Climate Tech VC投資レポート 2024–25:投資減速の要因と次世代成長ドライバー
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近年、気候変動への対応技術(以下「気候テック」)へのベンチャーキャピタル(VC)投資は成長期・成熟期を経て変動を続けています。本稿では、PitchBook Data, Inc. が2025年6月末時点で発表した「VC Investment in Climate Tech」アナリストノートをもとに、最新の投資動向とその背景にある主要ドライバーを整理します。具体的な事例や引用を交えつつ、読者の皆様が今後の市場機会を把握できるよう、以下の構成で解説します。
1. 気候テックVC投資の推移
1-1. 年次推移(2017–2024年)
PitchBookによると、気候テックVCの年間投資額は2021年の607億ドルをピークに、2022年は539億ドル、2023年は482億ドルと減少。2024年は378億ドルとなり、ピークから37.6%の下落を記録しました。「2024年のディール総額は前年から21.7%減少し、件数も11.3%減少した」ものの、これは全体的なVC市場の縮小トレンドとも整合的です。
1-2. 四半期推移(Q1 2025)
2025年第1四半期のディール総額は90億ドル(件数534件)で、2024年平均とほぼ横ばいでした。特に、パシフィック・フュージョンの900百万ドルSeries AやX-energyの682.4百万ドルSeries C1など、数件の大型ラウンドがディール総額を牽引しました。「四半期ディール件数は13.6%減少したが、大型案件の影響で金額は安定した」点が特徴的です。
2. 地域別投資動向
北米は引き続き最大市場で、2024年の投資額は160億ドル。欧州やアジアを大きく上回りました。北米市場では、ディスパッチャブルエネルギー(地熱・原子力など)が伸長する一方、リチウム電池関連は sharply 低下するなど、セグメント間で明暗が分かれています。
3. セグメント別分析
PitchBookでは気候テックを以下の10セグメントに分類しています。
カーボンテック
産業向け脱炭素化
建築環境(Built Environment)
土地利用(Land Use)
再生可能エネルギー(Intermittent RE)
ディスパッチャブルエネルギー
クリーン燃料
電力網インフラ
低炭素モビリティ
サステナブルフード
3-1. 上位セグメント(2024年)
2024年の資金調達額上位4セグメントは以下の通りです。
低炭素モビリティ:80.1億ドル/225件
電力網インフラ:57.2億ドル/369件
産業:43.6億ドル/383件
クリーン燃料:43.0億ドル/243件
3-2. 急成長セグメント
2023→2024年で最も成長したのは「クリーンコンベンショナル燃料」595%増(1.0→0.15億ドル)や「水素インフラ」213%増。また、「非リチウム電池」も171.4%増と、資源多様化のトレンドが鮮明になっています。
4. 大型ディール事例
4-1. Q1 2025の大型ディール
Pacific Fusion:$900 M Series A(磁気パルス融合技術開発)
X-energy:$682.4 M Series C1(TRISO-X燃料製造施設設計)
Reneo:$624.3 M Series B(不稼働不動産の脱炭素化)
これら13件の$100M超ディールが、四半期の半分以上を占めました。
4-2. 2024年の代表的ラウンド
IM Motors:$1,117.5 M(低炭素モビリティ)
China Hydrogen Energy Technology:$1,000 M(クリーン燃料)
Crusoe:$685.7 M(カーボンテック)
こうした大型投資は、技術成熟度の高さや市場期待の大きさを反映しています。
5. 投資を左右する主要ドライバー
5-1. 供給網と政策リスク
米中貿易摩擦による関税やサプライチェーンの混乱が、太陽光パネルやリチウム電池開発企業に影響。「米国内でハードウェア生産を拡大するには、非従来型の鉱物検出・抽出技術やナトリウムイオン電池など代替技術の需要が高まっている」。
5-2. AIの活用拡大
AIは高解像度時系列データ(衛星・ドローン・センサー等)の解析により、「カーボンクレジット検証」や「予防保守」、「バッテリーパフォーマンス最適化」など多様なユースケースを創出。また、廃棄物ソートの自動化にも貢献し、循環型経済の実現を後押ししています。
気候テック市場は、技術成熟や政策動向、サプライチェーンの課題に直面しつつも、AI活用や非リチウム技術の台頭など新たな成長ドライバーが顕在化しています。投資家や事業者は、今後もセグメントごとのトレンドを注視しながら、持続可能な技術開発と市場獲得に向けた戦略を練る必要があります。
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