書き終えたあとに残ったもの
『ゲーム攻略の視点で進める 現場改善・応用編』を書き終えて、
「達成感は?」と聞かれると、少し困る。
やり切った、というより、
自分で手を止めた。
その感覚のほうが近い。
続きを書こうと思えば書けた。
流れもあったし、勢いもあった。
でも、止めた。
止めると決めたのは、意地だったのかもしれない。
応用編は、思っていたより速く進んだ。
AIと向き合いながら書いていたからだ。
投げる。
返ってくる。
「違う」
「そこじゃない」
「近いけど、まだ浅い」
その繰り返し。
だから、「ほぼAIで書いたんですよね」と言われても否定はしない。
実際、多くの部分は対話の中から生まれた。
ただ、どれを残すか。
どこで止めるか。
そこだけは、自分が決めていた。
不思議なことに、きれいな文章ほど怖いときがある。
読めば成立している。筋も通っている。
でも、「これでいこう」と言えない。
まだ自分の判断を通っていない。
そんな感覚が残る。
一度、指示を間違えて、想定外の文章が返ってきたことがある。
消してしまえば簡単だった。
でも、消せなかった。
横に置いて、少し考えた。
正解かどうかよりも、
なぜこうなったのかを見たかった。
その時間が、いちばん濃かった気がする。
眺めているうちに、自分がずっと同じ方向から文章を見ていたことに気づいた。
書き方が変わったというより、立つ位置が一つ増えた。
AIが示す構成は、分かりやすく、親切だ。
その道を選べば、きれいにまとまる。
でも、そのとき自分は、
「自分が決めた」と言えなくなる気がした。
ただ、どこか借り物の手触りだった。
AIは便利だ。
速くなるし、視野も広がる。
ただ、ときどき思う。
便利さは、判断を助けるのか、
それとも飛ばしてしまうのか。
決めていないのに、文章は前に進む。
そのまま書き終えることも、きっとできた。
今回は、そこで止めた。
このことを考えていたとき、ふと気づいたことがある。
「判断を自分が握っているか」という感覚は、書く場面だけの話ではない。
現場でも、組織でも、同じ問いが別の形で現れる。
「主体的に動いてほしい」
その言葉を受け取ったとき、判断はどこにあるのか。
次のシリーズでは、
その問いをもう少し具体的に見ていく。
次回
思考の分岐点|第1回|主体性という言葉への違和感
前回
ゲーム攻略の視点で進める
現場改善・応用編
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▼ゲーム攻略の視点でシリーズ一覧
この順番で読むと理解しやすくなっています。(思考の進行順)
① 考える(ステップ1|基礎)
② 試す(ステップ2|実践)
③ 進める(ステップ3| 展開)
