご紹介します。
Duality(2006)
「無限に広がるサウンドカラー」

クリーンで滑らかなハイファイの明瞭さから、
温かく豊かでドライブ感のあるトーンまで
SSLは、9000シリーズによってSuperAnalogue™の時代へと突入しました。
前述したように、9000シリーズは、前に出る、スケール感あふれるモダン・サウンドへの道を切り開いたコンソールです。
そして2006年、最後の9000シリーズが製造ラインを離れ、その技術的な基盤を受け継ぐ新たなフラッグシップ・コンソール「Duality」が誕生しました。
Dualityは、9000シリーズが誇る優れたアナログ性能を継承しながら、業界をリードするDAWコントロール機能を統合しています。
また、SSLコンソールとして初めてVariable Harmonic Drive(VHD)テクノロジーを搭載。極めてクリーンで精密なSuperAnalogue™サウンドと、温かく倍音豊かなVHDサウンドという、2つの異なるマイクプリアンプ・キャラクターを選択できるようになりました。
この2つのサウンドキャラクターに加え、従来のアナログコンソールによるワークフローと、高度なDAWコントロールとをシームレスに行き来できること。その「二面性」こそがDualityという名称の由来であり、このコンソールならではの高い汎用性を生み出しています。
2006年の発売以来、Dualityは「SE」、Delta-Controlプラグインを初めて導入した「Delta」、そして現在の「Fuse」へと、幾度もの進化を重ねてきました。
最新モデルでは、センターセクションにSSL FUSIONプロセッサーを統合。ミックスバスやステレオステムに、音色のキャラクター、厚み、空間的な奥行きを理想的なバランスで加える、多彩なアナログ・カラーを備えています。
Preamp
Dualityのマイクプリアンプは、2つの異なるキャラクターを備えています。
ひとつはSuperAnalogue™です。ほぼ直線的な位相特性、フラットな周波数特性、0.005%という低い全高調波歪み、そして極めて低いノイズフロアによって、驚くほどの明瞭さと広大なサウンドステージを実現しています。
もうひとつがVariable Harmonic Drive™(VHD)テクノロジーです。
VHD™は、入力ゲインに応じて2次または3次の高調波歪み、あるいはその両方をブレンドして加えます。
低いゲイン設定では、真空管を思わせる穏やかな温かみや、トランジスターらしいわずかなエッジを付加。ゲインを高く設定すれば、荒々しく強烈な、グランジーなトランジスターサウンドまで作り出せます。
極めてクリーンで精密なSSLサウンドから、ほのかな温かみ、さらには大胆なディストーションまで。
Dualityのマイクプリアンプは、非常に幅広い音色をカバーし、プリアンプの可能性そのものを再定義しました。
Dynamics
どの世代のDualityにも、SSL伝統のチャンネルダイナミクスが搭載されています。
コンプレッサーは、伝統的なRMSモードと、モダンなPeak Senseモードを切り替え可能。
さらに、HOLDタイムを可変できるゲートとエキスパンダー、Side Chain Listen機能も備えており、自由度の高いクリエイティブなコントロールを実現しています。
Dualityのダイナミクス回路は、生産終了となったSSM VCAを信号経路上のTHAT 2181A VCAへ置き換えた点を除けば、時定数を含めて9000シリーズと基本的に同じ設計です。
そのため、9000シリーズと同等の柔軟性、コントロール性、そして優れた音響性能を継承しながら、SSLを代表するSuperAnalogue™テクノロジーの恩恵を受けています。
EQ
Dualityは幾度もの改良を重ねてきましたが、その4バンド・パラメトリック・イコライザーは今なお、そのサウンドを特徴づける重要な要素であり、SSLのクラシックなEシリーズおよびGシリーズのコンソールで最も高く評価されている要素を融合させています。
その中核をなすのは、もともと4000 E向けに開発された名高い「'242 “Black Knob” EQ」であり、EシリーズとGシリーズのカーブを切り替える機能を搭載しています。
G Seriesの特性では、ターンオーバー周波数付近にアンダーシュート/オーバーシュートを伴う、より急峻なシェルビングカーブが得られます。さらにミッドバンドでは、G Series EQを多くのスタジオで愛される存在にした、ゲイン量と帯域幅が相互に作用する独特のレスポンスを備えています。
HFおよびLFバンドは、シェルビングと固定Qパラメトリック(BELL)の間で切り替えが可能で、HMFおよびLMFバンドでは精密なパラメトリック・ミッドバンド制御が行えます。
これにより、エンジニアは力強さと繊細さを兼ね備えたサウンドを柔軟に作り上げることができます。
また、Eシリーズのテクノロジーを引き継いだDualityは、強力な3次(18dB/oct)ハイパスフィルターと、高精度な2次(12dB/oct)ローパスフィルターも搭載しています。

音質とワークフローの妥協なき両立
Duality Fuseは、大規模な音楽レコーディングとミキシングを行うプロフェッショナルな現場において、音質にもワークフローにも一切妥協しないための、まさに業界標準と呼ぶにふさわしいコンソールです。
比類のない柔軟性と、ほぼ無限ともいえるルーティング性能を備え、伝説的な9000シリーズから受け継いだ洗練されたSuperAnalogue™テクノロジーに、クラシックなE/G Series EQとチャンネル・ダイナミクスを融合しています。
さらにDualityは、複数のレイヤーを扱える高度なDAWコントロール、Delta-Controlプラグインによるアナログ・オートメーション、SuperAnalogue™とVariable Harmonic Drive™(VHD)の2種類のマイクプリアンプ、幅広いアナログ・カラーを加えられるFUSIONプロセッサーなど、数々のパワフルな革新を導入しました。

最高のクオリティを求めるプロデューサーやエンジニアに、Dualityはプロフェッショナル・オーディオの真髄ともいえるサウンドを提供します。
パンチがあり、開放的で、洗練されていて、一聴してSSLとわかるサウンドです。
Trent Reznor、Dr. Dre、Eminem、The Chemical Brothersをはじめとするアーティストたちも、自身のプライベートスタジオにDualityを導入しています。
現在、VHD™とSuperAnalogue™のテクノロジーはコンソールだけにとどまらず、「Super 9000 SuperAnalogue™ Channel Strip」や、500シリーズ・モジュールの「VHD+ Pre」を通じて、より幅広い制作環境で活用できるようになっています。


いかがでしたか?
次回は「ORIGIN」コンソールの歴史を紐解いていきましょう。
※本記事の内容は、「THE SSL CHANNEL STRIP GUIDE」の一部を翻訳したものです。
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